茨城県水戸市の「菓匠にいつま hanare」は、地元の人気和菓子店直営の和菓子カフェです。ナチュラルな雰囲気の居心地のいいカフェでは、ひとつひとつていねいに作った和菓子と、それに合うお茶が味わえます。 季節の移ろいを感じられる心ときめく和菓子や、おいしい温度で目の前で淹れてくれるお茶に、心もリラックスできますよ。焼きたてを提供してくれる「銅鑼(どら)焼き」や、つきたてのお餅で包む朝の大福も人気の理由。ゆっくりした時間を過ごしに、水戸のカフェへ出かけてみませんか。
三代続く和菓子店直営の和菓子とお茶を楽しむカフェへ
茨城県水戸市にある「菓匠にいつま」は1968(昭和43)年に創業し、地元に愛されている和菓子店です。その和菓子店から数メートル離れた児童公園の隣りに2020年にオープンしたのが「菓匠にいつま hanare」。こちらは3代目の新妻さんが営む、和菓子が味わえるカフェです。
坪庭を眺めるカフェスペースは、天気のいい日にはやわらかい日差しがカフェに注がれます。奥には畳敷きの小上がり席も。こちらは小さなお子さんのいる新妻さんが、「お子さん連れにも気兼ねせずに、カフェでゆっくりしてほしい」との思いで作った畳敷きスペースです。絵本やおもちゃも置いてあります。
自家製餡にもこだわりをもつ和菓子作り
「菓匠にいつま hanare」の生菓子は、すぐそばの本店と同じものを提供。新妻さんは祖父、父と一緒に3世代で和菓子を作っています。昔からあるお店なので基本に忠実に作っていますが、若い人たちにも手に取ってもらえるように、たとえば練り切りをクリスマス向けのデザインにしたり、チョコレートや紅茶餡を使ったりするなど、ひねりを加えているのがこだわりだそう。
自家製餡も3代それぞれで担当しています。和菓子によって餡の糖度や水分量、小豆の品種を変えるなど、手間暇かけて和菓子を作っています。
香ばしい香りに満たされる焼きたての銅鑼焼き
店頭で香ばしい甘い香りを漂わせているのが、人気の「銅鑼(どら)焼き」。餡の担当は3代目の新妻さんです。北海道十勝産の大納言の中でもとくに粒が大きいものを選んでいるそう。粒をつぶさないようにし、食べたときに小豆の香りがしっかり感じられるようにていねいに作っています。スタッフの和菓子職人・廣野さんいわく「焼きたての皮の香ばしさに負けない、力強い濃厚な餡」です。
カフェでいただく銅鑼焼きは、注文ごとに職人が焼きたてを出してくれるというのも評判の理由。銅板で焼く皮は火加減がかなり難しいそうで、職人技が感じられます。きれいに焼かれた皮を見ただけでもおいしそうです。
味は「小豆」「笠間の栗」「餡バター」「求肥」の4種類。人気の「餡バター」は、ふっくらした大粒の餡と濃厚なバター、香ばしい皮のハーモニーがいいですよ。
まるでコースのように楽しめるお茶時間
「hanare」では、和菓子に合わせたお茶が味わえるのも大きな魅力。コースのように提供のタイミングと温度を変えた3煎を、目の前でスタッフがていねいに淹れてくれます。
まず1煎目はお茶だけを楽しむ時間。煎茶の場合はお茶の甘みを楽しむために、低温で淹れます。飲み終わったころの2煎目は和菓子と一緒に。甘いお菓子と合うように高温で淹れて、苦みや渋みを楽しみます。3煎目はお菓子を食べ終わったころに。こちらも高温で淹れたお茶を味わい、くつろぎタイム。なかなかないサービスに、心もリラックスできますよ。
15種類の日本茶があり、その中からその日に選んだ4種類の煎茶、和紅茶、和烏龍茶、ほうじ茶が味わえます。ほかには水出しや抹茶、冷抹茶も。京都産の抹茶は鉄釜で沸かしたお湯を使い、カウンターで点ててくれます。香りがいい抹茶です。
春夏は冷たい水出しがおすすめ。香りを楽しむために、冷茶はワイングラスを用意しています。お菓子やお茶に使う器は、作家さんに作ってもらったオリジナルの笠間焼。すてきな食器にも注目して、お茶の時間を楽しみましょう。
和菓子は「hanare」にもありますが、本店で購入した和菓子もこちらのカフェで、ドリンクを1杯注文すれば味わうこともできます。季節のあんみつや「豊祝」という品種を使った「大納言ぜんざい」は、カフェ限定のメニュー。季節のあんみつは、春はいちご、夏は桃、秋は栗などが添えらます。夏は冷やしぜんざい、かき氷も味わえますよ。
季節を大切にする和菓子のビジュアルに心もほっこり
四季折々の情景が目に浮かぶ季節の生菓子は、ぜひ味わいたい一品。常時6~10種類ぐらい用意されています。春を代表する和菓子のひとつ桜餅は、もちもちした焼き皮の生地。中はしっとりした桜餅用の餡を入れ、上品な甘さです。
2枚の花びらを表現したという和菓子職人の廣野さんデザインの桜の練り切りも、その可憐な形に心がときめきます。提供は前後しますが、桜が咲く4月1週目ごろまでの予定。こいのぼりや菖蒲など端午の節句、梅雨時期のアジサイをモチーフにした練り切りなどが続きますよ。
この日のお茶は、静岡産の煎茶「静7132」をセレクト。桜餅の桜の葉に含まれている香気成分「クマリン」がお茶にも含まれているので、桜餅との相性がいいそう。
朝一番に味わいたい♪ とろけるような大福に感動
大福のお餅は、毎朝もち米をついて作っています。「朝はつきたて、包みたてのできたての大福が食べられます。朝の大福はとくにおいしいです!」と廣野さん。大福のとろけるようなやわらかさに驚きます。11月から4月中旬ごろまでは「いちご大福」が人気。酸味のあるいちごが合うそうで、茨城県産など旬のいちごを使っています。餡もいちごに合わせたもので、酸味とのバランスは抜群。定番の「豆大福」(7~8月をのぞく)もぜひ。
いちご大福には静岡県「茶屋すずわ」の和紅茶「べにふうき」がおすすめだそう。べっこうのような自然な甘さがいちごと合いますよ。朝はできたての生菓子や、つきたての餅で包む大福が味わえるので、朝カフェも楽しんでみては。9時から10時30分に入店すると、「朝の茶と菓」というセットも味わえます。
参加してみたくなる練り切りのワークショップも
ショップカウンターでは、持ち帰り用の季節の和菓子や銅鑼焼き、季節のギフト用落雁や琥珀糖などを販売。おみやげにどうぞ。実際に味わって気に入ったお茶も購入できますよ。
カフェでは毎週水曜日に「練り切り菓子ワークショップ」を開催。職人と一緒に月ごとの練り切りを作り、お茶と一緒に味わう体験です。観光客ももちろんOK。興味がある方はInstagramをチェックして、予約してみましょう。
目の前でスタッフが淹れてくれたお茶と、職人が丹精込めて作るおいしい和菓子を味わいながらゆったり過ごせば、心もほぐれていきます。ぜひ「菓匠にいつま hanare」へ足を運んでみてはいかが。