『パラサイト 半地下の家族』(19)で第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールを受賞、第92回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を受賞したポン・ジュノ監督最新作『ミッキー17』が3月28日(金)より公開される。このたび通常版、4D、Dolby Cinema、ScreenX、IMAXで同時公開される『ミッキー17』のポスターが一挙到着した。
【写真を見る】資源再生装置“サイクラー”をモチーフにした『ミッキー17』4DX版ポスタービジュアル
『パラサイト 半地下の家族』では、誰もが予測できない怒涛の展開をサスペンスフルに描き、世界の観客が熱狂。日本でも観客動員数330万人超、興行収入45億5000万円を突破する空前の大ヒットとなった。常に社会問題を織り込み、極限状態の人間の本質を鋭く描き、誰も見たことがない「エンターテインメント」を贈り続けるジュノ監督。歴史を塗り替えた稀代の映像作家が贈る、アカデミー賞受賞後初となる最新作にして集大成『ミッキー17』は、半地下を超えたどん底の使い捨てワーカー“ミッキー”による、権力者たちへの逆襲を描いていく。
ロバート・パティンソンが演じるミッキーは、死んでは生き返る“使い捨てワーカー”だ。彼が手に入れたのは、何度でも生まれ変われる夢の仕事、のはずが、それは身勝手な権力者たちの過酷すぎる業務命令で次々と死んでは生き返る任務、まさに究極の“死にゲー”だった!一発逆転のはずが、ブラック企業の使い捨てワーカーとなってしまったミッキーには、地獄のような日々が待っていた。ブラック企業のどん底で搾取され続けて17号となったミッキーの前に、ある日、手違いで自分のコピーである18号が現れ、事態は一変する。
お馴染みの通常版ポスタービジュアル
最初に紹介するポスターはお馴染みの通常版。死んでは生き返る過酷な任務を強いられたミッキーの残骸が全面にあしらわれ、本編に登場するキャラクターたちが属する階級ランクでレイアウトされたユニークな内容となっている。ミッキーに苛酷な任務を強いるブラック企業のトップ、マーシャル(マーク・ラファロ)と、極悪妻のイルファ(トニ・コレット)が上段に配され、最下部にミッキー17がいる。彼の両隣には、ミッキーが最も信頼するソウルメイト、ナーシャ(ナオミ・アッキー)と一癖ありげな友だちのティモ(スティーブン・ユァン)が薄ら笑いをしている。目を凝らしてよく見るとマーシャルの上に、劇中に登場する謎のモンスター“ジュニア・クリーパー”の姿もある。
苦悶の表情のミッキーたち…4DX版ポスタービジュアル
4DX版は、本編に登場するミッキーが乗り込む宇宙船の心臓部にある溶鉱炉のような資源再生装置“サイクラー”をモチーフにしている。サイクラーとは、基本的にはゴミ処理炉で、有機物を処理してその一部を吸い上げて人間をプリントアウトする材料に再生させる装置だ。4DX版のビジュアルは、プリントされたミッキーたちがサイクラーから這い上がっている大胆なイメージで仕上げられている。映画の場面によって座席が揺れ、香りや風、水などの特殊効果によって全身で映画を楽しめる4DXならではのポスターと言えるだろう。友だちと全身を揺らしながら楽しめること間違いなし!
ポップなデザインが印象的なDolby Cinema版ポスタービジュアル
Dolby Cinemaのポスターは、『ミッキー17』がまるでデジタルアニメーション映画なのではないかと見まちがえかねないデザインで観客の想像力を刺激する。宇宙服を着たミッキー17のヘルメットの円形が、先述したサイクラーとして表現され、苛酷で理不尽な任務によって死んでは廃棄処分となったミッキーたちの姿と、ピストルやハンマーなど重要なアイテムが散りばめられている。よく見るとクリパーや鳩の着ぐるみを着た男の姿もある。Dolby Visionの黒みの効いた画面と、Dolby Atmosの没入感のある音響で『ミッキー17』を味わっていただきたい。
ミッキー17の未来はいかに…ScreenX版ポスタービジュアル
180度のワイド画面で視界全体に『ミッキー17』の世界が広がるScreenX版のポスターは、毒ガス、極寒、未知のウィルス実験、焼きごてで頬に烙印を押される場面など、致死率MAXの苛酷な任務によって極限状態に追い込まれたミッキーの悲惨な状況が紹介されている。16回死んで生き返ったミッキー17にどんな未来が待ち受けるのか、俄然期待が高まるビジュアルとなっている。
ティザーポスターをIMAXで表現!IMAX版ポスタービジュアル
IMAX版のポスターは、全世界共通で展開された17層のレイヤー表現によるティザーポスターをIMAXのロゴで表現したデザインとなっている。映画館での映画体験についてジュノの監督は、「いまはストリーミングの時代ですが、それでも映画館でしか体験できないものがあります。もちろん、大画面で宇宙や異星の風景、クリーチャーを見るのもすばらしい体験ですが、私は特に“俳優の表情”を映画館で観てほしいんです」と語る。
壮大な風景や圧巻の空間描写に定評があるIMAXだが、その大画面は俳優たちの繊細な表情がある。「人間の顔には、1つの“風景”があります。この映画には、ロバート・パティンソン、マーク・ラファロ、トニ・コレット、スティーブン・ユァン、ナオミ・アッキーといった素晴らしい俳優たちが出演しており、彼らの繊細な表情やニュアンスを大画面で観ることは、特別な体験になると思います。特に、IMAXでロバート・パティンソンを観るのは最高の体験ですよ(笑)」と、ぜひ大画面で『ミッキー17』を満喫してほしいとコメントしている。
一足早くお披露目されたロンドンでのワールドプレミア、ベルリン国際映画祭では、INDEPENDENTやEMPIREといった世界有数のメディアから「人生で最も先の読めなかった映画のひとつ」「現代に深く響く、ポン・ジュノ最高傑作のひとつ」「ポン・ジュノ監督の天才性を刺激的に証明」「まさにこの混沌とした瞬間に必要としていた映画」「この時代にぴったりで、魅力的」「最高。説得力もあり、美しい。ロバート・パティンソンが何役もこなすのも一興」といった絶賛の声が挙がった『ミッキー17』。使い捨てワーカーVS強欲なブラック企業のトップという逆襲エンタテイメントを、ぜひ気になるフォーマットで観て堪能いただきたい。
文/山崎伸子