親戚の結婚式に参列したときのことです。わが家の子どもたちは、結婚式でファーストバイトのスプーンを新郎新婦に届けるという役割を任されました。しかし、まさかの展開になってしまったのです――。
双子にとって初めての結婚式
双子が1歳半のころ、親戚の結婚式に招待されました。式の最中に泣いてしまうと迷惑になると思い、最初は私だけが参列する予定でした。しかし、母に「結婚式に行く機会もあまりないんだから、出てみたらどう?」と後押しされ、家族で参列することになったのです。
チャペルで大泣きする娘
普段は着ないような洋服でおめかしして、さらに周りにはたくさんの大人たち。双子のテンションはマックスでした。その後、親族だけがチャペルに呼ばれ、私たちも指定された席に着席。やがて、オルガンの音が響き渡り厳粛な雰囲気が漂い始めたそのとき、まさかの事態が発生。なんと突然、娘のほうが「ギャーー!」と大声で泣き出してしまったのです。
「このままでは式の邪魔になる」と思い、私は夫に息子のほうを任せて急いで席を外し、廊下で娘をあやすことに。どうやら眠くなったようで、しばらくしてスヤスヤと眠ってしまいました。
予想外のファーストバイト
挙式で泣き疲れた娘は、披露宴が始まっても私の腕の中でぐっすり。双子は、中盤のファーストバイトのタイミングで、スプーンを新郎新婦に届けるという役割を任されていましたが、娘が目覚める様子はありません。
ついに、司会者が「さぁ、次はファーストバイトの時間です。かわいい双子ちゃんがフォークを届けてくれます!」と紹介し、スポットライトが私たち家族に当たると参列者全員の視線がこちらに向きました。
それでも起きない娘。もう、この状況を乗り切るにはこれしかないと思い、私は夫と息子にフォークを託すことに。しかし、注目を浴びて恥ずかしくなったのか、今までご機嫌だった息子も急にグズグズし始めてしまったのです。フォークを持っていくだけなのに、新郎新婦までの道のりがとても長く感じられました。周囲の参列者はみんな大爆笑でしたが、私たち夫婦は冷や汗をかき、ドッと疲れた結婚式となったのです。
後日、「ぐだぐだしたり、チャペルで泣いてしまってごめんね」と新郎新婦に謝ると、「とても大変な役割を引き受けてくれてありがとうございます。僕たちの記憶に残るファーストバイトでした」と温かい言葉をいただきました。
その後送られてきた結婚式の写真には必死な表情の私たち夫婦の姿が。でも、周囲の参列者たちはとても幸せそうに笑っていたので、少しでも笑顔を与えられていたのなら良かったなとホッとした一件です。
著者:野中 まゆ/30代女性/2022年生まれの男女双子の母。13年保育士として勤務。出産を機に退職し、現在は保育士経験や自身の子育て体験をもとに、在宅で執筆業務をおこなっている。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年3月)
ベビーカレンダー編集部