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timelesz・松島聡、「タイプロ」を経て人間&表現者として進化 メンバー愛も告白

  • 2025.3.22
timelesz・松島聡 クランクイン! 写真:高野広美

新メンバーを迎え、8人体制でのスタートを切った男性アイドルグループ・timeleszのメンバーとして、やさしいオーラとまばゆいほどの輝きを放つ松島聡。一方で着実に舞台への出演を重ね、俳優としても確かな実力を発揮。長澤まさみと森山未來がダブル主演を務め、4月10日に幕を開けるBunkamura Production 2025『おどる夫婦』では、長澤演じる女性の弟で、“自立を望みながらしかねている青年”役にチャレンジする。演じる上ではいつも、恥ずかしい部分や弱い部分にも向き合いながら、自分自身を深く見つめ、もがきながら、役作りに挑んでいるという松島。新メンバーオーディション「timelesz project(タイプロ)」を経て感じている仲間への思い、俳優業の覚悟までを語った。

【写真】じっと見つめる聡ちゃんの優しいまなざし! 松島聡、撮りおろしショット

◆長澤まさみとの共通点は「静岡愛!」

2019年に『ビューティフルワールド』で第27回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した他、数々の演劇賞を受賞してきた劇作家、演出家の蓬莱竜太による書き下ろし新作となる本舞台。長澤と森山が演じる、とある夫婦の約10年間の軌跡を描く。現代社会では生きづらい性質を持っている不器用な夫婦が、互いに相手を理解していると思っていたものの、共に生活する中でやがてほころびやズレが生じてくる様子を綴る。

蓬莱が手がけた舞台『広島ジャンゴ2022』を観劇したことがあったという松島は、「現代社会における不条理さや、その中で生きる人としてのあり方、価値観を繊細に描いている方だという印象があります」と蓬莱作品の魅力を口にしつつ、「今回僕が演じさせていただく光也(みつや)は、短期的な記憶がなくなってしまうという障がいを持った青年です。そして、社会に出たいけれど出られないという不甲斐ない気持ちを抱えている。今回は、そういった言語化するのが難しい葛藤についてお芝居を通して表現していかなければいけないと思っています」と意気込みを明かす。

蓬莱からは「光也役には、聡くんの人柄や雰囲気を反映したい」という言葉があったという。松島は、「僕はいつも、100パーセントまったくの別人を演じるということができなくて。どこか自分とリンクさせながら、役と向き合っていく作業が好きです。自分自身を投影させながら光也として生きることができたら、よりリアルに演じることができるのかなと思っています」と自分流の役作りについて解説。「蓬莱さんに引き出していただきながら、今回もうまく自分自身と結べるものを見つけていきたい」と力強く語る。

姉のキヌを演じる長澤とは、初共演となる。「テレビの向こう側の人というイメージ」と正直に打ち明けて微笑んだ松島は、「以前、舞台を観劇に行った際にご挨拶をさせていただいたことがあって。本当に飾らず、フランクな方で驚きました。少し会話をしただけでも、世の女性の皆さんが憧れる方だということが分かりました」と一瞬にして人柄や華やかさに魅了された様子。「共演者の方と仲良くするために、僕はいつも共通点がないかなとリサーチしたりするんです。長澤さんは僕と同じ静岡県出身なので、静岡愛をきっかけに会話が作れたら」と作戦を練り、「あと僕、長澤さんが出演されていた『プロポーズ大作戦』が大好きだったんです! 当時は学校で“プロポーズ大作戦ごっこ”をやっていました。もしご本人がお嫌でなければ、青春エピソードとしてお伝えできたらいいなと思っています」というから、長澤と紡ぐ姉弟関係にも注目だ。

◆俳優としての覚悟「本業はアイドルだもんね、と言われるのは悔しい」


2021年に喜劇『赤シャツ』で舞台初出演を果たし、2022年には中島らもの怪作『こどもの一生』で単独初主演を務めた松島。昨年はラブストーリー『ハロルドとモード』で黒柳徹子と共演するなど、話題作で鮮やかな存在感を発揮してきた。役者業の醍醐味について、どのように感じているだろうか?

