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女性ホルモンのゆらぎを整える鍵を握る、幸せホルモン「オキシトシン」の整え方を医師が伝授

  • 2025.3.25

女性ホルモンの功と罪

母となるポテンシャルを秘めた女性の体は、たくましくあると同時に繊細でもある。毎月のことなのに、生理が近づけばやたらとイライラする。更年期を迎えたら迎えたで、やる気が出ない、気持ちが落ち込む、など不安定になりがちだ。これも子宮という臓器を持つヒトならではの定めなのか。

と言ってもPMSや更年期の不調を引き起こす張本人は、子宮ではない。それは卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)といういわゆる女性ホルモンのなせる技。

「月経前のイライラなどメンタル面のゆらぎは、プロゲステロンがぐんと上がってくることで、悪さをするせいと考えられています。エストロゲンが下がることで、ほかのホルモンが出にくくなるという影響もありますから、エストロゲン減少もイライラの原因の一つになります」。そう語るのは産科婦人科専門医であり、美容皮膚科やアンチエイジングなど幅広い分野に精通する山村菜実先生だ。

女性の体のみならず、メンタル面でも大きな影響を与える女性ホルモンだが、残念ながらエストロゲンもプロゲステロンも自分で増減を調節することはできない。そこで幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンの出番となる。

「一般的にホルモンは自分でその量を増やすのは難しいのですが、オキシトシンは例外です。オキシトシンは単独でというより、さまざまなホルモンと作用し合う。そこでオキシトシンを上げてサポート役として活用することを提案しています」

幸せホルモン「オキシトシン」がメンタルを変える

そもそもオキシトシンとはホルモンの一種。脳の視床下部で作られる神経ホルモンの一つだ。1906年に発見され、子宮を収縮させて分娩を促したり、また出産後には母乳の分泌も促すとされる物質。そのほかにも、ほかのホルモンと協調し合ってポジティブな効果をもたらしてくれる注目の成分でもある。例えば、幸福感や気分の安定に寄与するセロトニンの分泌を促進。また快楽や楽しさに関連するドーパミンと相互に作用し合うことで、喜びや満足感を増幅。また痛みを和らげ、幸福感を高めるエンドルフィンの生成にもオキシトシンは関わっている。そう、ポジティブでハッピーな気分へと誘う働きを与えてくれるありがたい存在が、オキシトシン。さらに喜ぶべきことに、それは毎日の生活の中で、自分で簡単に増やすことが可能なのだ。

「パートナーや自分の子どもなど愛する人とスキンシップを図るのが一番効果的ですが、ぬいぐるみや肌触りが良くてお気に入りの毛布やタオルなどをギュッと抱きしめる。それだけでも有効です」

家族の一員であるペットを愛おしむ、触覚的に心地よさを味わえるもの、また好きな香りの空間で過ごすことなどでも効き目が期待できる。

残念なことに苦手な人物や嫌いな相手では効果が期待できないそうだが、人と対面し、視線を合わせて会話する、それだけでもOK。友人と会っておしゃべりし、感情を共有するのもおすすめの方法。社会的なつながりや信頼感を強化し、結果としてセロトニンやドーパミンの分泌も促してくれるのがオキシトシンだから。

「自分でボディや肌のセルフマッサージを行うことでもオキシトシンは上がります。これでハッピーになれると意識することが大事ですね。メンタルが不調の女性は一般的に頑張り屋さんで、正義感の強い人が多いんです。やらなきゃいけないのに、なんでできないの?と考えるのではなく、できたことを自分で褒めてあげる。できなかったことは次に頑張ればいい。次のステップでこうしようと気持ちを切り替えて考えることで変わるんです」

また、推し活もおすすめだそう。「推し」のことを考え、情報を集めたりすることで日常生活も楽しく充実。疲労感やイライラが減り、ポジティブな気分になれるのだ。美肌や安眠、ダイエットにも効果的とされるオキシトシン。これはもう、見逃す手はないはずだ。

まずは自分の体や子宮を知ることから

デリケートゾーンの課題やトラブルにアプローチするフェムケアも今では当たり前になった。乳酸菌を活用した膣ケアサプリなども話題となっている昨今。医療の力で問題を解決する「フェムケア」も浸透した。これもメンタルケアには効果的?

「子宮は赤ちゃんを育て産むための臓器。必要ない人にとっては必要ないものとも言えますが、ほとんどの女性が体の中心に持っている臓器であり、毎月の月経を一緒に過ごしながら人生を歩む器官です。そこを整えていくことで気持ちもスッと整うと思います。子宮を理解するのはとても重要なこと。そのためにまずは自分の外陰部、いわゆるフェムゾーンをしっかり見てチェックすることを勧めます。その上で変化を見逃さないこと。まずは子宮をよい状態にして、愛しんであげるのが大事ですね」

そのうえで自分を肯定し、オキシトシンの出る日々を送る。これで毎日がよりポジティブに、ハッピーに変わってくるのではないだろうか。

話を聞いたのは……

山村菜実先生

医療法人財団小畑会浜田病院理事長・東京美容クリニック理事長。東京女子医科大学医学部医学科卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院勤務。2019年に東京美容クリニックを開設、2022年に同クリニック表参道本院理事長就任。婦人科と美容を融合させた「フェムケア施術」を実践、女性の悩み全般に寄り添うカウンセリングを行う。2024年11月に初の著書『子宮を愛してあげよう』(現代書林)を上梓。https://tbc.clinic

Text:Midori Kurihara Editor:Rieko Kosai

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