成宮寛貴が8年ぶりに俳優復帰作し、主演を務めるABEMAオリジナル連続ドラマ『死ぬほど愛して』が3月27日夜11時から放送される。原作は『金田一少年の事件簿』で知られる天樹征丸氏。映画『アルプススタンドのはしの方』などの城定秀夫氏がメガホンを取った。成宮が演じるのは、容姿端麗なエリートサラリーマンで愛妻家の神城真人……という偽りの顔を持つ、殺人鬼だ。辛い過去のトラウマを抱え、真人に依存する妻・澪役を瀧本美織が演じる。殺人鬼と美しい妻の“ピュアラブサスペンス”を2人がどう演じたのか、作品への思いや現場での思い出をインタビューした。
成宮寛貴「今だったら昔あったフィルターを外して作品と向き合える」俳優復帰を決めた理由
――本日はよろしくお願いいたします。成宮さんは8年ぶりの俳優復帰となりますが、復帰を決めた理由は何だったのでしょうか。
成宮:復帰したいという気持ちになったのは、今だったら昔あったフィルターを外して作品と向き合えると思えたからです。今、台本を開いたら昔とは違うお芝居ができるような気がしましたし、興味が沸いてきたタイミングでした。
――復帰を決めた時期と本作のオファーが重なったような感じですか。
成宮:実はまだ原作の連載も終わっていないくらいの時期に、天樹征丸さんから声をかけてもらって、漫画をいただいていました。この作品で戻るのかなという思いがある一方で、本当にいいのかと迷う時期もありました。ゆっくりと考える時間を過ごして、台本が出来上がったころに気持ちが固まりました。
――瀧本さんはオファーを受けて成宮さんの妻役だと知ったときはどんなお気持ちでしたか。
瀧本:子供のころから成宮さんのことをテレビで見ていて、まさか共演できるなんて思ってもいませんでした。最初は、いいんですか?! 妻になっていいんでしょうか!? というドキドキの気持ちでした。同時に、とても面白い題材で脚本ということもあり、みんなで作るのがすごく楽しみでした。
2人きりのシーン続きで意気投合
――実際にご一緒していかがでしたか。お互いの印象を知りたいです。
瀧本:お会いする前から、成宮さんはきっとみんなのことを1番に考えてくださって、現場を楽しく明るくしてくれる人なんだろうな~という印象を勝手に持っていましたが、実際にその通りでした。
成宮:美織さんのことはYouTubeやドラマを見る中で、すごく多彩な女優さんだ思っていました。実際に本人を目の前にするとめちゃくちゃふわふわした日向ぼっこの雰囲気の人でした。だから、いつも2人でほわ~としていたよね。
瀧本:ほわ~っとね。
――(笑)カメラが回っていないときも一緒にいる時間が多かったのですか。
成宮:ドラマの中では2人きりのシーンやラブシーンも多めだったので、2人の距離が見えないようになるべく一緒に居ました。なるべくというより、自然に一緒にいた感じかな。
――どんなお話をされていましたか。
成宮:言えないよね(笑)。
瀧本:すごい変な話もしちゃってるかも(笑)。
――では、言える範囲で2人の間での印象的な出来事を教えてください。
瀧本:並んでメイクをしているときに成宮さんが台本を開いて声を出して読むんですよ。自分のセリフだけじゃなくて、澪のセリフも変な声を出して読むんです。それで笑っちゃうというのはよくありました。私、そんな声じゃないよ~って。
――めちゃくちゃ仲良しですね(笑)。
成宮:お酒を一緒に飲みに行ったこともあったよね。べろべろになっちゃって。
瀧本:どんどん飲んでしまって、もう一杯、もう一杯っていうのがずっと続きました。
成宮:もう2合、もう2合ってね。
成宮寛貴、瀧本美織の芝居を絶賛「天才的な女優さんでミスパーフェクト」
――成宮さんは、久しぶりの現場でも緊張はありませんでしたか。
成宮:もちろんすごく緊張していました。でも城定監督が丁寧に演出してくださって、イメージがわくようにしてくれたので、思い出しながら現場で慣れていったような感じですね。そうだ、こういうときはカメラ目線よりちょっと外したほうがいいとか。相手のお芝居の時にカメラの脇にいたほうがいいんだとか。
――演技に関してはいかがでしたか。
成宮:演じることはそのままかな。1番大切にしていたのは澪と二人の空気感ですね。基本的に真人は言葉巧みにだましていくという人間。でもそればかり考えているのではなくて、ピュアラブでもあり、残酷な部分も持っているという複雑なキャラクターです。なので、台詞も一つの意味だけではなく、いくつかの意味に聞こえるお芝居を心掛けていました。
――瀧本さんは、先輩の復帰作を近くでご覧になっていかがでしたか。
瀧本:復帰第一作目にご一緒できたことは本当にありがたいことですよね。成宮さんが良い空気感を作ってくださりぶれずに真人としていてくれたので、私も澪として受け止めることができました。
――成宮さんは、復帰作が本作になったことはどんな思いがありますか。
成宮:まずは美織ちゃんと一緒にお芝居をできたことも嬉しいです。天才的な女優さんだと思うので。
瀧本:ええ!
成宮:(ニコニコと瀧本さんを見つめ)年下だけど、お芝居のなかではすごく引っ張ってもらいました。2人で作っていくことが楽しかったです。2人のシーンは、僕が言葉巧みにだますけど、澪は浮き沈みが大変だったでしょう?
瀧本:…、うん、…、え、うん、え。みたいな台詞が多くて。
成宮:本当に「うん」とか「え」とかしかない場面もあって、間違えちゃうよな~って思っていたけど、美織ちゃんはミスパーフェクト。すごいいいタイミングで台詞を言ってくれていました。涙を流すシーンもたくさんあって、美しくてピュアな涙を見ていて気持ちがよかったです。
瀧本:成宮さんがいろんなものを含んでいる真人の瞳をしてくれていたので、それを見て、澪は反射して、そういう涙になったのだと思います。お互いにいろんなものを交換し合えた感じがしました。
――お2人のステキな関係性が伝わってきますね。最後にドラマの見どころを教えてください。
瀧本:一つだけの見方だけじゃなく、いろんな楽しみ方ができるエンタテインメントです。私たち夫婦の周りで起きる殺人事件の謎を一緒に考えるのも面白いと思います。是非ドキドキしながら見てください。
成宮:傷ついた女性と殺人鬼のピュアラブサプセンスです。今見えているものだけが真実なのではく、物語、人間を多面的に描いている作品です。是非、ドラマのグラデーションを楽しんでもらえたらと思います。
成宮:(笑顔)
――ありがとうございます! 放送を楽しみにしています!
取材・文:氏家裕子
写真:You Ishii