「アイドルの時は、振り切ってアイドルとしての自分でいます」という松島は、「お芝居をやる時は、自分自身を見つめ直す時間がとても多くなります。そうすると自分の弱いところ、強いところなど、知らなかった自分も知ることができる。恥ずかしい部分にも向き合うことになるので苦しくもなるものなんですが、それは自分という人間を更新していくためにも必要な作業なのかなと。近年は1年に1度くらいのタイミングでそういった機会をいただけて、すごくありがたいなと思っています」としみじみ。「舞台は、アイドルとしての僕のことを知らないお客様ももちろん観にいらっしゃるので、厳しい意見をいただくことも考えられますが、それもとても勉強になります。役者のお仕事をしていて、『本業はアイドルだもんね』と言われるのはすごく悔しいこと。きちんと役者としての役目を果たすためにも、自分自身ときちんと向き合いたいと思っています」と真摯な眼差しを見せる。

初舞台となった『赤シャツ』では、「とても緊張していた」と苦笑い。出演を重ねるごとに「お芝居の上手い下手は、観る人が決めるもの。演じる側としては、『お芝居が上手い』と思ってもらいたいからステージに立つのではなく、いかに作品や役に対してアプローチできるのかが大事だなと。そう理解するようになってからのほうが、のびのびとお芝居ができている気がします。自分の持っている愛情は、すべて作品に注ぐことに徹したい」と“作品至上主義”を深めている。

「舞台は生ものなので、今でも緊張する」というが、「でも舞台だけではなく、ステージに立っていると『生きているな』という感じがします。僕が求められている場所、そして求めている場所はステージなんだなと。休業をした後に復帰をして改めてステージに立った時に、自分の居場所はここしかないと思った。綺麗事を言うわけではないですが、お客様を前にすると『自分の好きな場所はステージなんだな』と強く感じます」と語る表情は、清々しさと充実感に満ちあふれている。

◆「timelesz project(タイプロ)」を経て、人間&表現者としても進化


人間力を磨きながら、今の自分の持ちうるものすべてを注いで作品と役に向き合うのが松島流だ。そんな彼にとって、約10ヵ月にも及ぶtimeleszの仲間探し「timelesz project(タイプロ)」に打ち込んだ時間も宝物だ。

あらゆる人の魅力や本質を見つめる濃厚な期間となったといい、松島は「自分にとって、人間としての厚みを増してくれるような人たちに出会えた期間」だと感慨深げ。「その期間を通して、自分の至らない点や、むしろこれは自分の武器になりそうだなということも見えてきた。そこで得たものをグループ活動はもちろん、いろいろな表現の場においても生かしていきたいと思っています。得たものをいろいろな形で表現できる場所があるというのは、本当にありがたいこと」だと今の環境に感謝を込める。

インタビューでもどんな質問にもやわらかな笑顔とまっすぐな答えが返ってくるなど、誠実な人柄がひしひしと伝わってくるが、見えてきた自身の武器とは、「よくも悪くも、すべて100の力でやってしまうこと。100の力で向き合わないと、どんな仕事もできないタイプ。何事にも全力で手を抜かない」ことだと告白。「向き合いすぎるがゆえに、役においてもそこまで作らなくていいと思うようなことまで、作ってしまうんです。すると、それを削ぎ落としていく作業が大変になる時もあって。例えば『こどもの一生』ならば、自分が中島らもさんになって物語を書くとするならば……というところまで考えてイメージを作っていました」ととことん思考しながら、仕事に没頭している。

グループとしても大きな一歩を踏み出し、これからの道のりをまた新たに切り開いていこうとしている。松島は「仲間あっての自分。大人になるほど、苦楽を共にできるような、信頼できる仲間が増えていく」とニッコリ。

夫婦としてのあり方がテーマとなる本作にちなみ「理想の夫婦像」について聞いてみると、「僕は父子家庭ということもあって、自分の育ってきた環境にどこかコンプレックスがあって。そういったものが解消された夫婦でありたいというのが、正直な気持ちです。もちろん両親から受けた愛情、感謝は大事にしていますが、『ああしてほしかったな』というものを体現できるような、自分にとって欠けていたものを叶えられるような夫婦であれば、理想と言えるのかなと思ったりします」と思いを巡らせつつ、「また想像でしかありませんが、会話をしなくても一緒にいたいと思えるのが、夫婦なのかな」と回答。

「僕はそういった思いを、メンバーに感じていて。夫婦ってそれに近いのかもしれません。自分のすべてを知っている相手であり、こちらからなにも発さずともそばにいてくれるだけで安心できる存在。お互いにそう思えるのが、いい夫婦なのかなと思います」とメンバーを夫婦になぞらえて、愛情を傾けていた。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

Bunkamura Production 2025『おどる夫婦』は、東京・THEATER MILANO-Zaにて4月10日~5月4日、大阪・森ノ宮ピロティホールにて5月10~19日、新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場にて5月24・25日、長野・サントミューゼ 大ホール(上田市交流文化芸術センター)にて5月31日・6月1日上演。

※蓬莱竜太の「蓬」は、「一点しんにょう」が正式表記

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