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「肌の輝きこそ最高のジュエリー」というフランス流おしゃれ術【大人のお作法】

  • 2025.3.20

過ぎたるは及ばざるが如し

日差しに暖かさを感じるようになり、桜の開花情報にワクワクする季節となりました。とはいえ、初夏のような暖かさの日と真冬のような寒さの日が日替わりで訪れる3月はまったく油断のできない季節。

また、この時期は花粉も猛威をふるい、気温の変化、環境の変化も手伝って体にも肌にも不調を感じる方が続出。美容でも「揺らぎ肌」や「過敏肌」が大きなテーマとなっています。

最近、皮膚科医の先生から‟今、増えている患者さんの傾向”についてお聞きして、驚くことがありました。美容をがんばり過ぎて、肌に炎症を起こしたり、肌が薄くなったりなどの不調をきたし、皮膚科を受診する方が増加しているとのこと。近年の美容業界は、画期的な新成分や美容医療が目覚ましく進化しています。特に美容医療は、価格的にも手軽に試せるようになり、身近なものになりました。その進化はとてもうれしいことなのですが、「美しくなりたい」という気持ちが先行して、肌が不安定な状態で攻めの美容を取り入れた結果、炎症を起こしてしまうのはとても残念。

そんな肌状態になってしまうと、肌を休めることが第一で、攻めの美容を諦めなければならないばかりか、健康な状態に戻すための肌のリハビリが必要です。実はこの過剰美容スパイラルは美容知識や美容感度の高い方ほど陥りやすいそう。美しくなることに、「もっと、もっと」と思う向上心がネガティブな結果を生んでしまうようです。

肌や髪の美しさは若々しく見えるバロメーター。艶やかな肌、髪は年齢不詳に見える一方、疲れた肌、痛んだ髪は実年齢よりも上に見えてしまいます。80歳を越えたわたしの書の先生は、透けるようにな美肌の持ち主で、年齢なりの表情ジワや皮膚の柔らかは感じられるものの、肌の透明感とキメの細かさは羨ましいくらいです。仕事がら、どんなお手入れをされているのかをお聞きしたところ、美しい人にありがちな「特別なことは何もしていないのよ」という答えが返ってきました。ただ、洗顔後すぐに、たっぷりと化粧水をつけて、保湿の乳液をつけているとのこと。そして一年を通して日焼けには気をつけている、と。生まれ持ってのポテンシャルはあるものの、普段の地道なケアが美しい肌のベースを作ることを改めて実感しました。

過ぎたるは、及ばざるが如し

昔の格言とともに、心に留めているフランス人上司の言葉があります。30代、NYでの会社のパーティーに出席したとき、‟精一杯のオシャレをしなければ!”と、デコルテの空いたドレスに大ぶりのネックレスをつけていたわたしを見て「あなたの年代で、そんなに大きなアクセサリーをつけてはダメ。せっかくの綺麗なデコルテが隠れてしまうでしょ。あなたの年では肌の輝きがジュエリーなの。大きなネックレスは肌が勢いを失った、わたしたちのためにあるのよ」と。わたしは急いでパウダールームに駆け込んで、ジャラジャラと重たいネックレスをはずしたことを覚えています。スキンケアもファッションも‟過ぎたるは及ばざるが如し”ですね。

年を重ねて、当時のマダムの歳を軽く追い越したわたし。肌の保湿を欠かさずに。時には大ぶりのアクセサリーに助けられる日々のなか、「美しい肌はまず保湿!」「美しいデコルテはアクセサリー。隠さないでね」と、若い方々にマダム達の教えを継承しています。

丸野ひかる(まるのひかる)

米国のカレッジ卒業後、30年間以上、外資系化粧品会社にて新規ブランドの立ち上げ、マーケティング、PRマネージャーなどオールマイティに活躍。現在はフリーで、コスメ、ファッション、ライフスタイルなど「面白くて、人を幸せにするモノとコト」のPRに。日々の癒やしは、最愛のモフモフ猫との添い寝。

TEXT=丸野ひかる

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