Text by 石井彰(編集部)
20日に行われたワールドカップ予選バーレーン戦で2-0と勝利を収め、世界で最も早く本大会への切符を手にした日本代表チーム。
前半は苦戦したものの、後半になって途中出場の鎌田大地が見事な「エジルシュート」でゴールを決めてリードを奪い、さらに久保建英がダメ押し弾を叩き込み、試合を終わらせた。
今回は「日本代表における思い出深いスーパーサブのゴール」を特集しよう。
岡野雅行
試合:ワールドカップ1998アジア最終予選
日本で最も有名な「スーパーサブのゴール」といえば、1998年のワールドカップ予選でアジア第3代表を決めるためのイラン戦だ。
試合は同点のまま延長戦に突入。その開始時に投入された岡野雅行はいくつかのビッグチャンスを外してしまい、チャンスがありながらもなかなかゴールを奪えない時間を過ごしていた。
しかし迎えた118分、中田英寿のミドルシュートをゴールキーパーが弾いたところに滑り込みながらも合わせ、ゴールの中にねじ込んだ。これがゴールデンゴールとなり、日本を初めてのワールドカップ出場に導いた。
大黒将志
試合:ワールドカップ2006アジア予選
ジーコに率いられた日本代表チームは、ドイツで行われるワールドカップ2006の出場を目指して2大会ぶりの予選を戦った。
1次予選を全勝で突破したものの、シンガポールやオマーンに苦戦するなど不安を抱えたまま2次予選初戦の北朝鮮戦を迎えることになった。
開始直後に小笠原満男が先制点を決めたが、61分にナム・ソンチョルに同点弾を決められ、1-1とタイスコアのままアディショナルタイムに突入。
万事休すか…と思われたときにゴールを決めたのが、79分から途中出場していた大黒将志。この試合が初Capだったストライカーがチームを救うシュートを叩き込み、「神様、仏様、大黒様」と話題になった。
李忠成
試合:アジアカップ2011決勝
日本代表の歴史上、最も大きな途中出場からのゴールだった…と言っても過言ではない、大陸のタイトルをもたらした一撃。
カタールで行われたアジアカップ2011、ザッケローニ率いる日本代表は決勝まで勝ち上がり、オーストラリアとの一戦に臨んだ。
ただお互いにチャンスを生かせないまま延長戦に突入し、お互いに疲労が目立つ状況に。このままPK戦を迎えるかと思われた109分に日本の先制点が生まれた。
左サイドからの長友佑都のクロスを、98分から途中出場していた李忠成がダイレクトで合わせ、鮮やかにゴールへと突き刺した。これが決勝点となり、日本代表に4度目のアジアカップ優勝をもたらしている。
三笘薫
試合:ワールドカップ2022予選
「スーパーサブ・三笘薫」がサッカーファンに印象付けられたビッグマッチだった。
勝てば2022年ワールドカップ出場が決まるというオーストラリアとのアウェイゲーム。日本は試合終了間際までゴールを奪えず、0-0のままアディショナルタイムを目前にしていた。
しかし、84分から投入されていた三笘薫がその才能をピッチで証明する。89分に山根視来からの折り返しをペナルティエリアで合わせ、先制点を奪取。
さらに94分には左サイドから自らドリブルで切れ込み、数名のディフェンダーを置き去りにしてシュート。圧倒的な存在感を見せ、解説の中村憲剛からも「ジョーカー」と評価された。
堂安律&浅野拓磨
試合:ワールドカップ2022ドイツ戦
ワールドカップ2022はスペイン戦の堂安律も印象深いが、より重要だったのはドイツ戦での2つのゴールだろう。
グループステージの初戦、33分にギュンドアンのペナルティキックによって失点を喫した日本代表。後半は冨安健洋を投入してシステムを3バックにチェンジし、ペースを引き戻した。
そして75分には投入されたばかりの堂安律がゴールを決め、同点に追いつくことに成功。名手ノイアーが南野拓実のシュートを弾いたところを見逃さず、ペナルティエリアで目ざとくこぼれ球を狙ってのものだった。
さらに圧巻だったのは83分。長いボール一発で途中出場の浅野拓磨が裏に抜け出し、角度のないところからゴールの右上隅にズドンとシュート。これが日本代表に「ワールドカップ初の逆転勝利」をもたらした。