『パラサイト 半地下の家族』(19)で韓国映画初のカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し、第92回アカデミー賞では非英語作品として初の作品賞に輝いたポン・ジュノ監督のオスカー受賞後初の最新作『ミッキー17』(3月28日公開)。このたび本作から、日本映画界を代表する名優、役所広司からの絶賛コメントとメイキング映像を収めた特別映像が解禁された。
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人生失敗だらけのミッキー(ロバート・パティンソン)が手に入れたのは、何度でも生まれ変われるという“夢の仕事”。ところがその実態は、身勝手な権力者たちからの過酷すぎる業務命令で、次々と死んでは生き返るというものだった。日々搾取されつづけるミッキーは、ある日の仕事で生死の境を彷徨い、命からがら生還を果たす。ところが部屋には、手違いでコピーされたもう一人のミッキーがおり…。
今回、役所が本作にコメントを寄せた。その背景には、役所が主演した『すばらしき世界』(21)に対して、ジュノ監督が心のこもった書簡を送った、という経緯がある。同作を鑑賞したジュノ監督は、「実に深く、遥か先まで進んだ映画だ」とした上で、「表情や目つき、わずかな手の動きや仕草で主人公の人生の履歴を余すところなく表現してしまう 役所広司の驚くべき説得力にあらためて感服した」と、他の追随を許さない俳優、役所の迫真の演技力に最大級の賛辞を贈っていた。
このたび解禁された特別映像は、いち早く本作を鑑賞した役所の「劇場は、独特のブラックユーモアで笑い声に包まれるだろう。そして、我々は見たこともない世界に連れて行かれる」という、ジュノ監督からのメッセージへの返信となる役所のコメントから幕を開ける。劇中でブラック企業のトップであるマーシャルを演じたマーク・ラファロがジュノ監督のスタイルに賛辞を送り、ミッキー役のパティンソンは出演を快諾したことを明かす。
そしてジュノ監督が「作品自体が美しく、おもしろい映画を作ろうとした。『ミッキー17』はそうして生みだされた」と満面の笑みを浮かべながら語り、「SFやコメディの要素に加えて、深い人間ドラマを描いている。存分に楽しんでもらえると思う」と自信たっぷり。アカデミー賞での歴史的快挙から5年。世界中が待ち望んだ最新作で、稀代の映像作家ポン・ジュノは我々にどんな世界を見せてくれるのか。公開まで残り1週間、“逆襲”のはじまりに備えよう!
文/久保田 和馬