「バイトや仕事が続かない」。これがいつものこととなると、発達障害の傾向がありそうです。
衝動で会社を辞め、何度も転職をくり返す。【ADHD傾向】
ADHDの人は、「飽きやすい」性質をもっているので、ひとつの仕事をコツコツ続けていくことが苦手です。
しかも、事務的なことが苦手なためミスしたり、会議が苦手なため「協調性がない」と批判されたり、あと回しグセで、大事な用件の締め切りを守れなかったりと、仕事を続けるうえでの困難もたくさん起こります。そもそも定型発達の人よりも「耐えるべき困難」が多いのが特徴です。
上司からのミスの指摘にまいってしまいがちですが、ADHDの人は、子どものころから「早くしなさい!」「ダメな子ね!」などと言われ続けていることも多く、挫折感の積み重なりから、傷つきやすい人が多いです。
また、「衝動性」のために、ちょっとした不満に反応しやすく、話し合ってその問題を解決していこうとするというよりは、待てずに結論を急いでしまいます。もうイヤだ。やっていられないと感じてしまったらすぐに決断し、思い切りよく辞めてしまいます。
職場を変える前に周りともよく相談しましょう
職場を変えたとしても、新しい職場でもがまんできなくなり、衝動的に辞表を出してしまうかもしれません。
とにかく急いで決めてしまわず、まずは辞表を出す前にいろいろな人に相談をしたり話を聞いてもらったりしましょう。きっと違う対応もできるはずです。人事課に相談したり、社内での異動も考えるのがいいかもしれません。
転職するときは、少なくとも「次を決めてから辞める」というルールを自分に課すなど、ストッパーをいくつかかけておくことが必要です。
あまりに転職回数が多くなると、再就職が不利になっていくことも考えられます。そうすると、希望の職に就けず、ますます不満の多い仕事をすることにもなりかねません。
教えてくれたのは…司馬理英子先生●司馬クリニック院長。医学博士。岡山大学医学部卒。1983年渡米。アメリカで4人の子どもを育てるなか、ADHDについての研鑽を深める。1997年に帰国し、東京都武蔵野市に発達障害の専門クリニックである司馬クリニックを開院。以来、子どもから大人までの治療を行っている。