こんにちは、奈良在住の編集者・ふなつあさこです。先日、いつもお世話になっている京都のフォトグラファーさんに「ふなつさん工芸好きでしたよね?」とお誘いいただき、hotel kanra kyotoで開催されたKyoto Crafts Exhibition DIALOGUEに行ってきました。
工芸、好き好き〜! と気軽に出かけて、驚愕。というのも、ホテルの本館を貸し切って行われていて、半日かけても時間切れになってしまい、全部をチェックできなかったことが惜しまれるほどのボリュームだったからです。京都を中心に全国から集まった出展者の方々のなかから、大人世代におすすめしたいブランドや作家さんをピックアップしてみました。
なお、DIALOGUEは今回のような大規模イベントのほか、全国各地の工芸や手仕事に触れられるイベントなどを数多く手がけているので、京都旅行の目的のひとつするのもおすすめです。詳しくは公式サイトやSNSでのチェックを(プレスの方によると、情報が早いのはInstagramとのことです)。
播州織アパレル雑貨「POLS」(兵庫)
糸を先に染める「先染め」が特徴の播州織は、彩り豊かで、デザイン性の高い表現が特徴。オリジナルのジャカード生地で仕立てたこちらのシャツワンピースは、一枚で絵になります。レコードのジャケット風パッケージに入ったストールも小洒落てる!
絞り染め「ANDO」(京都)
「京鹿の子絞(きょうかのこしぼり)」などの絞り染めの伝統的な技術を今の暮らしにアップデートしたSHIBORI BAGが素敵。とくに、手のひらサイズからスマホも長財布も入るサイズに広がるショルダーバッグが気になりました。
靴下「yahae」(奈良)
国産靴下をもっとも多く生産する奈良のファクトリーブランド。“生成り”というのは繊維の色そのもののことをいいますが、オフホワイトもベージュもテラコッタも実は全部、使われている素材の綿花そのものの色。インダストリアルなムードがハンサムなコーデにも似合いそう。
陶アクセサリー「migiwa motohashi pottery accessories」(京都)
なんとも心くすぐられる陶器のアクセサリーたち。植物やいきもの、楽器など身近なモチーフをひとつひとつ手描きで装飾。かわいらしいけれど、甘すぎない絶妙なバランスです。私は左下の蓮のブローチを購入しました。
バッグ「macanai」(兵庫)
シューズデザイナーがまかない感覚で作り始めたというレザーバッグブランド。細長いものは、まさかのワイン用だそう。ワインを持ち寄ってのホームパーティにこのバッグで現れたら、なんておしゃれなんでしょう……!
京焼・清水焼「洸春窯」(京都)
京都・東山に窯を構える洸春窯では、粘土をペースト状にして絞り出して柄を描く「いっちん」の技法で作られた繊細なカップ&ソーサーに目を奪われました。今後は、西陣織の着物や帯に使われた残りの箔をアップサイクルしたシリーズも増やしていくそう。
漆プロダクト「丹波漆プロダクト」(京都)
生産量が減少している国産漆の産地・丹波。丹波といえばの丹波栗をモチーフにしたこちらは、文鎮。ほぼ栗ですが、持ってみるとずっしりとした重さ。漆染めのハンカチは、初めて見ました。自然な発色だそうですよ。
革製品「日本スエーデン」(静岡)
もともとは「スエーデン鋼抜型」という型のメーカーが手がける革製品。ホットサンドのような耳が特徴的なバッグやシール容器のような小物には、スエーデン鋼抜型で抜いたレザーが使われています。巾着にヒントを得た「Relief Object」シリーズも素敵でした。
木工挽物「岸本挽物」(静岡)
挽物(ひきもの)とは、ろくろや旋盤で木材から削り出された製品のこと。スタヂオ・ヨーがデザインしたオブジェクトは、温かみのある木材で、無機物のような構造物を作ることで、かえって高い技術力が引き立つ逸品。
民藝家具「Object-Position」(愛知)
「暮らすひと暮らすところ」のデザイナー、戸田祐希利さんが手がけるプロダクトは、使うために作られた実用性を備えながらも、どこか哲学的。ベッドやバスルームといったホテルの空間にディスプレイされたアイテムは、そこにあるだけでアート。
有職織物「Heishichi」(京都)
平安時代から受け継がれてきた有職織物を今の暮らしに合わせて提案する京都・堺町御門前の「平七」の浮織名刺入れは雅やか。平安貴族が愛した織物で仕立てられていて、ほかにはないステイタスが。「Heishichi」ラインのアイテムは、よりモダンな印象でした。
ハーブ製品「Tsuki」(滋賀)
月の満ち欠けのリズムに合わせて育てられたハーブから作られたお茶やコスメは心と体に気持ちよく働きかけてくれそうです。国産のアイランドヘナは驚くほど鮮やかな発色。系列の植物だけで施術するサロン「pocapoca & Ayurveda」でもこちらのヘナが使われているそう。
麻織物「能登上布」(石川)
昭和の最盛期には120軒以上あった能登上布の織元のなかで、唯一残った山崎麻織物工房による、手染め・手織りによる麻織物。能登独自の技術も受け継がれているそう。ローンチされたばかりの日常着ブランド「凜装」なら、ふだんの着こなしに取り入れることも。
工芸プロダクト「temane」(石川)
伝統工芸を体験できるハンドメイドキット。こちらの「水引結びアクセサリー」のほかに、「箔貼りiPhoneカバー、「香りの調合 お香」、「箸先の成形 お箸」を展開。自宅で手軽に伝統工芸ワークショップを楽しめるなんて新感覚。
この記事を書いた人
編集者 ふなつあさこ
生まれも育ちも東京ながら、幼少の頃より関西(とくに奈良)に憧れ、奈良女子大学に進学。卒業後、宝島社にて編集職に就き『LOVE! 京都』はじめ関西ブランドのムックなどを手がける。2022年、結婚を機に奈良へ“Nターン”。現在はフリーランスの編集者として奈良と東京を行き来しながら働きつつ、ほんのり梵妻業もこなす日々。