今回のゲストは元宝塚歌劇団・星組トップ娘役の舞空瞳さん。華やかで可愛らしく、お人形さんのような等身。歌・踊り・芝居とどれをとっても安定した実力で、宝塚の娘役になるために生まれてきたような方。これからも舞空さんの魅力は、経験と共に更に開花していくのだと思います。今回のインタビューでは宝塚時代のお話を伺ってまいります。現役時代手放せなかった美容アイテムも登場しますので是非チェックしてください。記事の最後には未公開カットもたくさん掲載いたしますのでどうぞお楽しみください!
「太陽じゃなくて、陽だまりになりたい」
美夢ひまり(以下 美夢)
先週公開されたインタビューでは、大好きな宝塚への想いをお話しいただきました。今週も宝塚時代のお話を伺ってまいりたいと思いますが、宝塚の娘役として大切にされていたことは?
舞空瞳さん(以下 舞空さん)
そうですね。舞台はその人自身がすごく出ますので、どんな自分になりたいか、という気持ちをしっかり持っていることが大切だと思っていました。私の場合は、言葉にしますと……、「太陽じゃなくて、陽だまりになりたい」と思ってやってきました。
美夢
おおお、素敵!
舞空さん
この人と一緒にいると心が温かくなるな、この人が舞台に出てきたら何だかお花が咲いたような穏やかさや明るさを感じるな、と思っていただけるような、陽だまりのような娘役でありたいと思っていました。
美夢
納得です。なこちゃん(※編集部注:舞空さんの愛称)はファン時代から娘役さんがお好きだったんですか?
舞空さん
初めは男役さんでしたね。宝塚は男役さんあってこそだと思っていますし、初めて宝塚を観たときは男役さんのかっこよさに衝撃を受けました。自分もあんな風にかっこよく踊ってみたいなと思っていたときもあります。
美夢
そうなんですね。
舞空さん
宝塚の舞台は小学校4年生の頃から観ているのですが、5〜6年生の頃に宝塚に入りたいなと思うようになり、クラシックバレエを習い始めました。そうすると舞台の見え方が変わってきて、昔から大好きだったデュエットダンスの場面でいつもは男役さんを目で追っていたのに、ある日気がついたらずっと娘役さんを観ている自分がいました。そんな自分に気付き、身長や声の高さなどを考えると、「私は娘役だ!」と(笑)
美夢
目覚めたのですね(笑)
舞空さん
中学生になってからは完全に娘役さんのファンでした。舞台に娘役さんが出てくると華やかになりますし、娘役さんがかわいくて自然に笑顔になってしまうんですよね。そして男役さんに寄り添ってとても幸せそうな娘役さんを観て、「娘役さんってかっこいいな」って思ったんです。同じ女性としてかっこいいなって。
美夢
娘役がかっこいいという観点は新鮮です!
舞空さん
両親には男役志望だと思われていましたので、娘役で受験すると伝えたときはとても驚かれました(笑) でも娘役になれて本当に幸せでした!
「失敗しても良いんだよ」と言い続けてくださいました。
美夢
私から見たなこちゃんは、娘役になるために生まれてきたようなタイプの方なのですが、なりたい姿がはっきりしているからゆえに、悩まれたことも多かったのではないでしょうか。
舞空さん
そうですね……それはもう……。なりたい姿、形にとらわれてしまう自分はずっといましたね。
美夢
『ハンナのお花屋さん』のときにあまりのかわいさに衝撃を受けたのですが、ずっと抜擢され続けて、だからこそ大変だったことがあったと思います。
舞空さん
結果を出さないと、はやく形を作らないと、といつも焦っていました。できないことは悪いことだと思っている自分もいましたし、変なプライドが邪魔をしてしまったり……。
美夢
首席で入団されていますし、とらわれてしまいますよね。
舞空さん
稽古場はできなくても良いし、いろいろなことに挑戦する場所なのに、そういう自分をさらけ出すことができなくて、それはトップになってからもそうでした。でも礼さん(※編集部注:星組トップスターの礼真琴さん)はそんな私が殻を破ることができるようにと、「失敗しても良いんだよ」と言い続けてくださいました。礼さんには本当に感謝しています。
『ハンナのお花屋さん』の花冠がお守りでした。
美夢
在団中、娘役をやっていくうえで手放せなかったものはありますか?
舞空さん
そうですね。お守り的なものなんですが……。
美夢
なんでしょう?
