Text by 編集部補佐
Jリーグ全60クラブの頂点を決めるJリーグYBCルヴァンカップ一回戦が20日、全国各地で開催された。全13試合の中で惜敗するも、ゴールキーパーの活躍が著しかった2試合を紹介する。
松原颯汰が獅子奮迅の活躍
1試合目はJ3・AC長野パルセイロ対J1・東京ヴェルディ(長野Uスタジアム=長野市)。
延長戦を含め120分の激闘をスコアレスで終え、ペナルティキック戦では東京VのGK長沢祐弥の活躍によりアウェイチームが勝利をつかんだ。
それでも試合全体を通して観れば、長野GK松原颯汰の獅子奮迅の活躍が光った。
東京VはJ1チームとしての貫禄を見せ、120分通じて計21本ものシュートを放ち、長野ゴールを脅かした。
激しい猛攻に対して松原は守備陣と連係してコースを限定し、東京VのMF平川怜の直接フリーキックを弾くなどビッグセーブを連発。
2021年にプロキャリアを開始したJ2ジェフユナイテッド千葉から、昨季期限付き移籍で長野へやって来た181㎝の若手GKはシーズン途中に先発の座をつかみ、今季もリーグ戦で先発に名を連ねている。
【松原颯汰選手の期限付き移籍について】#松原颯汰 選手が2025シーズンも #AC長野パルセイロ へ期限付き移籍することになりました。
『来シーズンもAC長野パルセイロでプレーさせていただく事になりました。沢山成長して結果を残してきます』
詳細はこちらhttps://t.co/RaVtag5fvl#jefunited pic.twitter.com/fblLzrIad7
— ジェフユナイテッド市原・千葉【公式X】 (@jef_united) December 29, 2024
長野は昨季の天皇杯2回戦で東京Vと対戦し、5ー0で大敗した。控えGKとしてベンチから試合を眺めていた松原は歯がゆさを覚えただろう。
今回の試合では最終的に敗北したが、昨季と違って延長戦に突入しても無失点で切り抜けた事実は、武者修行中の松原にとって大きな自信につながるはずだ。
X(旧Twitter)上では松原の活躍に「松原颯汰マジか!」「松原颯汰はジェフが育てた」など、22歳の守護神に賞賛の声が相次いでいる。
大ケガから復活した守護神
2試合目はJ3栃木シティFC対J1鹿島アントラーズだ。
J3参入初年度となる新参の栃木Cが、Jリーグ創設時からJ2降格経験がない絶対王者・鹿島を迎え撃つ形となった試合は接戦へともつれ込んだ。
鹿島は前半からチャンスを何度も創出したものの、栃木CのGK相澤ピーターコアミの攻守により、シュートがゴールポストに弾かれるなど先制の好機を逸した。
後半7分には鹿島FWアレクサンダル・チャヴリッチがペナルティエリア内で倒されてPKを獲得するが、鹿島MF荒木遼太郎がゴール右側に放ったシュートを相澤が弾くビッグセーブを披露。
ところが後半24分にセットプレーのこぼれ球を鹿島DF濃野公人(きみと)が押し込むと、鹿島GK早川友基の集中力を切らさない守備によって完封勝利を飾った。
実は松原と同じく相澤も千葉でプロキャリアを始動させた守護神の一人だ。日本文理高卒業後の2019年にジェフ千葉へ加入するも、ルーキーイヤーの8月に左ひざ軟骨損傷によって全治5カ月の重傷を負った。
2021年にジェフ千葉を契約満了後、2021JPFAトライアウトに参加した際の接触プレーにより全治未定の中心性脊髄(せきずい)損傷を負った。
プロキャリア継続すら危ぶまれ、JFLラインメール青森やJ3ヴァンラーレ八戸でも試合に出られない中、2023年に開催されたJPFAトライアウトを経て昨季当時JFLに復帰した栃木シティFCに加入。先発の座をつかむとチーム初となるJFL優勝に貢献し、今シーズンもJ3で正守護神として活躍している。
試合には惜しくも敗れたが、X(旧Twitter)上では193cmの高身長GKの活躍に対して「相澤J3レベルじゃない」「PKストップ、痺れた…」など絶賛の声が上がっている。
奇しくも、同じルヴァンカップで目を見張る活躍を見せたジェフ発の若手GK松原と相澤。ジェフサポーターは二人の動向に要注目だ。