A子にとって、父はかけがえのない存在。
母を亡くして以来、支え合いながら生きてきました。
そんな父の入院をきっかけに、近所のB子が放った一言がA子の心をざわつかせます。
過去の因縁を思い出しながらも、人との距離感や言葉の重みについて改めて考えさせられる出来事だったそう。筆者の知人A子から話を聞きました。
父と二人三脚の人生
A子にとって、父は特別な存在でした。
幼いころに母を亡くし、それからは父と二人三脚の人生。
男手一つで育ててくれた父は、誰にでも親切で、困っている人がいれば、手を差し伸べる温かい人柄でした。
そんな父も今では70代後半。A子は結婚し、父は実家で一人暮らしを続けていました。
B子との複雑な因縁
近所のB子は数年前に夫を亡くし、それ以来、力仕事などをA子の父に頼るようになりました。
父は親切心からB子を手伝っていましたが、A子にはB子に対して複雑な思いがありました。
というのも、A子の母が生前のころ、B子は母の悪口を近所に言いふらしていたのを知っていたからです。
そんな相手が今になって父に頼る姿を見るたび、モヤモヤとした気持ちが拭えませんでした。
衝撃のひと言と心の葛藤
ある日、父が風邪をこじらせ肺炎を発症し、2ヵ月間の入院生活を余儀なくされました。
A子は仕事と家庭の合間を縫いながら、病院へお見舞いや実家の整理をし、父を支え続けました。
ようやく退院が決まり、少しずつ日常を取り戻し始めたころのこと。
B子が実家を訪れてきて、玄関先で開口一番こう言ったのです。
「お父さん、入院したって聞いたから、もう帰ってこないと思ったわ。香典を包まないといけないかと思ったのよ!」
その瞬間、A子の中で怒りが爆発しそうになりました。
父に散々お世話になっていながら、無神経な言葉。冗談のつもりなのかもしれませんが、決して笑えません。
毅然とした対応と気づき
A子は冷静に、しかし毅然とした態度でB子に言いました。
「ご心配ありがとうございます。父は元気に戻ってきましたので、お気になさらず。どうぞお引き取りください」
B子は当然家に上がれると思っていたようで、驚いた表情を浮かべながらその場を立ち去りました。
彼女に悪気はなかったのかもしれませんが、A子は亡き母の件もあったので、許せない気持ちが強かったそう。
冗談のつもりでも、相手の気持ちを考えずに平気で言葉を発する人とは距離を置きたくなりますよね。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025 年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。