【写真】面影も…!20年以上前から活躍するパク・ウンビンの“天才子役”時代ショット
韓国ドラマに詳しくなくても一度はそのタイトルを耳にしたことがあるであろう「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(2022年)。韓国で社会現象級のヒットを巻き起こし、日本でも配信されて爆発的人気を得たリーガルドラマの主人公ウ・ヨンウを演じたのが、パク・ウンビンだ。心の清らかなヨンウから一転、最新作「ハイパーナイフ 闇の天才外科医」では、憧れ抜いた恩師の裏切りによって闇に突き落とされた狂気の天才外科医チョン・セオクを演じている。演じる役柄によってすさまじい変貌ぶりで視聴者を驚かせる俳優パク・ウンビンの魅力に迫る。
4歳で芸能活動開始!ティーンの頃から大作に出演
ウンビンは1992年9月4日生まれ、現在32歳。まだ4歳だった1996年に子ども服のモデルとして芸能活動をスタートさせ、1998年に子役デビュー。幼い頃からドラマやバラエティー番組で活躍してきた。
製作費200億ウォンの超大作「善徳女王」(2009年)やペ・ヨンジュン主演の「太王四神記」(2007年)をはじめ、「ソウル1945」(2006年)といった大作でメインキャストの少女時代を演じ、10代の頃から注目を集めてきた。「千秋太后」(2009年)では千秋太后の妹ソルの少女期を演じ、「KBS演技大賞」青少年演技賞を受賞した。
10代の終わりからは、ティーン向けのドラマへも積極的に出演。スジやIU、キム・スヒョンらが出演した青春ドラマ「ドリームハイ」(2011年)では最終回、スジ演じるヘミの妹へソン役でカメオ出演。登場シーンは短いものの、2PMのテギョン演じるグクの頬にキスするという役柄で印象を残し、日本の同名ドラマをリメイクした「プロポーズ大作戦~Mission to Love~」(2012年)では長澤まさみが演じたヒロインに相当するキャラクターを好演した。
「恋慕」では男装の“イケメン王子”役も話題に
そんな彼女にとって最初の大きなターニングポイントと言えるのが、“演技の神”ナムグン・ミン主演ドラマ「ストーブリーグ」(2019年)。初回5.5%から最終回19.1%と視聴率も爆発的に伸びた大ヒット作で、球団のため奔走する熱血タイプの運営チーム長イ・セヨンを熱演した。韓国プロ野球界唯一の女性チーム長として、万年最下位の球団に情熱を傾け、やさぐれたり熱くなったり…。感情を表に出さない主人公スンス(ミン)とは対照的な人間味ある演技が“人生キャラクター”(人生で最も素晴らしい演技をした役のこと)と称され、愛された。
ロマンス時代劇「恋慕」(2021年)では、双子の兄の代わりに男装して王子になるキャラクターを演じ“イケメン”ぶりが評判に。同年の「KBS演技大賞」で最優秀女優賞、女性人気賞、相手役のロウンと共にベストカップル賞…と“三冠”を成し遂げたほか、韓国放送大賞でも最優秀演技者賞を受賞。作品自体も韓国ドラマとして初めて国際エミー賞を受賞する快挙となった。
「ウ・ヨンウだけは私が世界で一番愛さなければ」
30歳の年、2022年に放送されたのが「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」。自閉スペクトラム症であり、ソウル大を首席で卒業した天才ウ・ヨンウが新人弁護士として成長する姿を描いた同作は、ウンビン演じるヨンウの圧倒的透明感と、抜けているところもありながら土壇場で素晴らしい才能を発揮する稀有なキャラクターが最大の魅力だ。
ワルツステップを踏みながらスカートを揺らして回転ドアをすり抜けるシーンなど、同性でも見とれてしまうほどチャーミング。カン・テオ演じる事務所スタッフ、イ・ジュノとのロマンスも絶品で、視聴者のハートをがっちりつかんだ。放送局が2022年にできたばかりで知名度が低かったケーブルチャンネルENAだったにもかかわらず、視聴率は初回0.9%から最終的には17.5%まで上昇。これにはウンビン自身も「3%超えれば大当たりだと思っていましたから…17%は怖かったですね」と振り返る。
だが実は、自閉スペクトラム症のヨンウというキャラクターを引き受けるのに、1年も悩みに悩み抜いたという。そんなウンビンをヨンウへと向かわせたのは、作家陣への信頼と、ヨンウというキャラクターへの愛情だった。
韓国の人気トークバラエティー「ユ・クイズON THE BLOCK」に出演した際、彼女は「私が“ウ・ヨンウに会う”と決意した瞬間から、多くの人がなんと言おうと、どう思おうと、ウ・ヨンウだけは私が世界で一番愛さなければならないと思いましたが、それが最後まで全うできて本当にうれしかったし、たくさんの愛を受けられるようになって、うれしいです」と語っている。1年かけて役を引き受けたウンビンは自閉スペクトラム症の研究を専門とする教授に会い、綿密にリサーチを行ってヨンウというキャラクターに近づいていった。
「最後にはこんな人もいるだろうと感じてもらえれば」
「ヨンウに会う」という言葉からも分かるように、ウンビンは演じるキャラクターに一人の人間として向き合う。最新作「ハイパーナイフ 闇の天才外科医」の制作発表会見でも、演じることについて「俳優としてどのようなキャラクター、どのような人生に出会うのか、計算して演技するほうではありません。その状況と呼吸に合わせて、五感を使って演じます。私も知らなかった自分の姿を発見した時、これが(演じるキャラクターの)顔なんだなと思うんです」と語っている。
「ハイパーナイフ―」で演じるのは、手術と“人間の脳”を愛し過ぎて自分の人生を台無しにする天才外科医セオク。医学の知識と手術のテクニックは天才的、だが衝動を抑えることができず、自分を裏切ったかつての師と壮絶な関係性を築かざるを得ない…常軌を逸したキャラクターだ。
ウンビン自身、会見でも「応援してほしいとはとても申し上げられない」と笑わせつつ、「たとえ視聴者の皆さんが理解するのが難しくても、最後にはこんな人もいるだろうと感じてもらえれば、というのが私の目標」と語っている。
とても共感できないような振り切ったキャラクターにも呼吸を合わせ、五感をフルに生かして、“こんな人もいるだろうな”と思わせる――それが、若くして芸歴28年のキャリアを誇るウンビンのすごさだ。本人も「やったことのないジャンルであり、キャラクター」という今作でベールを脱ぐ、誰も見たことのない“クレイジーなウンビン”を見届けたい。
オリジナルドラマシリーズ「ハイパーナイフ 闇の天才外科医」(全8話)は、ディズニープラスのスターで毎週水曜に2話ずつ新エピソードを配信中。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
※記事中の視聴率はニールセンコリア調べ