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「人はなぜ宇宙に魅せられるのか?」TVアニメ『チ。』の特別展が日本科学未来館で開催中!名シーンの再現エリアや限定グッズなど、イベントの様子を体験ルポ!

  • 2025.3.18

宇宙への関心が高まる現代、東京・日本科学未来館では、2025年3月14日(金)~2025年6月1日(日)まで、人気TVアニメ『チ。―地球の運動について―』の世界を再現した体験型展示や宇宙研究について学べる特別展を開催中。宇宙飛行士の野口聡一さんとアニメの声優陣も感激した本展をレポートします!

2025年3月14日~6月1日まで開催「チ。―地球の運動について―地球(いわ)が動く」

東京・日本科学未来館では、2025年3月14日(金)~2025年6月1日(日)の期間、人気TVアニメ『チ。―地球の運動について―』の世界を舞台に、地動説や天動説などについて学んで体験できる特別展「チ。―地球の運動について―地球(いわ)が動く」が開催されています。

アニメの名場面を忠実に再現した体験型展示や映像展示のほか、歴史的研究から最新の宇宙研究まで学術面からも知識を深められ、原作漫画やアニメを観てなくても「知りたい」という探求心があれば満喫できる特別展となっています。

特別展開始前日の内覧会にはスペシャルゲストが登壇されました。(左から)ドゥラカ役の島袋美由利さん、ヨレンタ役の仁見紗綾さん、宇宙飛行士の野口聡一さん、オクジー役の小西克幸さん、フベルト役の速水奨さん。

皆さん「頭で理解していたものが確信に変わった、泣ける、2〜3周は巡てほしい!」と胸いっぱいの想いや見どころを語り満喫したご様子。野口さんは「子供たちの夏の自由研究にぴったり。会期は6月1日までだが、“6”が上下に半回転して“9”になって、9月1日まで延長したらいいな」とステキな提案で、会場を和やかに包み込みました。

人気漫画『チ。―地球の運動について―』

魚豊(うおと)先生による漫画が原作で、2024年10月〜2025年3月まで2クール連続で放送されたTVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』。原作漫画は「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で2020年〜2022年まで連載され、2025年3月現在、原作漫画(全8巻)累計発行部数は500万部を突破。「第26回手塚治虫文化賞マンガ大賞」などを受賞している大人気作品です。

作品の舞台は、15世紀のヨーロッパ・P王国で、宇宙の中心は地球であるという教会の教え「天動説」に背く者は異端者として弾圧・処刑されていた時代。こっそり天文学に情熱を注ぐ天才少年ラファウ(中央)が、異端とされる学者フベルト(左)と出会うところから物語は始まります。

紀元前2世紀から約1500年間、地球を中心に太陽や月など惑星が回転していると考えられてきた「天動説」。16世紀半ばに、太陽を中心に地球やほかの惑星がそのまわりを回転していると提唱された「地動説」。

提唱される前の時代、ラファウは地動説の美しさに魅了されるも、異端審問にかけられわずか12歳で自ら死を選択。それでも「地動説」に心を動かされた者たちによって、その知識や信念は受け継がれ、教会と衝突しながら命をかけて探求する人々の姿を描いています。

宗教と歴史だけでなく、自分が信じる“正義”に忠実であるために他者を排除する思想など、人間の心理についても考えさせられる内容に。作画も音楽も美しく、アニメファン、天文学ファンを魅了しています。

謎解きをして「知」を深めよう

会場入口で渡される「地動説研究ノート」に書かれた謎を解きながら進みます。難易度の高い「天文学者用」と簡単系の「天文助手用」の2パターンあり、どちらか1冊を選んでスタート!

(画像提供:日本科学未来館、特別展「チ。―地球の運動について―地球(いわ)が動く」)

謎に答えると退場時に「本展限定のオリジナルステッカー」(全5種類、ランダム配布)をゲットできます。最後の最後までファンを楽しませてくれる仕組みになっています!

第1章から第4章まで見どころだらけ

原作漫画の時間軸に合わせ、ラファウがフベルトと出会い「地動説」に感動する第1章から、過去から現代までの観測技術の歴史を学べる第4章へと続きます。

10年後、世界に全く期待しないネガティブな代闘士オクジー(左)と、教会に従わず純粋に探求する修道士バデーニ(右)が地動説を完成させてゆく第2章。

25年後、女性天文台助手のヨレンタ(右)が異端解放戦線を率いる組織長となり、金儲けを企む移動民族ドゥラカ(左)と「活版印刷」を用いて地動説の本を出版しようと奮闘する第3章。

