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新・幸福論:人が一番幸せを感じるピークは何歳?

  • 2025.3.25

“幸福”とは漠然とした概念であり、儚いものであると多くの人は言う。また、人生で最も幸せだった時はすでに過ぎ去り、二度と戻ってこないと考える人もまた多い。しかし、最近の調査で判明したのが、人の幸福度は年を重ねるにつれて着実に高まり、誰の人生においても“ピーク”──つまり、最も幸せで自信に満ちる時期があると言う。この事実は、多くの人に勇気を与えるものになるはずだ。

人生で最も幸せを感じる年齢

“幸福と年齢”の関係を探るべく、主任研究者のズザンネ・ビュッカー率いるドイツとスイスの研究者チームが、さまざまな国や文化圏の 46 万人を超える参加者を対象に大規模なリサーチを実施した。そして、主観的幸福の3大項目である“人生への満足度”、“ポジティブな感情”、“ネガティブな感情”に焦点を当てたこの研究によると、人が一生の中で最も幸せを感じる年齢は70歳で、幸福度は年を重ねるにつれ“山あり谷あり”のスペクトル波形を描くことが判明。同時に、9歳~16歳まで人生への満足度は低下気味に推移し、その後70歳でピークに達し、96歳(研究で記録された最高年齢)までに再び下降することがわかった。この結果に対し、ビュッカーはこう続ける。

「この結果は、生活に対する満足感とネガティブな感情を持ちながらも、人は人生の長い期間にわたりポジティブな感情を持つ傾向にあることを示しています。そして、多くの人は70歳までに仕事や物質的なことより、自分自身や愛する人のためにより多くの時間を費やすようになります。また、70代に入ると人生で最も困難でストレスフルな時期が過ぎたと感じ、(それまでに積み上げてきた)達成感がその後の人生を過ごすための心の支えになるのです」

幸福とは、生涯追求するもの

しかし、幸せのピークを感じる年齢については当然ながらビュッカーと異なる見解もある。ロンドン スクール オブ エコノミクスによると、幸福度がピークに達する年齢は23歳であり、その理由を「若者は将来に対して最も楽観的で自信に満ちていることが多いから」だとしている。またハーバード大学の研究者はその年齢を35歳とし、「このころになると生活が安定し、キャリア的にも社会的にもピークに達して完全な充足感につながるから」だという。

とどのつまり、「幸福」の定義はひとつではなく、どういう状態を”幸せ”と感じるかはあくまでも主観的なものであるから、何歳で最も幸せを感じるか、という問いに対する決定的な答えはひとつではない。だが多くの学者の一致した見解は、「幸福とは、日常生活の中で培われるべきもの」だということ。著書『Les Choses』(1965)でルノードー賞を受賞したフランスの作家のジョルジュ・ペレックの言葉を借りれば、「幸福とは、波風のない至極平凡な日常の連続の中にある」とも言えるだろう。

幸福とは、増減するもの

一方、人生において最も「困難」を感じる年齢というものもまた一つだけではないと言う学者も多い。一部の心理学者は、それをホルモンが劇的に変化し、自己発見の過程で苛まれる社会的プレッシャーで大きく感情が揺れ動く思春期(13~18歳)だとし、プリンストン大学の研究者は、キャリアや経済的困難、そして人生の“先”が見え始めミッドライフ・クライシスに陥りがちな45~48歳の間であると見ている。

まさに、人生いろいろ──キャリアも、感情も、個人により差があるため、幸も不幸も感じやすい時期が異なるのは当然だ。だが唯一確実に言えるのは、“禍福は糾える縄の如し”で、誰の人生にも必ず良い時期と悪い時期があるということ。だからこそ、自分の幸福を最優先に考えたり、これまでの経験を全て自己成長を促す教訓に変え、どんな困難に直面しようとも”今”この瞬間を生き抜くために最善を尽くすことが重要なのかもしれない。

Text: Jeanne Ballion Translation: Masami Yokoyama

FROM VOGUE.FR

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