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10年後の歌姫へ――「マクロス」ランカ役・中島愛&フレイア役・鈴木みのりが紡いだメッセージ

  • 2025.3.25
ABEMA TIMES

制作が発表されている「マクロス」シリーズの最新作にて、新たな歌姫役を決める『マクロス×サンライズ 「新マクロス」 超時空歌姫オーディション2025』が、4月30日まで開催中だ。

【映像】中島&鈴木が出演した「マクロス」新作発表特番

ともに過去に開催されたオーディションで歌姫役を射止めた『マクロスF』ランカ・リー役の中島愛と『マクロスΔ』フレイア・ヴィオン役の鈴木みのりにインタビューを実施。「マクロス」シリーズでデビューして声優・歌手として歩んできた2人が、デビュー当時と現在の心境を振り返る。

――アニメファンの中でも高い人気を誇る「マクロス」シリーズで、お2人はオーディションを経てデビューされています。やはりご自身の声優・歌手としての原点や土台となっているのでしょうか?

中島:そうですね、デビューした作品でもありますし……これは今までにもちょこちょこと言っていることなのですが、私はオーディションを受けた時点では、アーティスト名が「ランカ・リー=中島愛」という表記になることは、まったく知らなかったんです(笑)。

どのような経緯でそうなったのかは知らないのですが、二次元のキャラクターと三次元の私をイコールで繋げるということは滅多にないことでしたし、同時にとても責任を感じると言いますか。原点でもあり……結局人生そのものになっているという感じです。

――当時のいちアニメファンの体感としても、ランカというキャラクターイコール中島さんというイメージでした。その表記に関しては、どのように受け止めていたのでしょうか?

中島:(『超時空要塞マクロス』でリン・ミンメイ役を演じた)飯島真理さんはいろいろな表記があったと思いますが、歌は(リン・ミンメイという表記はなく)「飯島真理」というクレジットですよね。リン・ミンメイの歌ではあるけれど、クレジットとしては真理さんという印象で、自分もそういった形なのかなと思っていたら、記号として「=」をつけるのだという驚きと新鮮味を当時感じていました。

もちろん、ほかの作品やキャラクターと優劣をつけるわけではないのですが、特殊なキャラクターとの向き合い方をする作品だった故の重みはあるかなと思います。

鈴木:私もシンプルに自分の活動の基盤にはなっています。どのように歌や役と向き合うのかという基礎的なことを教わった現場であって、作品にひと区切りがついたあとにもいろいろな先輩方の背中を見たり自分自身が改めてキャラと向き合ったりしたときに、キャラと声優の向き合い方やつながり方が、人によって全然違うなって思いました。

それは「ワルキューレ」というグループの中のキャスト陣に対してもすごく感じていることで、そこには正解はなくて、作品と向き合うときに、私はどうあるべきなのかっていうことを他人に左右されずやっていくことが、あるべき姿なのだと感じました。表現者として作品との向き合い方、自分らしさを突き詰めていくものなのかなって。

――先輩のお1人である中島さんの背中は意識しつつも、自分は自分としてどう確立していくのかということでしょうか。

鈴木:そうですね。やっぱり『マクロスΔ』は「ワルキューレ」というアーティストの部分が強く出ている作品ですし、『マクロスF』の音楽性とはまた違っていて。役の背負い方も踏まえ方も、「ワルキューレ」のメンバーで1人1人違っていて、それはすごく感じています。

――『マクロスF』の放送は17年前、『マクロスΔ』も9年前ということで、月日が流れたなか、デビュー当時と現在でいちばん変わったなと感じられる部分はどんなところですか?

中島:オーディションからだと18年でしょうか。大人にはなりましたけれど、何か変わったのか……そうですねぇ、変わってないとマズいですよね?

一同:(笑)

中島:うーん、デビュー当時は18歳で単純に子どもだったと思います。見るものすべてがキラキラしていましたし、純粋で楽しかったので、あれはあれでよかったと思うのですが、物事を整理する時間があまりなくて……。ただがむしゃらに今日はこの現場、明日はこの現場とやるしかなかった。

――アニメファンの中でも『マクロスF』という作品と楽曲は一世を風靡していたので、当時は本当に大変だったのだなと……!

