愛飲者も多く、日常的に親しまれているコーヒー。一息つきたいときや朝の1杯に欠かせない方も多いのでは
しかし飲み過ぎによる悪影響もあります。
株式会社Luceの栄養士・食育栄養インストラクターで現役CAの神原李奈先生が解説します。
その症状、“コーヒーの飲みすぎ”のせいかも
神原先生:コーヒーを飲みすぎると、カフェインの過剰摂取で下痢や腹痛、吐き気、足のつりといった体の不調が出ることがあります。
不調1 下痢になる
カフェインを過剰に摂取すると、自律神経が乱れて胃腸の働きが活発になり、下痢になることあります。
不調2 お腹が痛い
カフェインによって胃酸の分泌量増えると、胃の中が荒れて胃痛を起こすことがあります。
また、ポリフェノールの一種である「タンニン」という成分が腸の粘膜を刺激して、痛みを引き起こすこともあります。
不調3 気持ち悪い
カフェインには胃液分泌を促進する働きがあります。過剰に摂取すると胃液や胃酸が必要以上に分泌されるため、気持ち悪くなってしまいます。
不調4 足がつる
コーヒーの利尿作用により体内の水分量が減るため、コーヒーを飲みすぎると足がつる可能性があります。
足がつる原因はコーヒー?カフェインは足がつりやすくなるのか
コーヒーの飲み過ぎで中枢神経に異常をきたすことも
神原先生:コーヒーを飲み過ぎると、中枢神経に過剰な刺激を与える場合もあります。中枢神経とは脳や脊髄にある神経で、体への司令に関わっています。
中枢神経に異常が起こると、以下などの不調が現れやすくなります。
●心拍数の増加、動悸
●興奮
●イライラ感、不安感
●頭痛、めまい
●震え
●不眠
【対処法】コーヒーの飲み過ぎで気持ち悪い。どうすればいい?[医師監修]
次:“コーヒーの飲みすぎ”が続くと、どうなる?
“コーヒーの飲みすぎ”が続くと、どうなる?
神原先生:コーヒーの飲みすぎが続くと、肌荒れやひどい口臭、腹痛、貧血などの悪影響を及ぼす可能性があります。
悪影響1 肌荒れ
カフェインの覚醒作用によって睡眠の量や質が下がり、肌荒れを引き起こすことがあります。
悪影響2 口臭
コーヒーが口腔内環境を変化させ、口臭の原因となることがあります。
悪影響3 腹痛
過敏性腸症候群の人は、コーヒーを飲むことで腸が刺激されて、腹痛が起こることがあります。潰瘍性大腸炎やクローン病などの人は、カフェインが腸を刺激し、血便を起こすこともあります。
悪影響4 貧血
コーヒーに含まれるタンニンは鉄の吸収を阻害するため、貧血を招く可能性があります。
高血圧、骨粗しょう症リスクを上げる危険性も
神原先生:コーヒーを飲みすぎることで、高血圧や骨粗しょう症など病気の発症リスクが上がる可能性があります。
肝臓の機能が低下している人が、長期間コーヒーを過剰摂取しつづけると、高血圧のリスクが上がる可能性があると言われています。
また、カルシウムの摂取量が少ない人は、カフェインの利尿作用によるカルシウムの排泄促進により、骨粗しょう症になる恐れもあります。
腎臓機能が低下している人は要注意!
神原先生:コーヒーにはカリウムが含まれています。健康な人がコーヒーを飲む分には大丈夫ですが、腎臓の機能が低下している場合は負担が大きくなるでしょう。
とくにインスタントコーヒーはカリウムが多いとされています。
「コーヒーの飲み過ぎは腎臓に悪い」ってホント?腎泌尿器科医に聞いた
次:コーヒーが「膵臓がんのリスクを高める」って本当?
コーヒーが「膵臓がんのリスクを高める」って本当?
神原先生:コーヒーと膵がんの関係は、まだはっきりとされていません。コーヒーの摂取量によって、膵がんのリスクが高くなる、あるいは低くなるというエビデンスは認められていません。
過去に、コーヒーは膵がんのリスクを増加させるという研究結果が発表されましたが、その後の研究では必ずしも同様の結果が得られていないようです。
コーヒーは「1日3杯まで」が目安
神原先生:カナダ保健省では健康な成人において、一日のカフェイン摂取量は最大400mgまで、コーヒーに換算するとマグカップ(237ml入り)で約3杯までとしています。
日本ではカフェインの一日摂取許容量は設定されていないことから、一日当たりのコーヒー摂取量は決まっていませんが、マグカップ約3杯までを参考にすると良いでしょう。
ただし、妊婦は飲みすぎに要注意です。WHO(世界保健機構)によると、妊婦は300mg/日(コーヒー2杯程度)までにするよう発信されています。
妊婦が過剰摂取した場合、低体重児の出産・早産・死産に繋がる可能性もありますので、注意が必要です。
カフェインレスコーヒーなら多めに飲んでも大丈夫?
神原先生:カフェインレスコーヒーにもわずかにカフェインは含まれているので、飲みすぎには注意してください。
なお、カフェインの感受性は個人差があるので、人によっては飲みすぎにより何らかの症状が出る場合があります。摂取量の目安に関わらず、不調を感じたらコーヒーを飲むのをやめてください。
また、水を飲んでカフェインの血中濃度を下げましょう。症状がひどい場合は、内科を受診してください。
▼参考
農林水産省 カフェインの過剰摂取について
食品安全委員会 食品中のカフェイン
コーヒー 肝臓 Care Net 1日3杯以上のコーヒーで肝臓に保護効果
監修者プロフィール
神原李奈
株式会社Luce・健康検定協会所属、栄養士・食育栄養インストラクター。CA(客室乗務員)の仕事をきっかけに、健康と食の強い結びつきを実感し、食の世界に興味を持つ。大手料理教室の講師の経験を経て、栄養士を目指すことに。栄養士免許を取得後の現在は、現役CAとして世界中を飛び回りながら、栄養士として健康や食に関する情報を発信している。
<Edit:編集部>
※本記事は、Medicalook(メディカルック)で掲載されていた内容を移管し、加筆・修正したものです。