1951年に大映の第5期ニューフェイスとして入社し、翌年に『死の街を脱れて』(52)で本格スクリーンデビュー。以後、溝口健二監督や増村保造監督をはじめ、名だたる巨匠たちの作品に次々と起用され約160本の映画に出演した大映を代表する女優、若尾文子。その出演作を一挙上映する「若尾文子映画祭 Side.A & Side.B」が6月6日(金)より開催されることが決定した。
【写真を見る】同じ女優が演じているとは思えない!?明るい姿と濃厚な姿、対極の若尾文子を堪能できる36作品!
2015年の「若尾文子映画祭 青春」、2020年の「若尾文子映画祭」に続き、5年ぶり3度目の開催となる今回は、明るく純粋な若尾の瑞々しい魅力を堪能できる18作品を上映する「Side.A」と、ダークで濃厚な若尾の演技を味わえる18作品を上映する「Side.B」の2つに分けて実施。目玉となるのは「Side.A」で初披露となる『青空娘』(57)と『最高殊勲夫人』(59)の4K版、同じく「Side.B」で初披露となる『妻は告白する』(61)と『清作の妻』(65)の4K版だ。
このたび公開情報とあわせ、2種類の対極なデザインのポスターが解禁に。「Side.A」は逆境に負けないヒロインの夕子役を演じた『青空娘』から、青空に向かって明るく健気にたくましく、幸せな未来を見据える様子がデザイン。また、「Side.B」では夫殺しの容疑者となって法廷に立つ妻・彩子役を演じた『妻は告白する』から、決して表に出すことのない複雑な感情を抑える様子をとらえたデザインに。どちらも若尾の魅力を最大限に感じられるビジュアルに仕上がっている。
目玉の4作品以外にも、『赤線地帯』(56)や『浮草』(59)、『女は二度生まれる』(61)、『雁の寺』(62)、『しとやかな獣』(62)、『雪之丞変化』(63)、『赤い天使』(66)、『刺青』(66)、『華岡青洲の妻』(67)など近年4K化された人気作から、なかなかスクリーンで観る機会のない貴重な作品、さらには終戦80年の特別上映として、公式デビュー前に出演した『長崎の歌は忘れじ』(52)の上映も。是非ともこの機会に、映画女優、若尾文子の魅力をスクリーンで目撃してほしい。
文/久保田 和馬