中島:単純に時間がなかったとも言えるかもしれませんが、普通の女子高生からいきなり「ライブで武道館が取れたから!」って言われるようなことが起きて、あまりにも怒涛の展開すぎて! 「なんだろうこの人生! こういう人生の進み方だったんだ!」って大きな渦に巻き込まれているみたいな感じでしたね(笑)。

でも当時よりは今は色々な意味で落ち着いて、ひとつひとつの出来事を楽しめる自分になれたんじゃないかなって思いますし、逆に言うとそれ以外はあんまり変わっていない気がします。

――変わらない芯となる魅力というものでしょうか。

中島:変わらないことが魅力につながればいいですね! あはは(笑)。変わっていない部分の方が数えてみると多いんじゃないかなとは思ったりします。

鈴木:私も本当に中島さんがデビューされた頃と同じです。真っ直ぐ純粋に向かってきたものに挑んで、そこに迷いは何もなくて、ただただ自分がやるんだと決めたことに本当に真っ直ぐ進んで、それが結果的にフレイアにリンクして。それが今思えば眩しいですし、今でもそうでありたいと思うけれど、そうでありたいと思ってしまった時点で100%そうなれないということが、悪い意味ではないと思うのですが、変わったところだと思います。

――それはプロとして成熟してこられているということでもありますよね。

鈴木:オーディションのときにもすごく助けていただいた恩師の方が「プロになるっていうことは、好きから一歩先に進むことだよ」とおっしゃっていたのですが、当時は意味がまったくわからなくて。今もわからないんですけど、ちょっとずつ今の自分の中で好きだけじゃやっていけない――それは悪い意味じゃなくて――好きだからこそどうしていくべきか、少し考えるようになったということが、いい意味で変わったところではあるのかな、と感じますね。

――好きなことを仕事にしていく上で、必ず突き当たる部分ですよね。

鈴木:でも歌姫オーディションからデビューする方は、それを知らなくていいと思っています。私が言っちゃったことではありますが、考えてもまだわからないということがすごく素敵なのかなって。

中島:確かに。でも次の「新マクロス」がどうなるかはわかりませんが、(これまでのオーディションでは歌姫に)基本ピュアさが求められている側面がありますよね。

鈴木:そうですね。

中島:深く考えて、精巧に組み立てられたものを見せられるよりも、それを壊すところを見せてくださいという無茶な要求をされるイメージ(笑)。

鈴木:計算はダメですね。バレちゃう。

中島:計算している姿が可愛かったりいじらしかったりすればいいのでしょうけど。

――たしかにそうかもしれませんね!

中島:今こうしてお話してみて、仕事としてやることに対して私はいまだに折り合いがついていないなって思います。ちょっとおかしなことを言いますけれど、みのりちゃんはもとから声優になりたいと思っていて。

鈴木:そうです。

中島:私は芸能事務所に入ったときも、歌手になりたいとか思ったことなかったんです。

鈴木:あ、そうなんですか。

中島:別に芸能人とかにはなりたくなくて、歌が好きだからうまくなりたくて練習したいレッスンしたい。好きだから聴いてみてほしいという気持ちだけ。プロになろうという心構えを一切しないまま飛び込んでしまった引け目とかもあって。本当は陰でひっそりやっていたいのにステージに立つことになって「じゃあなんで応募したの?!」って聞かれても、それもわからなくて、ただ好きなだけで……みたいな(笑)。でもたぶん、そこがよかったんだと思います。

鈴木:ランカちゃんと何かが重なりますね。

中島:そうそう。ランカちゃんもすごく歌手になりたいというよりも、歌うことが好きな気持ちが先にあって、ある意味軽い気持ちなのかもしれないですけれど、その折り合いのつかなさも、別にすごく悩んでいるというわけでもなく、なんでしょう……。好きだからこそ折り合いがつかないのだろうとなと思うと、仕事が嫌いよりかは絶対いいかなと。

好きが故に出てしまう葛藤は、みのりちゃんが言ったように仕方がないことですし、最初はわからないことだと思うので、のちのち私のように「あれ? なんで?」って思う時があるかもしれませんが、あまり気にせずやっていければいいのかなって、自分に言い聞かせています。

――後先考えないのも大事といいますか。

中島:もう好きならいいんじゃない? みたいなところに、私は今落としどころを得ながらランカ・リーを演じられているので、色々な向き合い方があるのかなと思います。

――本当にその通りだと思います。今のお話を伺って、よりランカが好きになれそうです。変な話ですけれど、新しい歌姫の方に10年後にこの記事を読んでみてほしいですね。

中島:その歌姫さんの10年後のインタビュー記事すごく読みたい! 「今どんな気持ちですか?」って聞いてほしい(笑)。

――「中島さんと鈴木さん、どっち寄りですか?」みたいな(笑)。

鈴木:どっちでもないですって言ってたりして(笑)。

中島:私はどっちでもない(笑)。いいですね! 読んでみたい!

取材後に中島は「私が勝手に言っているだけですが、いつかまたクロスオーバーライブをやることができたときに、同じステージで歴代の歌姫の方々と一緒に新しい歌姫の方とも歌える機会があればいいなと妄想しています」とも語ってくれた。誰も見たことがない新たな作品とステージが生まれる瞬間を楽しみにしたい。

ABEMA TIMES

▲中島愛

ABEMA TIMES

▲鈴木みのり

公式HP:https://macross-aud.jp
公式X:https://x.com/macross_aud

取材・テキスト/kato
(C)1984,1994,2015 BIGWEST
(C)2011 BIGWEST/MACROSS F PROJECT

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