3月20日よりFODで配信される日米共同制作ドラマ『HEART ATTACK』の完成披露試写会が19日、TOHOシネマズ・六本木ヒルズにて開催された。イベントには主演の寛一郎と三浦透子、共演のSAKURA、めがね、阿部久令亜、監督の丸山健志が登壇。ドラマの見どころや撮影秘話をたっぷりと語った。
『HEART ATTACK』とは
本作は、『インビンシブル』や『ウォーキング・デッド』などの大ヒット・フランチャイズを手がけるクリエイター主導の米国マルチプラットフォーム・エンターテインメント企業の「スカイバウンドエンターテインメント」(以下、スカイバウンド)とフジテレビが共同で制作するドラマ。
近未来の日本を舞台に、超常的な能力を持ち、世間から迫害されているヴァリアントの権力への抵抗や運命的な愛情を、スリリングな展開で描いた作品だ。ヴァリアントの人々は、“奈落”という集落に隔離され、VCU(ヴァリアント犯罪課)という組織に常に監視されている。監督は、映画『スパゲティコード・ラブ』(2021)で長編映画デビューを飾った丸山健志。
丸山監督「実験的な要素を散りばめた」
ヴァリアントでありながら、VCUのスパイである主人公のウミンを演じるのは2017年に俳優デビュー以来、第27回日本映画批評家大賞の新人男優賞、第33回高崎映画祭の最優秀新進俳優賞など数多くの受賞歴がある実力派俳優の寛一郎。
ステージに登場した寛一郎は、第1話の試写会で機材トラブルにより第2話冒頭の音声が流れたことに触れ、「あれは作戦です(笑)」と語って観客の笑いを誘った。
もう一人の主人公で、インフルエンサーユニット「L」のメンバーとして、日々Makumaという動画配信プラットフォームで、ヴァリアントに自由と権利を求め動画を配信しているエマを演じるのは、第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した映画『ドライブ・マイ・カー』でヒロインを務めた三浦透子。
ドラマの見どころを聞かれた三浦は、「本当に細かいところにまでこだわりが詰まっていて、私たちヴァリアントが住んでいる奈落の世界観を表現するための工夫が面白い。例えば、食事やクラブでみんなが踊っているダンスとかも、我々がいま生きている世界で流行っているものとはちょっと違う、奈落という世界での流行りを作り出しています」と語る。
その具体例として紹介されたのが、第1話でエマたちが食べていた赤い麺だ。味について、「L」のメンバーでメカ担当のブクロを演じているSAKURAが「汁は塩味で、麺はこんにゃく麺みたいな」と説明。エマの最愛の妹・陽毬を演じる阿部久令亜は「奈落の食べ物はちょっと毒々しいけど、食べると普通に美味しかった」と振り返る。
そうした独特の世界観を作り出した丸山監督は、「アメリカ原作のコミックスなので、舞台はアメリカの設定なんですよね。それを日本を舞台にドラマ化するのは、ある意味、色んなところにチャレンジしがいがありました。奈落に隔離されている状況の中では、食事一つとっても多分普通の食事ではない。なので、見たことのない赤色の麺だったり、こうやったら面白いんじゃないかという実験的な要素を散りばめた感じです」と語った。
三浦透子、ムードメーカーのめがねに感謝の気持ちを語る
撮影中の思い出について聞かれる中、寛一郎が、Lのメンバーで、美術担当の飴ちゃんを演じためがねについて「とにかくずっと喋ってるんですよ(笑)」と暴露。
すると、めがねはすかさず「ちょっと言い訳していいですか？」と名乗り出て、「この作品では差別され、阻害され、そして国から追放され、人権を失いながらも生きていっている人たちの姿が描かれているんですが、本をいただいた時にちょっとこれは一人では背負い切れないなと思いまして。Lっていう革命軍のメンバーでもあるので、とりあえずこのLだけでも心を通じ合わせたいと思い、たくさん話させていただきました」と、理由を説明した。
三浦も「初対面の時からすっごい(めがねが)話しかけてくれて。それがきっかけでみんな仲良くなれた気がする」と振り返りつつ、「でも無駄話ばかりしているわけではない」とフォロー。
「とても芝居に熱いところがあって、このシーンどうしようとか、あのセリフ言い方あってたかなとか、すごく悩んでる姿も私は見ていて、そういうのも含めていろんな会話ができた現場だったなと思います」と語った三浦に、めがねも「透ちゃん(三浦)が悩んだ時にどんな質問をしても全て答ださるんですね。こんなに心強いことはない」と感謝の気持ちを明かした。
阿部久令亜の大人っぽい回答に寛一郎も感心
