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専業主婦に訪れた人生の転機……実母の介護から片付けコンサルタントに

  • 2025.3.27

人生の後半に差し掛かった50代は、自分のやりたいことを見つけるのに適した時期。第二の人生を楽しむ「セカ活」に取り組み、新たな人生をスタートさせるにはどうすれば?専業主婦から片付けコンサルタントに転身したさかもとりえさんの例をご紹介します。

専業主婦から転身、さかもとりえさんの場合

女性にとっての50代は、今後の人生でやりたいことを見つけるのに適した時期。これまでの人生を一度振り返って、これからの人生(セカンドステージ)のために仕事・学び・暮らしを充実させる「セカ活」を、さまざまな角度からご紹介する特集。

今回は、専業主婦から片付けコンサルタントに転身したさかもとりえさんに、現在の職に就くまでのお話を伺いました。

【教えてくれたのは…】 

さかもとりえさん(東京都、53歳)
片付けコンサルタント plus 暮らしの彩りアドバイザー

1998年 29歳で退職し、専業主婦に
2007年 義両親と同居する二世帯住宅に実母を招き同居、介護をスタート
2011年 近藤麻理恵さんこと”こんまり”さんの本に出合い、片付けに夢中になる
2012年 実母が亡くなる
2014年 45歳のとき、こんまりさんの片付けコンサルタントの講座を受講
2015年 46歳、片付けコンサルタントとして活動をスタート

さかもとさんの現在の仕事は?

さかもとさんが、片付けコンサルタントとして手がけた家のビフォーアフター

私は今、片付けコンサルタントをしています。ひと口に「片付け」と言っても、さまざまなアプローチ方法がありますし、資格の種類も数多くあります。

私がしているのは、片付けの方法やモノとの向き合い方をセミナーでお伝えしたり、お客様のご自宅に伺って一緒にお片付けをしていく仕事です。お客様と一緒に片付いた状態をイメージし、いったん部屋がきれいになった後も片付けに煩わされない生活をサポートしています。

これまでの経歴は?

29歳のとき、結婚を機に京都から東京に移り住みました。仕事を辞めて専業主婦となり、2人の子どもを出産して、都心で夫の両親と二世帯住宅に住み始めました。

40代の半ばまでは育児と実母の介護に専念しましたが、2014年に一念発起して「片付けコンサルタント」になるための講座を受講し、以後さまざまなメソッドを学びながら、片付けの仕事に従事しています。

片付けコンサルタントに転身したきっかけは? 

結婚後、土地勘がなく友人もいない場所で育児に追われていた頃、生活が一変する出来事がありました。京都で暮らしていた母の健康状態が悪化し、引き取って一緒に暮らすことになったのです。

3世代6人でひしめき合って暮らしていた小さな家に、母と母の所有する「モノ」が一気にやってきました。折しも当時は、幼稚園児と小学生の学用品がどんどん増える時期。

育児と介護に追われ、住環境が思い通りにならない中で、物理的にも精神的にも、家の中には自分の居場所がありませんでした。母に対しては、なぜいつまでも私を苦しめるのかと思いつめ、義両親との関係にも思い悩む日々でした。

そんな閉塞感の中で暮らしていた2011年、友人にすすめられて近藤麻理恵さんの『人生がときめく片づけの魔法』という本に出合いました。現在は「こんまりさん」という愛称で親しまれている近藤さんのメソッドに胸がときめいて、片付けならお金がかからないし「本通りに片付けをしてみよう!」と思い立ち、実践してみたんです。

家の中が目に見えて片付いていくと、気持ちが少しずつ上向いていきました。一つ一つ物と向き合うことで、感謝の気持ちが湧いてきて、人間関係を見つめることにもつながりました。

「セカ活」に求めたことは?

