思い出のごはんと言うと記念日や誕生日と言った特別な日だけでなく、自分の好きなメニューが家の夕食に出てた日など、たくさん思い浮かぶ。
その中でも、ずっとやってみたいと思っていた、白川郷の合掌造りの茅葺き屋根の家屋に泊まるという夢を叶えられた日のごはんについて書きたいと思う。
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私が白川郷に行ったのは、社会人になってからだ。
大学の時からの友達と一緒に、金曜日に有休を取って向かった。
本当は祝日を含めた3連休の休みで行きたかったのだが、やはり人気のスポットというのもあり、予約を取るのは難しかった。
最初は茅葺き屋根に雪が積もった白川郷を見たいなと話していたのだが、さすがに寒そうだという話と年末は仕事が忙しいということもあり、紅葉の時期に訪れることにした。
大抵私は問題なく有休が取れるのだが、 運悪くその金曜日は大事な会議が重なるかもということが予約を取った後に分かり、私はかなりひやひやしていた。
友達2人とは別行動で、土曜日からの参加になるかもと覚悟していた。
しかし会議は1週間後にずれ、最初から友達と旅行に行けることになった。
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1泊目は高山に泊まり風情ある街並みを楽しんだ。
2日目にバスで白川郷へ移動し、茅葺き屋根の建物の中に入ったり、山の上から白川郷全体を見渡したりした。
がんばって登った山頂で食べた五平餅はもちろん美味しかった。
今回の旅を紅葉の時期にしたのは大正解で、山々は赤や黄色に色づいていて、紅葉やイチョウと一緒に撮る合掌造りの茅葺き屋根はとても美しかった。
そしてついに楽しみにしていた合掌造りの宿に入った。水回りは現代風に改良されていたもののほとんどが、畳の部屋で日本らしさと懐かしさを感じた。
夕食に出た名物の朴葉味噌と飛騨牛はとても美味しく、囲炉裏で沸かされているお湯の湿度とともにその味が思い出される。特に飛騨牛はめったに食べる機会がないが、とろけるような脂と旨味が旅の疲れを癒してくれた。
そしてそれ以上に感動したのが炊きたてのご飯の味だ。合掌造りの建物の目の前に水田があり、水も美味しいため、ご飯は格別だった。
夜ごはんの後、かなり冷え込むなか、庭に星を見に行ったことも良い思い出だ。
その夜はとてもゆっくり寝ることができた。
普段であれば、夜が更けるまでおしゃべりに興じる私たちであるが、その日は美味しいごはんに舌鼓を打ち、満腹になっていたこともあり、かなり早い時間に寝た。
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一緒に旅行に行った友達は、昨年2人とも結婚した。
そのため、今後簡単に旅行に行くことは難しくなるだろうと思う。
ごはんを食べるくらいであれば、今も年に数回行っているが、泊まりがけの旅行となると、年を重ねるごとにますます難しくなるだろう。
白川郷に行った時は、その後しばらく旅行に行けないとは思わなかったが、今とてもノスタルジックな気持ちになっている。
また3人で一緒にその土地の名物に舌鼓を打ちながら話をしたいと思った。
■高山葵衣のプロフィール
在宅勤務メインのアラサーOL。 お家時間と心を充実させるべく、ていねいな暮らしを目指している。 好きなものは北欧雑貨とからあげ。