【写真】チョン・サンフン“ジャワン”と男の子、それぞれの手術後
2023年MBCドラマ脚本公募展で短編最優秀賞を受賞し、2024年に韓国で放送され大きな反響を呼んだ名作ドタバタコメディ「私はトンカツが嫌いです」。同作が衛星劇場にて3月24日(月)夜11時から日本初放送されることに。放送開始を前に、笑って泣ける同作品の魅力を深掘りしていく。
実力派キャスト陣で贈る、明るく愉快なドタバタコメディ
同作は、“カサノバ(女たらしなどの意味)犬”ペックの子どもが数多く増えてしまったことに悩むオンファ村を舞台に繰り広げられるヒューマンコメディ。恋多きオス犬・ペックに去勢手術を受けさせようという考えが広がる一方で、里長であるジャワン(チョン・サンフン)にも妻シンエ(チョン・ヘビン)から同じくパイプカットの要望が寄せられてしまう。
本作の主人公となるジャワン役を演じるのは、「魔女は生きている〜妻たちの復讐〜」「ワガママな人生のはじめ方」などで知られるチョン・サンフン。そして彼の妻であるシンエ役は「また!?オ・ヘヨン 〜僕が愛した未来〜」「オッケー!グァン姉妹」で主演を務めたチョン・ヘビンが務めている。さらに主要キャストとして「他人は地獄だ」のイ・ジュンオクなどが出演し、隙のないキャスト陣で構成されている。
同作の魅力はなんといっても、犬と人間という種族を超えて男としての悲哀に直面する1人と1匹の姿。不可逆的なパイプカット手術を迫られた男は、自分の“男らしさ”と“家族の苦悩”を天秤にかけることになる。必要とわかっていても決断に迷う男、そして子だくさん家庭でストレスフルな環境に身を置く妻。どちらの苦しみも素直に共感できる脚本は、それゆえにさまざまな視点で楽しむことができるのだ。
2023年MBCドラマ脚本公募展で短編最優秀賞に輝いた同作は、受賞後まもなくドラマ化が決定。コメディの名手として知られるチョン・サンフンを主演に据え、全2話と短いストーリーで映像化した。
犬と里長、同じ悩みに直面した男たちの物語
オンファ村で問題になっていたのは、“カサノバ犬”とも言われるペックの子どもが増え過ぎたこと。あちこちの家に忍び込んではそこの飼い犬に交尾をしてしまうペックのせいで、「前の家にも後ろの家にもペックの子ども」と言われるほど苦情が殺到していた。
ある家は血統書付きの犬を飼っていることもあり、村で迷惑を被っている人々の間ではペックに去勢手術を受けさせようという考えが広がっていた。問題を解決すべく率先してペックの飼い主であるおばあちゃんを説得していたのは、里長であるジャワン。村の特産品である里芋を食べたペックが子どもをたくさんもうけたといえば、里芋の宣伝文句にもなる。そうして蓄えたお金があれば金銭的にも負担をかけないというのだ。
しかし時を同じくして、そんな言葉がジャワン自身に返ってくる。娘の誕生を夢見ていたジャワンはすでに3人の男の子を育てているのだが、妻が「双子の男の子」を妊娠したと明かす。妻のシンエも男の子3人でへとへとになっているところ、“6人目”はさすがに体がついていかない。怒り狂って「縛る(パイプカット)か離婚するか決めろ」とジャワンに決断を突きつけることに。
奇しくもペックと同じ境遇になってしまったジャワン。泣く泣く手術を受けるのだが、狭い村だけに多くの人にそれを知られてしまう。村人総出のお祝いムードで見送られる姿は、見ていてなんともむずがゆい。
物語はパイプカットをしたジャワンの話を中心に回るのだが、同作は彼以外にもさまざまな男の悲哀を描いている。自身もパイプカットを受けている医者は、ジャワンの不安を取り除くために“パイプカット”経験者として事情を語る。しかし飲みの席で酔っぱらうと「言うことを聞かなきゃ叱られる」と実は進んでの決断ではなかったことを暴露。紳士的で知的な普段の面影は見る影もなく、鼻水を垂らしながら泣く姿のなんと悲しいことか…。
さらにジャワンが手術を受ける日、「トンカツを食べよう」といって連れ出される男の子もいた。これは割礼手術を受けさせる際の韓国であるあるの言い回しなのだが、それがタイトル「私はトンカツが嫌いです」に通じてくる。細かなあるあるが積み重なって、コミカルながらどこかリアルな日常が描かれるのだ。
ペックの去勢手術はおこなわれるのか、里長の座をかけた選挙の行方、パイプカットをしたジャワンに降りかかる思いがけないニュースとは…。話題のコメディドラマ「私はトンカツが嫌いです」は、衛星劇場にて3月24日(月)夜11時から日本初放送。