ブログを立ち上げ、片付けや暮らしに彩りをプラスする発信をしています

次第に「こんまりさんの話を聞いてみたい!」という思いが募り、セミナーに参加。それまでパソコンなんて使ったことがなかったのですが、こんまりさんに会ってみたい一心で申し込みをしたんです。

そして2014年には「片づけコンサルタント養成講座」の一期生として受講しました。片付いた後の整った空間とそれを喜んでくれるお客さんの顔を想像するとうれしくて、講座が終わるときには仕事にしようと思いました。

修了後の2015年に、日本ときめき片づけ協会の「片づけコンサルタント」としての仕事をスタート。協会を通じてセミナー登壇や片付けの仕事をするようになりました。

仕事を始めてからの一番大きな変化は、さまざまなコミュニティの知り合いができたことです。着付けの講座を主宰している素敵な先生に出会い、子育て中だから絶対できないと思い込んでいた着付けを習い始めて、年齢も職業も違う着物仲間にも恵まれました。片付けコンサルタントは、家の中に入ってすべてを見せてもらう仕事なので、信頼関係が大切。知人を通じて、新しいお客様をご紹介いただくこともあり、本当にありがたいです。

他にも、SNSを始めたり、パソコンでブログを書いたり、オンライン講座の資料作りでパワーポイントも使えるように(笑)。4月からは、もっと心に寄り添った片付けができるようになりたくて心理学を学ぶために、放送大学に通うことにしました。片付けの仕事をきっかけに、新しい扉が開けたと思います。

挫折・苦労は?どう乗り越えた?

初めて片付けの世界に足を踏み入れた頃、周りの人みんながキラキラして見えました。まずフェイスブックを始めたのですが、最初のフォロワー数は50人ぐらい。「片付けコンサルタント」として仕事をしている人たちの何百人というフォロワー数と比べてしまって、「自分ってなんて狭い世界で生きていたのだろう」と落ち込むこともありました。

おかげさまで、「紹介が紹介を呼ぶ」という形で依頼をいただいていますので、結果的にフォロワー数は重要ではないですし、一歩踏み出した時から広がっていくものなので、人と比較して小さくならなくてもいいと思います。「やりたいことをやっていて、大切な人とつながることが大事。数じゃない」と気付いてからは、楽になりましたね。

今も同業の方に対してキラキラとまぶしく感じますが、自分の中の嫉妬心やどろどろとした気持ちを俯瞰して見て、「自分は大器晩成だから!」と受け流しています。

どうお金を工面しましたか?収入面は?

仕事を始めるきっかけになった講座費用(二十数万円)は、私の貯蓄から工面しました。それまで、自分のためにお金を使うこともなかったので、私の新たな挑戦に夫も快く送り出してくれました。

現在の収入は月によって異なります。案件ごとの入金が重なったときにはまとまった金額になることもありますが、数万円の月もあります。

「家族を養えるか」と言ったら、今の規模・やり方では難しいです。夫もフリーの仕事なのでいつどうなるかわからないという不安もありますし、「私に任せて!」といえるぐらいの収入を得られるようになりたいので、次の仕事の展開を考えてはいます。ただ、現在は義理の母の自宅介護が始まり時間の制限があるので、仕事と生活のさじ加減が今の悩みですね。

あなたの癒やしは?

さかもとさんが書いている「自分軸手帳」。「わたしの褒めリスト」を作るなど、自分について見つめる時間を作っています。

一番の癒やしは、好きな場所に行くこと。特に新宿御苑が大好きです。嫌なことやモヤモヤしたことがあったとき、芝生を歩いたり、空を眺めていると「宇宙の一員だなぁ」と実感します。自分自身を癒やすための方法をまとめた「コーピングリスト」を作ったり、『自分軸手帳』という手帳で自分自身を見つめる時間も作っています。

「とりあえずやってみる」「だめだったら、やめる」

私の場合は、たまたま「片付け」が行き詰まった日常生活の扉を開けてくれましたが、一歩踏み出すきっかけは人によってさまざまだと思います。

立派なことを語っているようですけど、私自身くじけて立ち上がり、またくじけて立ち上がって……の繰り返しです。

これからの人生に何か好きなことをしようと考えている方は「何か成し遂げなきゃ!」と気負わず「とりあえずやってみる」「だめだったら、やめる」という感じでいいんじゃないかな、と思います。

取材・文=北川和子

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