スイーツライターのchicoさんがおすすめスイーツを紹介する「お菓子な宝物」。今回は『CALATIR(カラティール)』のボンボンショコラ セレクションなどです。
「鮮明な果実味と香りに、カカオが果物であることやチョコレートの奥深さを思い知りました」。パティスリー『レタンプリュス』の熊谷治久シェフを駆り立てたのは、一枚のビーントゥバー(※)。以来、自身のチョコをお菓子に使いたいと研究を重ね、ついに工房まで建ててビーントゥバーの新ブランドを始動した。信条はカカオの香りを引き出すこと。そのためにローストで香りを磨き、抽出するなど手を尽くす。焼きすぎは繊細な香りが消えてしまうから塩梅が大事。「なかでも『タンザニア』はネガティブな酸味やえぐみは飛ばし、その裏にある香りをキレイに出せました」。齧ると青リンゴみたいな爽やかな酸味がじわりと広がり、ハーブを思わせる清らかなニュアンスが重なる。なんて心地いいんだろう。
さらにタブレットに留まらない、その先がパティシエの真骨頂。ボンボンショコラ「カラティール ノワール」を舌に溶かせば、ガーナ産カカオのスパイス香や蜂蜜に似たコクから、華やかな果実味が顔を出す。プラリネは挽いたそばから使って、フレッシュな香りをとじこめて。ピスタチオなら生と焼いたものを合わせ、香ばしさと杏仁ぽいビター香を両立。口にするとたちまち凝縮したピスタチオの香りが溢れだす。今後は『レタンプリュス』の生菓子にも少しずつ自身のチョコを。カカオの楽しみは止まりません!
※カカオ豆から一貫して作るチョコレート。
PROFILE
chico
チコ スイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。
INFORMATION
CALATIR Lab.店
千葉県柏市高田1265‐1 TEL:04・7136・7916 10:00~18:00 不定休 HPから取り寄せ可。柏髙島屋にもオープン。
写真・清水奈緒 スタイリスト・野崎未菜美 取材、文・chico
anan2438号(2025年3月12日発売)より