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お家の採れたて果実や野菜を使って、お庭で食べたい! もっちもちの「イギリス流〈パンケーキ〉のレシピ」

  • 2025.3.21

国によって、微妙に姿を変える〈パンケーキ〉。日本では、ホットケーキのような、厚みのあるイメージがありますが、さて、イギリスで作られるパンケーキはどんなものでしょうか? パンケーキにまつわる話とともに、作り方をイギリス菓子研究家でパティシエのThe Pudding Party Tomoさんに教えていただきます。

薄くてもっちりのイギリス流

日本でも今や定番のパンケーキ。みなさんもお家で作ることがありますでしょうか? 色々なレシピがありますよね。日本のパンケーキはフワフワが定番です。卵を黄身と白身に分けてメレンゲにして作ったり、チーズを入れて作ったりするレシピもありますよね。

さて、イギリスのパンケーキは一味違います。

まず、フワフワではありません。日本でいうクレープの生地のような感じで、薄く焼き上げます。ただ、日本のクレープよりは少し分厚く、もっちりしている感じかなと思います。

その生地にグラニュー糖とレモン汁をかけて、くるくる巻いて食べるのが定番です。この食べ方、私たち日本人は、パンケーキといえばバターにメープルシロップ、と思っている人が大半なので、結構衝撃的ですよね。でも、このレモン汁と砂糖だけというのがシンプルに美味しくて、私は好きです。

キリスト教由来の〈パンケーキ・デー〉

レモン&シュガーの甘酸っぱさがたまらない。レモンは自家採取のものを使いました。

イギリスには〈パンケーキ・デー〉というものがあります。

パンケーキ・デーは〈ざんげの火曜日 (Shrove Tuesday)〉とも呼ばれるキリスト教の宗教的な意味合いを持つ日で、イースター(復活祭)に合わせて、毎年、日にちが変わります。復活祭前に40日間の断食期間があるのですが、それが始まる前に卵や牛乳を使い切ろうと、パンケーキが焼かれたのが始まりと言われています。現在では実際に断食する人がいるのか分かりませんが、その日にパンケーキを食べるという伝統が残っています。

さらに、今では〈パンケーキ・レース〉なるものもあります。パンケーキの入ったフライパンを片手に、そのパンケーキを決められた回数、ひっくり返しながら走って競うレースです。面白いですよね。私も出てみたかった! ちなみに2025年のパンケーキ・デーは3月4日でした。

パンケーキ・デーの苦労話

イチゴと食べても美味しい! 自家採取なら特別な一皿に。

じつは、このパンケーキには苦い思い出があります。

私がイギリスで働いていたホテルでも、パンケーキ・デーにはパンケーキを振る舞っていたのですが、私はそのパンケーキを焼く役目を与えられました。しかし、それまでそんなに薄いパンケーキを焼いたことがなかった私……。

火加減も焼き方も全然分からず、千切れちゃったり、焦がしちゃったり、フライパンにくっついちゃったり……散々な結果に! 大量に焼かなければいけないのに、どうすればいいのか……。困り果てたその時、ちょうどフランスから研修生として来ていた女の子が、苦戦している私に手を貸してくれました。

さすがクレープの国のフランス人! 「朝ごはんに作らないの!?」と、私ができないことに驚きながら、手際よく、綺麗にパパッと作ってくれました。あの時は本当に助かりました……! 彼女によると、フランス人は日常的にクレープを焼くようです。もちろん、人によるだろうけれど。

私には、そんな苦い思い出のあるパンケーキ・デーです。

チーズとマッシュルーム、玉ねぎのソテーをパンケーキで包んで。

イギリスでは、パンケーキ・デー以外でも、パンケーキをデザートや料理に使っていました。チョコレートムースを包んだココア味のパンケーキや、チーズとマッシュルームのソテーをパンケーキで包んだ前菜などもありました。

翌年のパンケーキ・デーには、そのフランス人の子はいなかったのですが、彼女が作るところをたくさん見て、教えてもらっていたし、焼く機会もあったので、私も上手になっていました。練習あるのみ!

でも、日本には薄焼き卵などの料理があるから、料理上手なみなさんなら簡単に焼けるかもしれません。その頃の私はお菓子しか作らず、料理が全くできなかったので、イギリスでの修行生活、大変な思い出はまだまだいっぱいあります。

帰国してからも、時々イギリススタイルの薄いパンケーキを焼きます。その度に、やっぱり美味しいなあと思うのです。そんなイギリススタイルのパンケーキを皆さまにもぜひ作っていただきたく、ご紹介します。

イギリス流パンケーキの作り方

材料 (底の直径18cmのフライパン 約10枚)

薄力粉……100g
塩……ひとつまみ
卵……2個
牛乳……280ml
バター……適量
グラニュー糖……適量
レモン……好きなだけ

作り方

  1. 薄力粉と塩をボウルにふるう。

2. 卵を割り入れ、泡だて器で混ぜる。

3. 牛乳を少しずつ入れ、泡だて器でよく混ぜる。混ぜたらラップをして、冷蔵庫で最低30分休ませる。

4. ダマが気になる場合は、一度漉す。

5. フライパンを温め、バターを溶かす。溶けたら生地を薄焼き卵の要領で焼いていく。表面が乾いたらひっくり返す。裏側はサッとで大丈夫。

焼き上がり。

グラニュー糖を好きなだけふりかけ、レモンをギュッと絞ってレモン汁をかけたら、クルクル巻いて完成! グラニュー糖はたっぷりがおすすめですよ!

ぜひ作ってみてくださいね!

Credit
写真&文 / The Pudding Party Tomo - イギリス菓子研究家/パティシエ -

イギリスのプディングの美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと活動する、イギリス菓子研究家、パティシエ。ル・コルドン・ブルー横浜校にて菓子ディプロムを取得。英国コッツウォルズのスリーウェイズ・ハウス・ホテルにてイギリス伝統菓子作りの腕を磨く。


〈The Pudding Party Tomoとイギリス菓子作り〉

https://youtube.com/channel/UCV1hGcG5t0SELBBiuJ1GqBA

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