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メシへの偏見『チョコプランナー』/テレビお久しぶり#144

  • 2025.3.21
「テレビお久しぶり」 (C)犬のかがやき

熱狂はどこへ『昭和100年!激動のあの時はスゴかった』/テレビお久しぶり#143

長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『チョコプランナー』(テレビ朝日系)をチョイス。

メシへの偏見『チョコプランナー』

チョコレートプラネットのふたりがプランナーとなり、様々な企画をプランニングしていくバラエティ番組、『チョコプランナー』。今回のテーマは”少数者グルメクラブ”と題し、”多数派”とされる料理への本音を吐き出していく。カレーが嫌いな納言・薄幸、パンサー菅。うどんが嫌いな鬼越トマホーク・金ちゃん、きしたかの両名。フライドポテトが嫌いなヤーレンズ・出井、厚切りポテトが嫌いないぬ・有馬、唐揚げが嫌いなザ・マミィ・林田といった面子だ。

これはいい企画だ。もっと色んな人を呼んで、定期的に続けてほしい。メシへの偏見が一番楽しいものだ。それも、少数派に回って、剣を抜いて戦うのが、抜群に楽しいのだ。特に、逆張り思考を多分に含んでいる私は尚更。みんなが好きなものを嫌いと言いたいんで、”多数派”とされているメシへの悪口をいきいきとぶつけていく芸人たちの姿は実に爽快なものであった。

ちなみに私も、うどんが嫌い。味がないし金払ってまで食う理由がマジでない、美味しい出汁はあれど美味しいうどんはない、金ちゃんときしたかのが熱く語っていたのと概ね同じ理由で私も嫌いなのだが、彼らが「そばやそうめんは好き」と注釈を入れたことに驚いた。私はそばもそうめんも同じ理由で嫌いだ。いや、そばに関してはもはや、そばそのものの味が嫌いだ。しかもそばは高い。うどんは安いからまだいいが、そばは平気で1,300円取る。全然美味しくないのに。「本当に美味いそばを食べたことがないだけだよ」と言われることもあるが、では、その”本当に美味いそば”とは具体的にどこにある?私は出会ったことがない。どうして、私に見つからない場所に隠れている?本当に美味いのなら、堂々と私の前に現れるべきだ。

そばの悪口を言いすぎてしまったが、メシへの偏見は楽しいから仕方がない。熱量を持って語れるほど具体性がないからこのあたりに小さく書いておくが、唐揚げもあまり好きじゃない。ザ・マミィ林田は番組内で、かつて大好きだった唐揚げは、味に幅が無く、完全に覚えちゃったからもう食べなくていい、と語っていて、これはよくわかる感覚。唐揚げに対して「もう知ってる」という指摘は相当しっくりくる。もちろん、メシなんて、大方知っている。食べたことのあるメシは知っているのが当たり前だ。しかし、唐揚げはマジで知ってる。たしか向こうから話しかけてきた気がする。連絡先を交換して、何度かやり取りをした覚えもある。私はそれくらい、唐揚げのことを知っている。

最近、昔から食べられなかった大葉が食べられるようになっていてビックリした。紅しょうがも食べられるようになった。嫌いな食べ物が平気になると、アイデンティティが失われたようで少し悲しい。ただ、トマトはいつまでもマズいね。パクチーはもしかしたら食べられるようになっているかもしれないけど、あれを克服する意味はないね。パクチーが私を克服すべき。やっぱり私は、好きなものの話より、嫌いなものの話がしたい。

■文/城戸

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