16世紀以降、コペルニクスが地動説を提唱した後の発展を展示した第4章。

各章ではアニメの映像やパネル展示、フォトスポットなど多く並んでいます(映像展示は撮影不可)。

没入体験を紹介

中世の天体観測を疑似体験「アストロラーベ」

望遠鏡がない中世の時代は、現代の星座早見盤のような機能がある天体観測装置「アストロラーベ」を持ち運んで観測していました。実際に手に持つことができます。

上のリングに指を引っかけてぶら下げて、照準器(アリダード)ののぞき穴から目標の星が見えるように照準器を動かし、星の高度角、星座や恒星の位置を表示します。

黄金にキラキラ輝いて、細やかなデザインはじっくり見たくなるほど美しい。物語ではラファウもこちらを使って観測をしていたことを思うと感動が生まれました。

1kgほどとずしっと重いので、「紐」だけでなく「本体」も手で持ってください。フベルト役の速水さんも「当時の天文学の人達は利き腕が太かったのでは?!」とその重さに驚いた様子でした。

作品を再現したフォトスポット

第1章のエリアには、処刑されたフベルトの異端思想「地動説」を継承したラファウが、疑惑をかけられ牢獄に閉じ込められるシーンを再現しています。

ラファウが命を絶つ前、宇宙の美しさと神秘を感じて地動説に信念を貫く決断をする重要な場面。作中と同じように小窓から月明かりが差し、息をのむほど美しい光景です。

「金星の満ち欠け」を見比べる体験

「地動説」と「天動説」の実験模型で金星の満ち欠けの違いを見比べることができます。回転テーブルを回して、金星(テーブルの黒い玉)に当たる太陽(照明)の光の形が、地球(自分)からどう見えるか観察してみましょう。

(左)太陽を真ん中にした「地動説」では、金星が太陽より地球に近いときに大きく見えて、半月状から三日月状の形に変化し、逆に太陽の向こう側を周っているときは地球からは遠いので小さく見えて、太陽に照らされて半月から満月に近い形になります。

(右)太陽を奥にした「天動説」では、金星は太陽の内側を周っているので常に大きく欠けて見えて、半月状以上に満ちた金星に見えるはずがありません。「金星の大きさが変わる」ので「地球と金星の距離は変化する(金星が太陽より地球側にあることはない)」ことが「地動説」の裏付けとなりました。

物語で、これを見つけたのが視力が抜群いいオクジーです。ネガティブで現実と向き合いたくない気持ちの象徴として“空を見ることができない”彼がしっかり空を見て、初めて自分の心を動かされた喜びのシーン。オクジーの気持ちを体験できました!

活版印刷体験

「地動説」を広めるために、ヨレンタとドゥラカたちが奮闘する「活版印刷」。活版印刷とは、鉛などを主原料とした金属の字型「活字」を1個ずつ並び替えて、凹凸の凸面にインクをつけて効率的に文章を印刷する手法です。

これにより、時代を越えて情報を多くの人に届けることが可能になりましたが、教会の権威を揺るがせた原因のひとつになったと考えられています。

「活版印刷の簡易体験」では自分のイニシャルを印刷体験できます。説明書を見ながら挑戦!

名前と苗字の「活字(2文字分)」と真ん中の「・」、合計3個の字型を選びます。字型の活字は読み文字と反対に形成され、「C、D」などは一目瞭然ですが「S」はセットが難しそうですね。

組版ステッキの溝に沿って字型をはめて、固定板を差し込み固定します。

インクをつけて研究ノートにバッチリスタンプ! 押し終わったら、次の人のためにインクをふき取り、固定ネジを外して字型を分解して元の位置へ。

予め登場人物たちの名前をセットしたコーナーもあります。

こちらは「DRAKA(ドゥラカ)」と字型をセット。物語では、知識を広めるための活版印刷に辿り着くまでに、多くの人達の血が流れてきました。彼らの想いが込められていると想像すると、1文字1文字が実質量以上に重く感じてしまいます。

心に響く名台詞とSPエンディング映像

「不正解は無意味を意味しない」「文字は、まるで奇蹟ですよ」など心を揺さぶる名台詞が多い作品。本展でも展示パネルで一言一言を噛みして胸いっぱいになることでしょう。

(画像提供:日本科学未来館、特別展「チ。―地球の運動について―地球(いわ)が動く」)

第3章の終わりの個室では、サカナクションによるTVアニメOPテーマ「怪獣」にのせた特別な映像展示を見ることができます(撮影不可)。幅15mの超パノラマスクリーンに走馬灯のように映像が流れ、私も目頭が熱くなりました。来場につき1回しか見れないので、しっかり目と心に焼きつけてほしいエンディングです!

