人の名前を確実に覚えるためにはどうしたらいいか。企業へのブランドコンサルティング業務を手がける「Maslow」CEOのマズロー安達さんは「『覚えられない』と悩む人は、単に言語情報として相手の名前や単語などを覚えようとするから、なかなか記憶に定着しない。記憶に焼き付けるためには、インパクトのある映像を想像して名前に結びつけ、自ら感情を動かすことが大切だ」という──。
※本稿は、マズロー安達『一番効率的な成果の出し方がわかる 図解 デキる人の思考法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「相手の名前が覚えられない」から「記憶力最強」な人へ
「人の名前」や「単語」など、言語情報として覚えようとしても定着しない
私は子どものころ、物覚えが悪くてよく忘れ物をしていました。また今でも、パスワードや暗証番号を覚えられずに困ることがよくあります。記憶力に自信がない人は、名刺をもらって話をしたのに、相手の名前と顔が一致しない、担当者の名前をうっかり忘れて冷や汗をかいたなどということがあるかもしれませんね。
実は、記憶力を高めるのは、人間の脳の仕組みを知れば、そう難しいことではありません。人間の脳は、感情によって脳にある扁桃核が刺激されると「これは重要な情報だ」と判断、長期記憶に送り込むため忘れにくくなります。
「なかなか記憶できない」と悩む人は、単に言語情報として相手の名前や単語などを、一生懸命に覚えようとするから、なかなか記憶に定着しないのです。
あり得ない状況を物語形式で想像して記憶に焼き付ける
実は記憶力は、人に備わった能力ではなく、年齢などに関係なく、テクニック次第でずいぶん向上します。あなたが「高橋さん、佐藤さん、鈴木さん」という名前を覚えたいとします。しっかり記憶に焼き付けるためには、インパクトのある映像を想像して名前に結びつけ、自ら感情を動かすのです。
例えば「バカでかい角砂糖が、高い橋の上に落ちてくる」「そこにさらに、あり得ないくらいの大きさのスズキのバイクも落ちてきた」などでもいいでしょう。ストーリーを考え、その映像をイメージしてみると、面白いように覚えられるはずです。
変化のためのアクション:記憶力を上げるためのトレーニング
青魚や糖分を意識して摂取する
サバやイワシなどの青魚には、記憶力の向上に役立つEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれています。また、適切な糖分の摂取は、記憶力を高める働きがあるため、日頃から意識して、青魚や糖質を含む、炭水化物などを摂取しましょう。
学習前に軽く体を動かす
血液の循環が促され、脳に酸素が供給されると記憶力が高まることがわかっています。激しい運動でなくて構わないので、軽いウォーキングやスクワットなどを行うといいでしょう。また、日常的に運動を習慣にするのも、記憶力だけでなく脳の働きによい影響を与えます。
自分の体験と結びつける
自分の持つ情報や体験と結びつけると記憶に残りやすくなります。例えば「Clean up your mess(片付けなさい)」という表現がありますが、「そういえば、留学していたときホストマザーがよく言っていたな」と思い出したら、その瞬間に記憶に刻み込まれ、思い出すのは容易になるはずです。
〈まとめ〉
相手の名前が覚えられない人は、言葉だけで覚えようとする。
記憶力がいい人は、物語で覚える
「うまくいかずに悩む」から「成功確率を上げられる」人へ
行動すれば、試行錯誤の回数も増える
なかなかうまくいかないと悩む人は、実はシンプルに「行動量が足りていない」だけのことがよくあります。たとえて言えば、たった1人の人に告白して断られたからと言って、落ち込んで家に閉じこもっていたら、新しい出会いなんてありませんよね。
私も、恋愛に苦手意識があったころは「またフラれたらどうしよう」「今回もうまくいかないかもしれない」といった恐れや、プライドを傷つけたくないという気持ちから「恋愛してなくても楽しい」風を装っていた時期がありました。行動して想定外の展開になるのは、誰にとっても恐ろしいことでしょう。
でも、行動すれば、必ずなんらかの結果を得ることができます。そして、その結果に対して試行錯誤することで、少しずつ知識やスキルが身について、もっと「デキる自分」に変わっていくのです。
数をこなして成功確率を高める
私の会社は、紹介や口コミでお客さんが来てくださるので、自分たちから営業をしたことがありませんでした。でも、あるとき新しい事業のために営業する必要ができました。最初は恐る恐る1軒ずつ営業していました。でもそれでは、検証しなければならないことがたくさんあるのに、参考になるような結果がなかなか得られないと気づきます。そこで、営業する数をいっきに10倍近く増やしたのです。そこからやっと、アポイントが取れるようになり、成果につながったのです。
発明家のエジソンの言葉に「自分は失敗したことはない、うまくいかない方法を1万通り見つけただけ」というのがあるそうです。求める結果を得るまでの間、うまくいかないことは単なる過程の1つでしかありません。むしろ、その失敗があるからこそ、次のやるべきことが見えてきます。
変化のためのアクション:行動の量を増やそう
「5分ルール」で行動のハードルを下げる
行動しなければならないのはわかっている。でも、なかなかスタートできない。そんなときは「まず、5分だけやってみる」という“5分ルール”で、始めるハードルを低くします。たとえ5分だけでも、やり始めれば勢いがついて、気持ちに関係なく行動できるようになるはずです。
週の目標は「毎日やること」に分解する
目標が大きいと行動に移すハードルが高くなりがちです。例えばダイエットのために「週に3回、筋トレをする」という目標があるとしましょう。それをもっと細かく「毎日、朝、8時から5分腹筋する」のように、やりやすい目標に分解していきます。
自分の進捗を「見える化」する
日々のやるべきことを決めたら、進捗を記録して見える化します。記録するのはカレンダーでもチェックリストでも、やりやすいもので構いません。「昨日も達成」「今日もできた」と目にすることで、自信が身につき次の行動につながります。
〈まとめ〉
成功しない人は、行動量が少ない。
成功する人は、圧倒的な量をこなす
マズロー安達(まずろーあだち)
Maslow株式会社 代表取締役CEO
Maslow株式会社 代表取締役CEO。エグゼクティブコーチ(認定資格保有)。本名は安達卓則。学生時代に鬱、引きこもり、アルバイトクビ、留年、中退を経験。会社員として働くも活躍できず2社ともクビに。その後自己分析を繰り返すなかで「デザイナーが天職」だと悟り、未経験から1カ月でデザイナーに。月300時間以上のデザイン制作を1年半続け、大手企業のデザインを手掛けるまでになった。デザイナーとして自己実現した原体験から、「全ての人が自己実現できる社会」を創るべく起業。口コミ・紹介だけで、年商150億円規模の上場企業から有名政治家など多くの指名依頼を受けるまでに自社を成長させる。現在はデザイナーのための収入・キャリアアップパーソナルコーチングを提供している。