Text by 編集部
男子日本代表は19日、埼玉スタジアム2002でFIFAワールドカップ(W杯)2026アジア最終予選(3次予選)の第7節バーレーン代表戦(20日、午後7時35分、埼玉スタジアム2002)に向けたトレーニングを行った。
森保一監督の下、5勝1分けの状況でW杯出場へ王手をかけたサムライブルー。勝てば無条件で8大会連続8度目のW杯出場が日本代表史上最速で決まる(引き分けでも他会場の結果次第ではW杯出場へ)。
3日目にとなったこの日は26選手が公開練習に参加。スタッド・ランス(リーグ・アン)のFW伊東純也は同クラブで両翼を担うFW中村敬斗らと談笑しながら、ランニングや鳥かごで身体を温めた。仲間たちとの最終調整を終えた伊東が、取材陣の質疑に答えてくれた。
全体練習後の囲みでの一問一答は以下の通り。
スタッド・ランスでの経験を経て、自身2度目の大一番へ
――いよいよワールドカップ出場が決まるかもしれないという試合ですが、どう感じていられますか。
「いま最終予選、前回と違っていい形で来ていてホームで決めるチャンスがあることはいいことだと思います。しっかり勝って決められればいいと思います」
――前回と比べて心境の変化はありますか。
「前回は本当に余裕がなかった。いまは気持ち的にも余裕がありますし。まずはリラックスした状態で臨めばいいプレーできると思うので、いい状態ではあるかなと思います」
――前回よりも自身のプレーで成長を感じる部分はありますか。
「いや、大して変わったと思っていないですけど、後半から出る役割が変わったりしているので、流れを変えたりだとかはしないといけないと思っています」
――スタッド・ランスでは直近の試合がベンチスタートだった。現状をどう受け止めているのか。
「ずっと出ずっぱりだったので、『1回、前半守備で行って、後半から行くぞ』と言われていたので、特にそこまで意識はしていなかったです」
――途中から出るという意味では代表のいい予行演習になったのでは。
「まぁそうっすね(苦笑)。もちろん最初から出たい気持ちはありますけど、チームも勝っていない中で何かを変えなければいけないというところで、いろいろ試している段階だと思う。そこは後半から出て、しっかり結果を残そうと思いましたけど、結局0-0だったという感じですね」
――モナコとの試合では中村と2トップを組んだと思いますが、前で二人がプレーした効果はありましたか。
「シンプルに人がいなかったので、5-3-2で守ってカウンターをやっていたんですけど、それもうまくいっていなかった感じですね」
32歳になったばかりのイナズマ純也、心境の変化は…
――二人(伊東と中村)が前にいることによって、スピードで相手に脅威を与えられると思います。代表ではあまり可能性がないかもしれませんが、いい効果はあると思います。
「何回かチャンスはありましたけど、多分もうやることはないんじゃないんですかね(苦笑)」
――関根大輝選手も追加招集以外という形で初めて招集されたと思いますが、フランスに来てからの成長ぶりはどうですか。
「そうっすね、まぁ普通にやれていると思います(笑)。スムーズに(チームへ)入れて、チームが若い選手を使う方針なので、今はうまくスタメンに慣れているかなと思います」
――(関根の)プレーはどうですか。いきなり5大リーグでレギュラーとして出ることはなかなかだと思います。
「そうですね。デビュー戦とかはぶち抜かれていましたけど、いまは割とやれているんじゃないかなと思います」
――クラブでも年下が二人入ってきて、自身も誕生日(今年3月9日で32歳)を迎えられました。ベテランの域に達していく中で、自身の変化や内面の変化はありますか。
「いや、特にはないですけど、負けないように頑張ろうと思っていますけど(笑)」
――途中から出るときは流れを変えたいと仰っていました。そこの部分はどのようなところを意識していますか。
「でも最終予選では拮抗した場面で後半から出ることが多くて、そういうときは攻撃で違いを作って、守備でもしっかりとタスクをこなしながら攻撃で違いを作るところを求められていると思います。そういうところを出せればいいかなと」
――スタッド・ランスがいい試合をしても、なかなか勝てませんね。
「いや、いい試合はしていないっすね(苦笑)」
――二人(伊東と中村)が活躍するシーンをよく観ますが。
「最近は特に活躍もしていないので、あれですけど…。残り8試合なので。前回の代表のときはまだ4位くらいだったんですけど、そこから1回も勝てていないので。15試合くらい勝っていませんし、現実を見ながら本当に降格しないように勝点を積み上げるしかないと思います。そのために、やっぱり自分がゴールのチャンスを作らないといけないチームなので、そこはしっかりとやりたいなと思っています」
勝ってW杯出場を決めてみせる
――気持ちも変えるきっかけを作りたいですね。
「そうですね。代表でしっかりと勝って、いい流れを持っていければいいと思っています」
――中村選手と出るとしたら、ワイドから流れ変えるイメージですか。
「それは分からないですね。(中村と)揃って出るか分からないんですけど」
――ワールドカップ優勝を掲げる中で、意識の強まり感じる瞬間はありますか。
「いや、まぁ、特にないですけど(苦笑)。ワールドカップでしっかりと勝っていくためには、こういうところでしっかり勝たないといけないと思うので、上を見据えた試合をしなきゃいけないなと思います」
――ホームで決められることについてはいかがですか。
「前回(2022年のオーストラリア代表戦(2〇0)はアウェイだったんですけど、今回はホームなので、いろいろなサポーターの方たちが喜べると思っていますし、しっかりと勝てればいいかなと」
――アジア2次予選から考えると、招集されない苦しさもあったと思います。その中で、明日勝てば決められるという状況についてはどう思ってますか。
「いや、特にどう思っているとかないですけど、前回は苦しかった分、今回はスムーズにいけたらいいなとは思います(笑)」
伊東の笑顔が観たい!
振り返れば、アジア2次予選では招集外が続くなど、決して順風満帆ではなかった。それでも淡々とフランスの地で努力を重ね、スタッド・ランスでは今季公式戦24試合4得点3アシストを記録。チームはリーグ・アン第26節を終えた時点で、勝点23のリーグ15位に沈んでいるが、日本のイナズマは異国で奮闘している。
サムライブルーに復帰した今回の最終予選ではここまでの6試合にすべて出場。限られた時間の中で1得点6アシストを記録し、チームの勝利に貢献してきた。
スピードスターの準備は万全だ。W杯出場を懸けた大一番でも得点を挙げ、仲間たちと歓喜する伊東の笑顔が観たい。
(取材・一部写真 浅野凜太郎)