編集者たちが見つけたお気に入りの逸品を熱く語る連載。今回は、ロエベの最新バッグ「マドリード」との出合いを編集TKが語ります。
新しいアイコンバッグを人生の相棒に。
ロエベからまったく新しいラグジュアリーなバッグが発売されると聞いたのは昨年10月のこと。遡れば、9月に開催された2025年春夏コレクションのショーから目を引いていたのがこの「マドリード」バッグだった。これまで数々の名作を送り出してきたロエベからブランド発祥の地名を冠した新作が登場となれば、俄然深掘りしたくなるのが編集者の性(サガ)。さっそく資料を送ってもらったのだけど、実は画像を見て「どういう構造?」と目を丸くした。
カラーはダークバーガンディのほか、ブラック、オリーブ、バーントレッドを展開。「マドリードバッグ」(H23×W28.5×D11cm)¥829,000/ロエベ(ロエベ ジャパン クライアントサービス)
......2連のストラップとジップを跨いでニョキッと出たフラップベルトとは果たして?
その疑問を払拭し、感動したのは数カ月後に実物を手にした時。なめらかな肌触りに、艶めくサプルカーフレザー。複雑そうに見えたストラップは巾着紐のようにバッグの開口部にぐるりと通され、長さを調整することでショルダーやクロスボディに変化する。芸術的なトラペーズボディは両サイドが蛇腹でガバッと開き自由度が高い。開口部に添えられたペブル付きのベルトはマグネット式で簡単に着脱可能。
手作業で丁寧に作られていく。美しいカーブを形作るために開発されたサプルカーフレザーを使用。
内側には、エンボス加工を施したカードスロット付き。
金具部分には人間工学に基づいたショルダーパッドがつけられる。
なるほど、あの時覚えた"一筋縄ではいかない感"はバッグに秘められた機能性だったのね、と納得。贅沢な素材をたっぷり使いながらその機能を実現できたのはロエべの原点であり、崇高なクラフトマンシップがあってこそだと思う。多様なスタイル作りに欠かせない気配りの行き届いたデザインは、新時代のエディターズバッグになりそうです。(編集TK)
問い合わせ先:
ロエベ ジャパン クライアントサービス
03-6215-6116
https://www.loewe.com/jap/ja/home
*「フィガロジャポン」2025年5月号より抜粋