独身時代の友人に久しぶりに会うと、昔に比べてかなり太っている場合があります。
このような「結婚後の幸せ太り」は、広く知られています。
果たして、この「幸せ太り」は本当に存在するのでしょうか。
ポーランドの国立心臓病研究所の新しい研究によると、結婚した男性は未婚の男性に比べて肥満のリスクが3倍に増加すると報告されました。
研究の詳細は、2025年5月11~14日に開催される欧州肥満会議(ECO)で発表される予定です。
目次
- 「幸せ太り」って本当なの?結婚と肥満率を調査した研究
- 男性は結婚すると肥満のリスクが3倍になる
「幸せ太り」って本当なの?結婚と肥満率を調査した研究
「結婚すると男性が太りやすい」という説は以前から指摘されていましたが、これを本格的に科学的に検証した研究はあまり存在しませんでした。
多くの人々が「幸せ太り」として軽く考えていましたが、公衆衛生の観点から見ると、もし、結婚が男性の健康リスクを増加させる可能性があるのであれば、何らかの対処が必要かもしれません。
今回、ポーランドの国立心臓病研究所のチームは、合計2405人(男性1098人、女性1307人、平均年齢50歳)の被験者を対象に調査が行い、どんな要因が肥満を増加させるのか調査しました。
研究では、被験者の婚姻状況、体重、BMI、年齢、生活習慣、健康リテラシー、社会的な関わり、精神状態を分析しています。
特に、結婚前と結婚後の体重の変化に注目し、時間の経過とともにどのように肥満リスクが変化するのかを統計的に分析しました。
男性は結婚すると肥満のリスクが3倍になる
研究の結果、調査対象となった2405人は、そのうち35.3%が標準体型、38.3%が太り気味、26.4%が肥満と判断されました。
そして結婚後に、男性が太り気味になるリスクは62%増加し、女性のリスクは39%増加すると分かりました。
また、既婚男性は未婚男性に比べて肥満リスクが3倍高いことが確認されました。
一方で、女性は結婚による肥満リスクの増加は見られませんでした。
この結果から、男性の方が結婚後に体重管理が難しくなることが示唆されました。
研究者たちは、いくつかの要因が既婚男性の肥満リスクを高めると指摘しています。
結婚後は家庭での食事が増え、外食やジャンクフードが減ると期待されます。
しかし実際の多くの家庭では、配偶者が多くの食事を用意することで過食しやすくなるようです。
欧米の一部の研究でも、結婚後に食事の摂取量が増え、高カロリーな食生活を送る傾向が見られると報告されています。
また、結婚後はパートナーとの時間を優先するため、運動や趣味のアクティビティが減少し、仕事と家庭の両立が求められることで自己管理の時間が少なくなることも影響すると考えられます。
さらに、未婚時代にはパートナーを探すために体型を維持しようとする意識が働きますが、結婚後は外見の重要度が下がり、体重管理への意識が薄れる傾向があります。
これを「幸せ太り」と言えるかは分かりませんが、確かに多くの男性は、結婚に関連したいくつかの理由で太ってしまいます。
では、女性の肥満リスクには大きな変化が見られないのはどうしてでしょうか。
女性は男性と比べて結婚後も体型維持に対する意識が高く、社会的なプレッシャーや健康管理の意識が影響を与えていると考えられます。
この点について、研究チームは、「肥満の人に対する社会の態度は異なります。肥満の男性は、肥満の女性に比べて好意的に好意的に扱われるのです」と説明しています。
ちなみに、年を取るごと太り気味や肥満のリスクは増大することも分かっており、男性の場合、1年ごとに太り気味のリスクが3%、肥満のリスクが4%増加しました。
女性の場合は、それぞれ4%と6%です。
加齢によって肥満リスクはますます増加するため、特に既婚男性は、健康的な体重を維持できるよう意識しなければいけないのです。
参考文献
Married men have a big problem, large new study finds
https://newatlas.com/diet-nutrition/men-married-life/
Married men may be 3 times as likely to be obese as bachelors
https://www.scimex.org/newsfeed/married-men-may-be-3-times-as-likely-to-be-obese-as-bachelors
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部