重要な仕事を効率的に終わらせるにはどうしたらいいのか。企業へのブランドコンサルティング業務を手がける「Maslow」CEOのマズロー安達さんは「簡単なタスクを優先して『やった気』にならないこと。『午前中の1時間は必ず“緊急ではないが重要”なことに使う』など、まずは時間を確保するのがおすすめだ」という──。
※本稿は、マズロー安達『一番効率的な成果の出し方がわかる 図解 デキる人の思考法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「いつも何かに追われる」から「余裕を持って取り組める」人へ
慣れているタスク、結果が出るとわかっていることを先にやっていない?
初めての仕事はついつい後回しにしてしまう。簡単で慣れた仕事から手をつけて結局、重要な仕事に手が回らない。そんな経験は誰にもありますよね。
私の場合、「Xで5万フォロワー」という目標を達成したあと、優先順位が変わり、事業に力を注がなければならない時期になったのに、先延ばしをしていたことがありました。慣れ親しんだ「Xで1日2ポスト」という習慣を手放せず、そちらに手をかけるあまり、やらなければならないタスクを無意識に後回しにしていたのです。
そうして、事業の進捗に遅れが出ることがよく起こるようになり、共同創業者から指摘を受けて初めて、自分が「新しい」タスクから逃げていたことがわかりました。誰しも、結果が出るとわかっているタスクを優先しがちです。しかし、新しいチャレンジから目を背けたままだと、いつまで経っても成長できないのです。
目の前の仕事に追われて「やった気」にならない。自分の人生の目標達成に重要なことに向き合う
世界中のビジネスマンから支持されている『7つの習慣』では、日々のタスクを4つの領域(①緊急で重要、②緊急ではないが重要、③緊急だが重要でない、④緊急でも重要でもない)に分類し、優先順位を決める手法が書かれています。多くの人は、例えば「メールの返信」などのように「①緊急で重要」と思われるタスクに気を取られ、新商品の企画や新規顧客の開拓など「②緊急ではないが重要」なことをつい後回しにしがちです。
緊急でなくても重要なタスクは、今、取り組まなくても、すぐに困ることはないかもしれません。でも、自分の人生の目標達成につながる大切なタスクです。「午前中の1時間は必ず“②緊急ではないが重要”なことに使う」など、まずは時間を確保してしまうのがオススメです。
変化のためのアクション:「重要なことを考えるクセ」をつけよう
何を最初にやるべきか確認する
やるべきこと、緊急ではないけど重要なことを先延ばしにしないためには、自分なりのルールを決めておく必要があります。最も大切なルールが、何を最初にやるべきかの優先順位を確認することです。前日の仕事が終わったときでも、夜寝る前でも、その日の朝イチでも構いません。自分にとってやりやすい時間に、1日にやるべき重要度の高い順番を確認しましょう。
MIT(Most Important Task)を設定する
すべてのタスクに優先順位をつけるのが難しい場合、「MIT」と呼ばれる、その日に最も重要なタスク3つを選びます。この3つを終わらせたら、ほかのタスクを片付けるようにします。
午前中はチャレンジタスクの時間にする
朝起きたばかりの時間は、睡眠によって脳が整理されている「ゴールデンタイム」。また、夕方になれば体が疲れてくるように、午後は脳も疲労しますので、やったことのない仕事、難しそうな仕事は午前中に着手するようにしましょう。
適度に休憩をとる
重要度の高いタスクややったことのない仕事にトライするには、集中力が必要です。人間の集中力は15分おきに波があり、最長で90分で限界に達すると言われています。そのため、いくらがんばろうとしても、1時間も集中すれば脳は疲れてしまいます。ムリをせず15〜20分おきにこまめに休憩をとりましょう。
〈まとめ〉
変わらない人は、恐怖から逃れる。
変わる人は、恐怖に向き合う。
「なんとなく過ごす」から「明確な目標に向かう」人へ
「自分の夢」を見つければ、達成するための情報だけが目に入る
