パリ装飾美術館でディレクターを務めていたオリヴィエ・ガヴェは2022年にルーヴル美術館美術工芸部門のディレクターに任命された。装飾美術館時代、数々のモード展のキュレーションに携わった彼。ルーヴル美術館で7月21日まで開催されている『Louvre Couture(ルーヴル・クチュール)』はその彼がキュレーターを務め、美術館にとっては初のモード展である。
ルイ14世の肖像画を掲げた部屋に彼の時代にふさわしい豪奢な服を集めて。右のブルーのドレスはジョン・ガリアーノによるクリスチャン・ディオール2006-07年秋冬オートクチュールコレクションから。左のパンツスーツはイヴ・サンローランの1984-85年秋冬オートクチュールコレクションから。photography: Mariko Omura ロエべ(2023-24年)、パコ・ラバンヌ(1967-1968年)、ガレス・ピュー(2011年)。photography: Mariko Omura ピリオドルームのCabinet de l'hôtel Villemaré-Dangéに展示されたイヴ・サンローランによる1997年春夏オートクチュール・コレクションのウエディングドレス。18世紀のローブ・ア・ラ・フランセーズを想起させる。photography: Mariko Omura 会場はリシュリュー翼とシュリー翼にまたがる約9000平米の広さを持つ美術工芸品部門だ。ここにはビザンチン時代から第二帝政までの家具、金銀細工、ガラス工芸、陶磁器、装身具、タピスリーなどがピリオドルームも交えて展示されている。
『ルーヴル・クチュール』展には45メゾンが所蔵する1961年から現代に至るファッションシルエットと装身具の合計99点が選ばれ、この部門内の展示品と関連する場所に配置して対話をさせている。ルーヴル美術館の所蔵品がどれほどデザイナーやクチュリエにとって大きなインスピレーション源になっているかをみせる趣向だ。モード作品だけを1番から99番まで追いかけるのではなく、そこにある展示工芸品も同時に鑑賞する展覧会である。時間の余裕をもって出かけるのが望ましい。
カールラガーフェルドの最後のコレクションとなった、シャネル2019年春夏オートクチュールコレクションから。ジャケットには18世紀の家具のモチーフがルサージュによる刺繍で施されている。photography: Mariko Omura
カール・ラガーフェルドによるシャネルの2012-13年メティエダールコレクション「パリ・エディンバラ」より。後方のタペストリーにみられるようなルネサンス期の男性の服からインスパイアされたルックだ。photography: Mariko Omura マリア=グラツィア・キウリによるディオール2017-18年秋冬オートクチュールコレクションから。ルネサンス期の力ある女性たちが所有していたタロットカードをクリスチャン・ディオールが所蔵していたことのヘリテージで、マリア=グラツィアは15世紀後半のタロットカードにインスパイアされた刺繍をコートに施した。photography: Mariko Omura 展覧会はクリスチャン・ディオールが1949年春夏オートクチュールコレクションで発表した"ルーヴル美術館"と名付けられたツーピースのソワレからスタートする。広く入り組んだ会場なので、入り口で99点のモードピースの展示配置図をもらうのを忘れないように。
展覧会はクリスチャン・ディオールのソワレ「ルーヴル美術館」(1949年)で開幕。サルヴァドール・ダリの妻ガラが着たこのオートクチュールピースは展覧会のためにアトリエによって新たに制作された。photography: Mariko Omura 左:ジャンニ・ヴェルサーチによるヴェルサーチ1997-98年秋冬オートクチュールコレクションより。右:ドルチェ&ガッバーナ2013-14年秋冬コレクション「Mosaico Sartoriale」より。photography: Mariko Omura 左:リック・オウエンスの2020年春夏コレクション「Tecuatl」より。右:ジョン・ガリアーノによるクリスチャン・ディオール2005年春夏オートクチュールコレクションより。 左:ティエリー・ミュグレーによるミュグレーの1995〜96年秋冬プレタポルテコレクションより、メタルのボディ。右:デムナによるバレンシアガの2023〜24年オートクチュールコレクションより。photography: Mariko Omura 左:ジョナサン・アンダーソンのクラッチバッグ「Pigeon(鳩)」。2022年。右:ドルチェ&ガッバーナの2016年春夏プレタポルテコレクション「Italia Love」の''ドルチェ・ボックス・バッグ''。photography: Mariko Omura 左:ジョナサン・アンダーソンによるロエベ2024-25年秋冬コレクションより。右:ドリス・ヴァン・ノッテンの2017年春夏コレクションよりコート。モチーフは17世紀後半のフレミッシュのタペストリーにインスパイアされている。photography: Mariko Omura 左:トム・ブラウンの2020年春夏コレクションより。右: シルヴィア・ヴェンチュリニ・フェンディによるフェンディの2019〜20年秋冬オートクチュールコレクションより。ルネッサンス期のパラスの床の幾何学模様をドレスに。photography: Mariko Omura 『Louvre Couture』展 開催中~7月21日 Musée du Louvre Département des objets d'art 最寄り入口 Passage de Richelieu Rue de Rivoli, 75001 Paris 開)9:00~18:00(月、木、土、日)、9:00~21:00(水、金) 休)火 料)一般22ユーロ(美術館+展覧会)