同じような商品やサービスなのに、売れる物と売れない物があるのはなぜでしょうか。その大きな理由は「付加価値をうまく作れていないから」。役立つのは「差別化」ではなく、「付加価値化」なのです。
『バナナの魅力を100文字で伝えてください』などのベストセラーで注目の著者・柿内尚文氏が、誰でも付加価値を作れてきちんと伝えられるための方法を紹介。付加価値を作るフレームワークとその活用法や事例などを取り上げ、多くの具体例とイラスト図解を交えながらわかりやすく解説します。
『このオムライスに、付加価値をつけてください』は、「自分の強みは何か」に悩んでいるビジネスパーソン必読の1冊です!
※本記事は書籍『このオムライスに、付加価値をつけてください』(柿内尚文/ポプラ社)から一部抜粋・編集しました
同じTシャツなのに、売れた場所と売れなかった場所が出たのはなぜか?
僕は出版社で働いているのですが、以前こんなことを聞きました。
あるアパレル会社と組んでTシャツ付きBOOKを発売しました。販路は書店とアパレル会社のショップです。
売り出してみると明暗が分かれました。
アパレル会社のショップではけっこう売れました。
一方で、書店での販売は苦戦しました。
同じ商品なのに、売れ行きに差が出たのです。
なぜそんなことが起きたのでしょうか?
そのTシャツ付きBOOKの値段は約5000円。
これは僕の仮説ですが、アパレルショップでは他のTシャツに比べて安い商品に見えたのだと思います。そのアパレルブランドのファンにとっては割安商品として魅力的に見えた。
つまり、付加価値が高い商品だったわけです。
一方で、書店では他の本に比べて5000円はかなり高額です。書店にそのアパレルブランドのファンが集まるわけでもありません。
そうなると、付加価値は生まれなかった。
まったく同じ商品でも、届ける場所と届ける相手によって、付加価値は変わります。
付加価値をつくるには、付加価値が生まれる構造を知り、付加価値を生み出す技術を知ることが早道です。この本では、その構造と技術を伝えていきます。
富士山の自動販売機の付加価値は?
日本一の山、富士山。
富士山には自動販売機が設置されています。温かい飲み物も冷たい飲み物もあり、登山の最中にのどをうるおすことができるありがたい存在です。
さて、そんな富士山でペットボトルの水を買うといくらするでしょう?
富士山の山頂の自販機で売っているペットボトルは、1本500 円*するそうです。
そして、おもしろいことに、登っていけばいくほど、だんだんと飲料の値段も高くなっていくそうです。
運搬費用を考えれば、登れば登るほど高くなるのは納得がいきます。
通常(想定内)の場所では100円台のペットボトルも、想定外の場所では価格が上がっていきます。
その値段でも飲み物を「買いたい」「欲しい!」と思うのは、付加価値が高いからです。
ここにも付加価値がありました。
付加価値は、いろんなところに潜んでいます。
*値段は2025年1月現在