西武国分寺線「鷹の台駅」から徒歩約7分。玉川上水沿いの遊歩道を上流に向かって進んだところにある「玉利堂」は、本格的なインドカレーとパティシエの作るスイーツが食べられる一軒家の喫茶室です。立川にあった老舗のカレー屋さんの味を受け継いだ店主が、インドやネパールを旅して作ったこだわりのカレーが楽しめます。
カレー職人の夫とパティシエの妻で切り盛りする一軒家の喫茶室
2024年9月にオープンした「玉利堂」。玉川上水の爽やかな自然を感じられる場所にあり、お散歩がてらに足を運ぶのにもぴったりです。2階は玉利堂とは別の運営で「zoeee gallery」のギャラリースペースになっていて、定期的に様々なイベントや個展などが開催されています。
「玉利堂」の前身は、2018年まで立川で30年以上に渡って愛されてきた老舗のカレー屋さん「あちゃ」。そのカレーを母から受け継いだ息子の高久さんが、パティシエの愉生さんとともに始めたお店です。実際にカレーの本場であるインドやネパールに足を運ぶことで、「あちゃ」のカレーに自分なりのアレンジを加え、より現地に近い味を追求しています。
店内は昭和の古民家喫茶店を彷彿とさせる落ち着いた雰囲気。実はこちらのお店、外装や内装の一部をご夫婦でリノベーションしたのだそう。店内の壁を塗った愉生さんは、「生クリームを塗るナッペの技術を活かしてちょっとムラが残る感じに仕上げました」と笑って話してくださいました。
「昭和60年代に米軍ハウスに住んでいた日本人」がコンセプトだった「あちゃ」の雰囲気を残しつつも、「玉利堂」ではあまり物を置かずにインテリアをすっきりまとめたのだそう。あえて統一していないレトロな椅子やテーブルがどこか懐かしく、どの席に座ろうかワクワクしてしまいます。
壁にかけられた古時計が止まったままなのは、この場所で「時間を忘れて過ごして欲しい」から。楽しい時はあっという間に過ぎてしまうからこそ、美味しいカレーとスイーツを楽しみながら、ちょっとした幸福感を味わって欲しいという思いが込められています。
押し入れを改装したディスプレイゾーンには、ご夫婦ともにファンという「何何レコード」の選び抜かれた中古レコードが並んでいます。こちらは試聴、購入することもできるので、気になるジャケットがあったらぜひお店の人に声をかけてみてくださいね。カレーが出来上がるのを待つ間に自分好みの素敵な音楽に出会えるかもしれません。
パレットのように混ぜ合わせながら食べるネパール定食「ダルバート」
提供されるカレーは日によって変わります。この日頂いたのは、ネパールの定食「ダルバート」(1300円)。コクのあるチキンカレーと小粒の豆をスパイスで煮込んだダールスープに、トマトチャツネや赤玉ねぎ、タルカリ、アチャール、ライタなどが付いてきます。
カレーはさらりとしていて、辛くなく濃厚な味わい。長い粒形のお米・バスマティライスを100%使っていて、芳醇な香りとパラパラとした軽い口当たりがスパイスの効いたカレーによく馴染みます。
まずはそのまま一口。それから絵の具のパレットのようにお皿の上で混ぜ合わせながら食べていくと、何通りもの味わいが代わる代わる口の中を巡っていきます。トマトチャツネを多めに加えて味を濃くしてみたり、塩味のヨーグルト・ライタを混ぜてクリーミーさと酸味を足してみたり。最後は全ての味が混ざりあって、なんとも言えない幸福感に包まれます。
思い出の味を再現した、昔ながらの「喫茶店のかためのプリン」
スイーツの看板メニューである「喫茶店のかためのプリン」(500円)は、牛乳、卵、砂糖、バニラだけのシンプルな材料で作った「プリンらしいプリン」です。パティシエの愉生さんが子供の頃に大好きだったという、母親お手製の大きなホールプリンをイメージして作っていて、三角形にカットするのがこだわりです。
濃厚でありつつも濃すぎない程よい甘味と滑らかな食感が特徴的。しっかり焦がしたカラメルが良いメリハリになっています。プラス50円で追加できる「追いラム酒」をかけると、ラム酒の香りがふわっと鼻をくすぐる、大人の味わいに変化します。
おみやげにぴったりな手作りの焼き菓子も
レジの横にはたくさんの焼き菓子も並んでいるので、おみやげに一ついかがでしょうか。サブレ、フィナンシェ、タルトなど、お菓子のバリエーションは日によってさまざま。その日にしか出会えないお菓子が登場することもあるので、ぜひチェックしてみてくださいね。焼き菓子は店内で飲食をしなくても店頭で購入することができますよ。
昭和レトロな雰囲気の一軒家で、時間を忘れて過ごすことができる「玉利堂」。ここでしか出会えないこだわりのカレーとスイーツを味わいにぜひ足を運んでみてくださいね。