星空に吸い込まれる感覚

第1章と第4章のエリアでは星空に吸い込まれるような没入感を体験できます。写真は第1章から第2章へ向かう通路にある「夜空に輝く星の道」。ゆっくり動く星空に地球の自転を感じられます。

第4章のエリアでは、壁一面に国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクトの「天の川銀河紀行」を投影しています(撮影不可)。推定2,000〜4,000億個の恒星がある天の川銀河の星の動きを、最新の物理理論と技術で映像化しています。銀河に吸い込まれる感覚で、宇宙旅行を疑似体験できます!

特別展限定オリジナルグッズなど

会場の最後では、本特別展限定のオリジナルグッズや一般販売商品を販売しています。人気のアクスタ系、バッグ、ボールペン、文具など、キャラクターや夜空をモチーフにしたデザインも素敵です。商品によって、購入制限・完売の場合があるのでご了承ください。

(左)マチ付きで使い勝手のいい特別展限定「トートバッグ」(税込2,750円)、(右)ラファウが天体観測をしているデザインの特別展限定「星空フェイスタオル」(税込2,750円)。

(左)特別展限定「空が回転するジオラマアクスタ」(税込5,500円)、(右)特別展限定「星座早見盤付きアクリルスタンド」(税込4,400円)。天体観測したくなる、手のひらサイズの大きめのアクスタです。

「アクリルキーホルダー」(税込990円)、「アクリルマグネット」(全3種、税込990円)、メモ帳(税込660円〜)、B5ノート(税込550円)、ファイル(税込550円〜)など、特別展限定の文具グッズもそろっています(税込550円〜)。

どれが出るのか開封するまで秘密にされた特別展限定ブランド商品は「名シーンステッカー」「名シーンクリアカード」(各全5種類、税込440円)とあり、「コンプリートBOX」(各税込2,200円)もあります。

特別展限定ランダムカプセル商品 「名言アクリルスタンド」(全6種、税込700円)。直接100円硬貨は入れず、レジにて「専用コイン」を購入するスタイル(1会計3枚まで)。

地動説と出会う前のラファウの「世界、チョレ〜」など、メインキャラクターたちのポップな名言が書かれています。

特別展限定「石箱風BOXのプリントクッキー」(税込2,200円)。作品のロゴや台詞を描いたクッキーが入ったユニークなお菓子です。

特別展限定商品のほか、(写真)装丁にこだわった専用ボックス入り全8巻セット「豪華版」(税込19,800円)、ポスター(税込2,200円)、お部屋に立てかけられる「キャンパスボード」(全2種、税込4,400円)の一般販売商品も並んでいます。

注意事項

*「本展オリジナルグッズは1人10点まで、ブラインド商品は20点まで、コンプリートBOX商品は4点まで、カプセル商品は1会計につき3点まで」と購入制限あり。

*「一般販売商品・先行販売商品」は購入制限なし。

*各種、販売数に限りがあるので売り切れの場合もあり。

*転売目的の入場不可。

*会場施設及び周辺での「商品交換・授受行為・販売行為」はご遠慮ください。

ちなみに、本特別展の「グッズ付きのチケット」では、物販でも販売されていない「蓄光アクリルコースター」をゲットできます。こちらも思い出に残るひとつですね。

*「グッズ付きチケット」は規定数量に達し次第販売終了。

*転売目的での購入および第三者への提供は禁止です。

最後に

コペルニクスが地動説を提唱する前の歴史的な背景、原作漫画やTVアニメで『チ。 ―地球の運動について―』にふれてきた人達にとっては、作品の中に没入できて、「天動説・地動説」について深掘りできる今回の特別展。

それぞれの登場人物たちが信念のために奮闘していますが、SNSの影響で流行りや人の意見に飲まれやすい現代で、本当の自分の考えや感情が迷子になっている人は多いのではないでしょうか。本展では「まずは自分は”どう感じるのか、瞳を輝かせる好奇心と出会うこと」ことの大切さも教えてくれているように感じました。

特別展「チ。―地球の運動について―地球(いわ)が動く」

会期:2025年3月14日(金)~2025年6月1日(日)

時間:10:00~17:00(最終入場16:30)

個人入場料(税込):大人(19歳以上)2,200円、小学生以上(18歳以下)1,500円、未就学児(4歳以上)500円、3歳以下無料

「蓄光アクリルコースター」グッズ付きチケット:大人(19歳以上)3,200円、小学生以上18歳以下2,500円、未就学児(4歳以上)500円、3歳以下無料

大人(19歳以上):一般3,200円、18歳以下(小学生以上)2,500円未就学児(3歳以上)1,500円

*規定数量に達し次第販売終了

*転売目的での購入および第三者への提供は禁止

*入場チケット1枚につき1名1回限り有効、「日本科学未来館常設展」も入場可能、ドームシアターは別料金(要予約)

会場:日本科学未来館

住所:東京都江東区青海2-3-6

休館日:火曜(3月25日、4月1日、4月29日、5月6日は開館)

[photos by kurisencho]

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