様々な能力を持ったヴァリアントが出てくる本作にちなみ、「個人的に欲しい能力」について聞かれた一同。「1分で本の内容が入ってくる(寛一郎)」「何も考えなくても目的地にたどり着ける(三浦)」「物を動かす(SAKURA／めがね)」といった日常が少し楽になる能力が上がる中、阿部は「ちょっとだけ先のことがわかる能力」と回答。
「10年とか先が見えちゃうと面白くなかったり、選択肢を変えたりとかで色々複雑になっちゃうと思うんですけど、本当に5秒とか、それくらい先だったら、これから転ぶとか、洋服の糸引っ張っちゃって穴が開いちゃうとか、そういうのを防げるから便利じゃないかなと思いました」という理路整然とした阿部の言葉に、「これです(笑)」と寛一郎も感心しきりだった。
そんな阿部から、寛一郎に「どうしたらそんなに背が高くなれますか？」という質問が。1年で10cm伸びたが、もっと背が高くなりたいという阿部に、寛一郎は「もちろん遺伝的なものもあると思うと思うんですけど、僕はとにかくたくさん寝てましたね」と回答。三浦からも「私は遺伝的にもうちょっと大きくてもいいはずなんですけど、子供の時、あまり寝なかったから大きくならなかった。だからたくさん寝な」とアドバイスされた阿部は、「本当に参考になりました。今日からいっぱい寝ることにします！」と元気よく応えた。
冨岡愛が主題歌「強く儚い者たち」を生歌唱
もう一人のLのメンバーで、メイク担当の花蓮を演じたのは向里祐香。仕事の都合で会場に来れなかった向里からは、「皆様がご覧になった『HEART ATTACK』。日本のドラマでは、今まで見たことのない世界が広がっています。しかし今の私たちとリンクするテーマが根底にありますので、この唯一無二の世界観を楽しんでいただけたら嬉しいです」というメッセージが寄せられ、司会進行の生田竜聖アナウンサーが代読した。
VCUの警部で、ウミンをスパイとして飼っている劉役の岸谷五朗からはビデオメッセージが。その中で、「寛一郎とサウナで話すというシーンがありまして。 苦労したのは、あのサウナが結構寒かったっていう(笑)。全然暖かくなくて、ちょっと鳥肌立つぐらい寒い中、熱い芝居をするというのは寛一郎も大変だったんじゃないかなと思う」と撮影の裏話を明かした岸谷。それを受け、丸山監督は「熱くすると機材が壊れちゃうので」とフォローしつつ、「申し訳ない。でもお二人が頑張ってくださった分、熱気は伝わったかなと思います」と語った。
また、原作コミックスのシナリオを手がけている脚本家兼共同クリエイターのShawn Kittelsenもアメリカから来日。Shawnは今回のドラマを「拝見させていただきながら心がわき踊る気持ちがし、本当に心から誇りに思いました」と絶賛し、「私が書き上げたストーリーの精神というものをそのまま維持していただきながら作り上げていただき、丸山監督をはじめ、キャストの皆さん、クルーの皆さんには感謝しかありません」と感謝を述べた。
さらに、主題歌を担当した冨岡愛も登場。エンディングで流れるCocco「強く儚い者たち」のカバーを生歌唱した。その歌声について、「声がすごくまっすぐで言葉がとても入ってくるなという印象があって。大人の女性に聴こえる時と少年のように聴こえる時と、その波が聴いていて感動しました」と三浦。昔からカラオケでは欠かさず「強く儚い者たち」を歌うというSAKURAも、「強く儚いというタイトルの通り、強さもあり、だけど人間の弱さも表現されていて感動しました」と賞賛した。
丸山監督と主演2人がドラマをアピール
完成披露試写会の最後には、丸山監督と主演の2人からメッセージが送られた。
丸山監督は「魅力的なキャラクターがたくさん登場し、色んな人間ドラマを繰り広げていきます。他にも音楽、衣装、美術など、色んなところが見どころになっているので、予告編など少しでも引っかかる部分がありましたら、ぜひ見てほしいなと思います」とアピール。
三浦は「生まれながらに持ってしまった違いによって、与えられた環境の中でもがくキャラクターの姿に、私自身も演じていて勇気をもらいました。ドラマを見て、もしいいなと思っていただけたら、この作品を広めていっていただけたら嬉しいです」と語った。
また寛一郎は「1話から8話まですごい人間ドラマのストーリー、かつ丸山監督がおっしゃったように音楽、衣装、小道具、美術など、全てにこだわりが詰まっていて、一回で観切れる情報量ではございません！」と断言。その上で、「FODで無料配信される1話を観返していただければ、必ず皆さんは2話以降も観るため、FODに入会してくれることだろうと思います」と宣伝し、観客を笑わせた。
ドラマ『HEART ATTACK』はFODにて全話配信中。ドラマ本編に加え、メイキングショートバーションも無料配信される。さらに今回の完成披露試写会の模様も後日配信予定となっているので、ぜひ併せてチェックしてほしい。
