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ただ痩せるだけじゃない。今年は“格好良い”ボディ作りがトレンドに

  • 2025.3.20

素肌を見せる準備はOK? これからの美の基準は“力強さ”

ヴィクトリア ベッカム(VICTORIA BECKHAM)Photo: Getty Images

スキニーなモデルが喝采を浴びていた時代の反動からか、ここ数年は、プラスサイズのモデルがもてはやされてきた。そして2025年春夏のコレクションを見ると、「格好いいボディ」イメージが進化していることがわかる。お腹や腕を見せたり、首や肩周りが強調されていたり......と、“チラ見せ”ファッションが花盛りなのだ。そんな服に包まれているボディのあり方について、エステティシャンとして30年にわたり活躍している田中由佳さんはこう語る。「ただ細い体ではなく、美しさの基準が“力強さ”の方向へとシフトしてきたように思います。社会的に男女差がなくなってきている影響もあるのか、しっかりした骨格のほうが服を格好よく着られる印象。丸みがなく、肩が尖っているモデルが多いんですよ。少し骨っぽくて関節がしっかりしている体で服を着こなす時代なんですね。ボディラインも、筋肉を自分で管理し、トレーニングしている体のそれだなと感じます」

コペルニ(COPERNI)Photo: Gorunway.com

ことに肌見せがデフォルトとなった2025年春夏を着こなすなら、骨太なボディは欠かせないということになる。だが、それならばといきなりトレーニングを始めるのは早計だと教えてくれたのは、モデルや俳優のボディメイクも多く手がけるパーソナルトレーナーの森拓郎さんだ。「たとえば“下腹が気になるから”とジムに行って、腹筋のトレーニングをする方は多いですが、自分で一生懸命トレーニングをしても“体の使い方のクセ”が助長されてしまうだけ。トレーニングするときには、体重をどう乗せるか、体をどう使うかが重要なんです。ピラティスやヨガなどもとても良いと思うのですが、グループレッスンだと自分のクセと向き合うのは難しい。客観的に体をチェックし、まずは硬くなっている部分をきちんと伸ばす必要がありますね」

ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)Photo: Getty Images

また、パーツが強調されるファッションでは“痩せなければ”と思ってしまいがちだが、やみくもな食のコントロールも危険だと森さんは語る。「スタジオに“痩せたい”といらっしゃる方は多いのですが、体重を測っても標準なんですね。ところが、体組成計で測定すると体脂肪率は高いというケースがほとんどです。そういう方に伺うと、食事の絶対量が少ないんですよ。成人女性は1日に1600~1800kcal必要と言われていますが、“摂らないほうがラクだから”と朝食を抜く。それだけでも1日のカロリーが2/3になりますし、ビタミンやミネラルが不足します」

ルイ・ヴィトン( LOUIS VUITTON)Photo: Gorunway.com

一時期ブームとなった糖質オフダイエットも、脂肪が減るのではなく水分が抜けるだけで意味がない、ときっぱり。また話題の16時間断食も朝食抜きと同様に摂取カロリーが下がる。短期的に見れば体重が減っていても、むしろ筋肉は落ちてしまうので避けるべきだそう。「食べない時間を設けて胃腸を休める」という側面は否定しないものの、「肝臓には、入ってこないエネルギーの再合成のために大きな負担がかかります。特に、肝臓の代謝が低い方が16時間ダイエットをやると、筋肉が削られて、内臓脂肪がつきやすくなります」。田中さんも、マチュア世代にとって“きちんと食べる”が大切であると、顧客のボディを見ていても自身の経験としても感じるそう。「私自身は食の制限をしない派。好きなものを食べて幸せだなという時間を過ごすと、動くエネルギーになりますよね。更年期に入ったり忙しくなって太ったときもあるのですが、我慢はせずに人生を楽しもうと決めたんです。食事を楽しみ美しい場所に出かけたりして心を動かしていたら、自然と5kg痩せたんです」。無理なダイエットやトレーニングに頼らずとも、服が似合う体は育てられる─そんな2025年のボディメイクの秘訣を見ていこう。

話を聞いたのは……

YUKATANAKA

田中由佳。サロン・ド・スウィンオーナー。心身に響く独自のトリートメントで美容業界にも多くのファンを抱えるエステティシャン。悩みに徹底的に寄り添うスタイルと人柄で、2代で通う親子も。ウエディングや産後のボディメイキングも多く手がける業界の重鎮。

TAKUROMORI

森拓郎。ボディワーカー。「rinato」主宰。パーソナルトレーナーとして活躍する傍ら、食事改善の大切さを説く書籍が大ヒットに。やみくもに鍛えるのではなく、筋肉を増やしてスタイルをつくる指導で俳優やモデルからも人気に。オンライントレーニングも好評。

Text: Satoko Takamizawa Editor: Risa Yamaguchi

※『VOGUE JAPAN』2025年1月号「大人の“肌見せ” ファッションとボディの定義」転載記事。

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