2025年3月18日と19日に、東京都文京区の『東京ドーム』で、日本中が注目する歴史的な試合が行われました。
それが、アメリカのプロ野球リーグ『メジャーリーグ・ベースボール(以下、MLB)』の開幕シリーズ『ロサンゼルス・ドジャース(以下、ドジャース)』対『シカゴ・カブス(以下、カブス)』です!
2024年にワールドシリーズを制覇した『ドジャース』と『カブス』による開幕シリーズが日本で見られること、そして、世界的なスターとなった大谷翔平選手をはじめ、両チーム合わせて5名の日本人選手が凱旋するとあって、大きな話題になりました。
幸運にも、開幕第2戦となる19日の試合のチケットを手にした筆者が、現地の様子をレポートします!
MLB開幕シリーズ第2戦 ドジャース対カブスの試合へ
当日、東京は朝から降雪と降雨が記録される、あいにくの天気。
しかし、お昼過ぎから今日の試合を祝うかのように次第に晴れていき、筆者が『東京ドーム』に着いた14時には快晴でした。
野球観戦が趣味で、日頃から球場に通っている筆者はまず、現地のファンの客層に驚きました。
近年、女性ファンも多いといわれる日本のプロ野球ですが、今回の試合には子供連れの家族や老夫婦など、普段以上に老若男女のファンが集まっている印象を受けます。
さらに、『ドジャース』や『カブス』のユニフォームを着た、外国人のファンもたくさん見かけました。日本在住、もしくは海外からはるばる来たMLBファンなのでしょうか。
今回の試合がただのMLBの1試合ではなく、世界的なイベントの1つであるということを改めて思い知らされます。
常に人だかりができていた、東京ドーム前のモニュメント
東京ドーム外の階段も特別仕様に
いざ、『東京ドーム』内へ
16時の開場の時間が近付くと、次第に客も増えていき、各入門ゲートには行列が。17時頃、『東京ドーム』の席に着くとちょうど『ドジャース』の選手たちが打撃練習をしていました。
メジャーリーガーたちの鋭いスイングによって、スタンドにボールが入っていくたび、ファンからは大きな歓声が沸き起こります。
練習だけでも、ずっと見ていられるような気持ちになったのは、筆者だけではないでしょう。『東京ドーム』のファンたちが食い入るように打撃練習に集中していると、三塁側の『ドジャース』ベンチから大谷選手が出てきました!
ひと際、大きな歓声に包まれる『東京ドーム』。外野でキャッチボールをする姿を多くのファンがカメラに収めます。
試合開始、大谷選手が打席へ
18時40分頃、プロ和太鼓集団『和太鼓グループ彩-sai-』による日本らしい演奏が鳴り響く中、両チームの監督と選手が入場。
豪華なオープニングセレモニーによって、観客も次第に高揚していっているように感じました。
そして、19時10分頃、いよいよ試合がスタート。1番指名打者でスタメン出場した大谷選手に早速、打席が回ります。
1球目、高々と打ち上げた打球はレフトフライ。いきなりの大きな当たりに、『東京ドーム』でどよめきが起こります。
佐々木朗希選手がメジャー初のマウンドへ
1回裏には、『ドジャース』の佐々木朗希選手がメジャー初登板を迎えました。
2022年には史上最年少の20歳5か月で完全試合を達成。『令和の怪物』と呼ばれ、日本のプロ野球で活躍したのち、今シーズンから『ドジャース』の一員になりました。
自己最速の165キロに迫る、160キロ超えのストレートを連発する投球を披露し、おおいに観客を沸かせます。
日本のプロ野球では応援団によるトランペットを使った応援が定番。しかし、MLBではそういった風習はなく、観客が各々で拍手や声を上げて楽しみます。
そのため、ボールがミットに収まる音や打球音が普段の日本のプロ野球観戦よりも、よりダイレクトに聞こえました。
佐々木選手が投球の瞬間に上げる声までも『東京ドーム』内に響き渡り、その闘志に胸が熱くなります。
ついに大谷選手、待望の瞬間が…
大谷選手が凱旋ホームラン
試合は、『ドジャース』がトミー・エドマン選手のホームランで先制するなどして『5対2』で『ドジャース』がリードする展開に。
迎えた5回表、大谷選手の第3打席でファン待望の瞬間が訪れます。
対する『カブス』のネート・ピアソン選手の5球目、160キロ近い剛速球に負けず振り抜くと、右中間へ今シーズン第1号ホームランを打ちました!
『東京ドーム』の観客は今日一番の歓声、いや狂喜乱舞という言葉がふさわしく思えるほどの大盛り上がり!
日本で開催されたMLBの公式戦で、日本人選手がホームランを打ったのは、『ニューヨーク・ヤンキース』に所属していた松井秀喜さんが2004年に打って以来、実に21年振りのことです。
世界中のファンが見守る中で、しっかりと期待に応えてみせる大谷選手のスター性にしびれました。
試合は最終回へ
試合は『ドジャース』のリードで9回裏『カブス』の攻撃に。
1アウトランナーなしで『カブス』の鈴木誠也選手に打席が回ります。
鈴木選手は18日の第1戦で4打数無安打。今回の試合もここまで4打席でヒットはありません。
鈴木選手の名前がアナウンスされると、筆者の体感ではこの日、大谷選手のホームランの次に大きな歓声が!
「誠也ー!」「頑張れー!」といった、観客たちの声が上がりましたが結果は三振。ベンチに戻る鈴木選手には温かい拍手が送られます。
チーム関係なく、日本人選手に『東京ドーム』全体から大きな声援が送られる空間は、多幸感あふれるものでした。
試合終了、『東京ドーム』から帰路へ
試合は『6対3』で『ドジャース』が第1戦に続いて勝利、という結果に。
大谷選手のヒーローインタビューを見終え、『東京ドーム』を後にする時には『MLB開幕シリーズロス』のような気持ちになっていました。
筆者は大谷選手の活躍を映像では見ていましたが、生でその姿を見るのは初めて。
目の前で大谷選手のホームランを見れたことへの高揚感が、試合後もしばらく収まりませんでした。
多くの人が気持ちいい余韻に浸りながら、帰路に着き、またいつもの日常に戻ったことでしょう。
毎日生きていれば、苦しいことやつらいことは付き物です。しかし、そんな時に筆者は、この日に見た大谷選手のホームランを思い出すことで、一歩踏み出せるような気がします。
今回の『MLB開幕シリーズ』を見て、このような気持ちになった人は世界中に数え切れないほどいることでしょう。
スポーツが持つ力と素晴らしさを改めて感じられる1日でした。
[文・構成/grape編集部]