舞空さん
花組時代、仙名彩世さんからいろいろなことを学ばせていただいていたのですが、仙名さんはいつもお稽古場からできる限り本番に近い形でお稽古されていて、身だしなみや役への意識がすごく高い方でした。『ハンナのお花屋さん』のときに舞台上で花冠を付けることが分かったので、そんな仙名さんの姿を真似して、稽古場用の花冠を自分で作ったんです。その花冠はその後もずっと手離せなくて、お守りのような存在になりました。
美夢
手作りの花冠、それは思い出深いですね〜。
舞空さん
『ハンナのお花屋さん』は本当に大好きな作品! 普段自分の作品の映像はあまり見ないのですが、ハンナだけは原点に戻りたいときに見返していました。
美夢
ハンナ役の大抜擢は、本当に衝撃的でしたからね。美容アイテムで愛用していたものはありますか?
舞空さん
セラリーのルミヌ グロウミストローションです。私はかなり乾燥肌で、肌の水分量が少なくて、皮膚も薄いタイプ。だからメイクを落とした後はすぐに保湿をしたくて、ミスト状のローションは使い勝手が良くて手放せなかったですね。
美夢
私も愛用しています! 保湿力はもちろん、フェイスラインもすっきりする気がして、本当に良いですよね。
舞空さん
すぐにシュッと保湿できるので最高です。これまでもリピートしていましたが、これからもリピートし続けます。
食べるものの質を意識したら、身体も疲れにくくなりましたし、気持ちも安定しました。
美夢
ハードな毎日だったと思いますが、体調管理で気をつけていたことはありますか?
舞空さん
食べるものですね。もともとスナック菓子や、チョコレートがすごく食べたくなるようなタイプではないのですが、栄養素を考えて食事を選んだり、発酵食品を意識して摂るようにしたりすると、身体だけでなく心も元気になることを在団中に実感したんです。
美夢
もともと自炊をされていたんですか?
舞空さん
料理はコロナで家から出られなかったときに始めたのですが、野菜を切っているときは無心になれますし、すごく気分転換になることに気付いたんです。これは極めていきたいなと思って、塩麹や醬油麹を自分で作ったり、添加物を控えるようにしたら心も身体も元気になりました。
美夢
忙しい中、すごいですね。
舞空さん
食べるものの質を意識するようになってからは、身体も疲れにくくなりましたし、気持ちも安定しました。やっぱり元気でいることが一番大事です。卒業後引っ越しをして、新たにせいろをキッチンにお迎えしたので、今はせいろに夢中です!
美夢
せいろね! 良いですよね。
舞空さん
なんでも蒸しちゃいますね(笑)
美夢
オンとオフの切り替えは料理をすることでできていましたか?
舞空さん
そうですね。料理をしているときは火をつけたり味をみたり、思考が違うところにいくので、すごく気持ちの切り替えになったと思います。あとは美味しいものを食べることですね。1人で食事をするときも、仲間と食事をするときも、ご飯を食べているときは一度オフになれていたと思いますね。
美夢
ありがとうございます。では来週はなこちゃんの愛用コスメなどをお伺いしていきたいと思いますので、お願いします。
舞空さん
はい! お気に入りのリップがあるんです。他にもいろいろご紹介させていただきますね。
- 第1回目の記事は「初インタビュー!退団を決めたきっかけの役は?」
- 第3回目の記事は「なこちゃん流ベースメイクと愛用コスメ」(3月30日公開予定)
- 第4回目の記事は「今後の目標、やりたいことを語る」(4月6日公開予定)
【舞空瞳さん・プロフィール】
舞空瞳(Hitomi Maisora)
神奈川県出身。2016年宝塚歌劇団に首席で入団、星組公演『こうもり/THE ENTERTAINER』で初舞台、その後花組に配属。早くから歌・踊り・芝居と安定した実力を見せ、2017年の阪急阪神初詣ポスターモデルに起用される。17年『ハンナのお花屋さん』でタイトルロールとなるハンナ役に抜擢、その後『MESSIAH』新人公演初ヒロイン、続く『メランコリック・ジゴロ』で全国ツアー公演初ヒロインを務める。19年星組に組替え、トップ娘役に就任。在団中の主な出演作は、『ロミオとジュリエット』(ジュリエット役)、『1789』(オランプ・デュ・ピュジェ役)、『ME AND MY GIRL』(サリー・スミス役)、など。24年『記憶にございません!/Tiara Azul』で宝塚歌劇団を退団。今後は栄養士の資格取得に向け勉学に励みながら、活動も継続し新たな道を開拓していく。
撮影/大坪尚人 ヘアメイク/岡田知子(TRON) 取材・文/美夢ひまり