毎日食べたくなる、季節に寄り添ったごはんを、「薬食同源(食べることは心と体を育む)」の考え方をもとに料理を提案する、料理家の李映林さん、コウ静子さん親子に教えてもらいました。今回は、韓国・済州島の郷土料理「ピントク」のレシピをご紹介します!
「ピントク」は素材の味を堪能できるシンプルな料理
「韓国・済州島の郷土料理〝ピントク〟は、そば粉で作った生地を薄く焼き、大根のナムルを包んだもの。子どものころから食べてきた故郷の味で、たれなどはつけずに素朴な味や香りを楽しむ一品です。この穏やかな味わいがときどき無性に恋しくなり、わが家では軽食やおやつとしてよく食べています。
作る際はそば粉、水、塩を混ぜたあと、30分ほど休ませてください。生地の状態が落ち着き、焼いたときに割れにくくなります。また、生地で包むナムルは、野菜をゆでたあと水気をしっかり絞りましょう。ナムルが水っぽいと、生地が水気を含んで食感が悪くなってしまうので注意が必要です。
主食のやさしい味を生かしたいときは、副菜に味が濃い料理を用意しないようにしましょう。〝干し柿のくるみ巻き〟は、干し柿とくるみだけで作れるので、主食の味を邪魔せずにおいしく調和しますよ」
【主食】そば粉のピントク
ナムルを巻いた生地は、温かいうちに両端を押さえることで、生地同士がくっつきます。冷めてしまった生地は、軽く温めて火を止めたフライパンの上にのせ、余熱で少し温めましょう。
生地は小さめに直径13 〜15 ㎝で焼くと、食べやすくて見た目のバランスも◎。
材料(10 個分)
・そば粉…100g
・大根…350g
・にんじん…50g
・万能ねぎ(小口切り)…3本分 【A】
・水…1カップ
・塩…少々 ・塩…小さじ1/2 【B】
・白いりごま…大さじ1と1/2
・ごま油…大さじ1/2
・塩…小さじ1/3 ・グレープシードオイル(または菜種油)…適量
作り方
- ボウルにそば粉、【A】を入れて溶き混ぜ、室温に30分ほどおく。
- 大根、にんじんは長さ5~6㎝の細切りにする。
- 鍋に湯を沸かし、塩、2を入れて2~3分ゆでる。ざるに上げて水気をきり、万能ねぎを加えてさっと混ぜ、そのまま冷ます。水気を絞って別のボウルに入れ、【B】を加えて和える。
- フライパンにグレープシードオイル少々を薄く塗り広げ、弱めの中火で熱する。1の1/10量を小さめの玉じゃくしで流し入れ、玉じゃくしの底で直径13~15㎝に薄くのばして焼く。周囲のフチが浮いてきたら上下を返し、さっと焼いて取り出す。残りも同様に作る。
- 4を1枚広げて置き、中央に3の1/10量をのせる。手前から巻き、両端をぐっと押さえてくっつける。残りも同様に作る。
作り方 4
作り方 4
作り方 5
作り方 5
【スイーツ】コッカムマリ(干し柿のくるみ巻き)
本来は干し柿に切り込みを入れて開き、くるみを巻いて作りますが、今回は干し柿の上下にくるみをグッと押し込むだけで作れる、簡単レシピをご紹介します。
くるみはすき間なく詰めるときれいな断面に仕上がるので、干し柿の大きさによって詰める量を調整してください。
材料(2人分)
・干し柿…2個
・くるみ(ローストタイプ)…適量
作り方
- 干し柿はへたと下側を切り落とし、あれば種を除く。
- 干し柿にくるみを3~4個ずつ押し込んで入れる。そのまま30分ほどおき、1㎝幅に切る。
作り方 2
料理/李 映林、コウ静子 撮影/福尾美雪 構成・文/中田裕子
※素敵なあの人2025年3月号「食べて元気になる! 李家の日々ごはん vol.65」より
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教えてくれた人 コウ静子さん
料理家、国際中医薬膳師。薬膳や韓国料理をベースにした、滋味深いレシピ提案が好評で、『季節に寄り添う韓国茶』(グラフィック社刊)などの著書も多数。
教えてくれた人 李 映林さん
料理家。韓国・済州島出身。幅広い知識と経験による、愛情たっぷりの料理にファンも多い。著書に『李映林、季節の仕込みもの』(グラフィック社刊)。