私はつい最近まで明確な目標を持たず、なんとなくで流されて暮らしていました。大学は自分の成績で入れる建築学科に入ったものの、授業がつまらなくて図書館に引きこもるばかりで、結局中退。社会人になってからも、持った目標は、親を安心させるために「正社員になる」というだけ。
今から思えば、その様子はまるで「自分の人生」という海に浮かんでアップアップしているようなもの。自分の意思で前に進むことなく、漂流していたのです。そんな私が変わったきっかけは「デザイナーになる」と決めたことです。
そのときからは、デザイナーになるためにやるべきことに没頭し、それまで気になっていた、芸能人のゴシップ情報やスマホの通知、友人からの遊びの誘いなどが目にとまらなくなったのです。
ただ「楽しい」だけで終わらない。充実した人生を送るカギは自分の夢を見つけること
誰でも、プールで前に向かって泳ぐときは、いかにゴールに着くかだけを考えているはずです。「プールサイドにこんな人がいる」とか、「赤い服の女の子が自分を見てる?」など、まわりを気にすることはないでしょう。「自分の人生」という海でも同じこと。先に達成したい明確な目標があれば、ゴールに向かうことにエネルギーを集中できる。
1年後、3年後、5年後、そして10年後や20年後まで考えると、それぞれ異なる目標が見つかるはずです。理想は、一度、しっかり自分と向き合う時間をつくり、100歳までの人生計画を立ててみること。
すると、最終的に理想の状態に到達するためには、20年後までにどうなっていたいか、5年後までに何を達成していたいかが見えてきます。そうなれば、人生の海で流されることなく、迷いなく行動していけるはずです。
変化のためのアクション:目標や夢を見つけ出そう
25個やりたいことを書き出し、最も達成したい5個に絞る
まずは、なんでもいいのでやりたいこと、達成したいこと、こうなったらいいなということを、25個書き出してみましょう。達成できるかできないかは、最初は考えなくてOK。「億万長者になる」「世界一周する」「新しいスマホを買う」などでもいいのです。その中からどうしても達成したいこと、5つに絞り込みます。
目標を毎日目にする場所に置く
目標の数は5つくらいが意識に残りやすく、実践しやすいはずです。そして目標を毎日目にする場所に書き出しましょう。スマホのメモ帳でも、デスクでも、冷蔵庫のドアでも構いません。常に目にして意識することで、夢に向かって進む道が見えてきます。
目標を毎日目にする場所に置く
「SMART」とは、具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性がある(Relevant)、期限付き(Time-bound)で目標を設定しましょうということです。ダイエットしたいのであれば「3カ月後までに、体重を3kg、体脂肪率を5%減らす」のような目標の立て方です。
目標を毎日目にする場所に置く
今すぐ叶えたい目標はもちろん、1年後、3年後、5年後にどうなっていたいかも考えてみましょう。もちろん、10年後、30年後、そして100年後にどうありたいかイメージするのもいいでしょう。目標は途中でいくらでも変更して構いません。でも、こまめに想像してみることで目標以外のことに気を取られる時間が減ってくるはずです。
〈まとめ〉
人生が停滞している人は、目標がない。
人生が進んでいる人は、夢中で目標に向かっている
マズロー安達(まずろーあだち)
Maslow株式会社 代表取締役CEO
Maslow株式会社 代表取締役CEO。エグゼクティブコーチ(認定資格保有)。本名は安達卓則。学生時代に鬱、引きこもり、アルバイトクビ、留年、中退を経験。会社員として働くも活躍できず2社ともクビに。その後自己分析を繰り返すなかで「デザイナーが天職」だと悟り、未経験から1カ月でデザイナーに。月300時間以上のデザイン制作を1年半続け、大手企業のデザインを手掛けるまでになった。デザイナーとして自己実現した原体験から、「全ての人が自己実現できる社会」を創るべく起業。口コミ・紹介だけで、年商150億円規模の上場企業から有名政治家など多くの指名依頼を受けるまでに自社を成長させる。現在はデザイナーのための収入・キャリアアップパーソナルコーチングを提供している。