天使のようにかわいかった幼馴染と数年ぶりに再会したら、なんとギャルになっていた。『幼馴染BIG LOVE』(観乃ふみ/KADOKAWA)は、そんな驚きの再会からはじまるガール・ミーツ・ガールの物語だ。
金髪のギャルで天真爛漫な性格の橘恋雪(たちばなこゆき)。対するは、黒髪ショートでクールな藤崎はるの(ふじさきはるの)。幼馴染だったふたりは、一時期、親の都合で離ればなれになったものの、同じ高校に入学し数年ぶりの再会をはたす。
ギャルになった恋雪の姿に最初こそ驚いたはるのだったが、恋雪のかわいさは健在で、久々の再会にもかかわらず、ふたりの間にはまるで時間を飛び越えたかのような阿吽の呼吸がある。そして、友情を超えた特別な感情を抱いていることに、次第に気付いていく。そんなふたりの“BIG”な“LOVE”を描いた百合ラブコメディになっている。
「あーんしてくれないの?」「可愛すぎて妖精が教室に迷いこんできたかと思った」「毎秒かわいさを更新しつづけている」といった、はばかりのない「のろけ言葉」の応酬。たがいへの好意を隠すこともなく発露していく姿勢やかけられた言葉に思わず赤面してしまう素直な姿が非常にかわいらしく、同時にあまりにも尊い。
見た目からしてギャル系とクール系と真逆のタイプのふたり。アプローチにもそれぞれの個性が出ているのが面白い。積極的に物理的な距離を詰めて好意を示す恋雪。一方で、言葉で自分の気持ちを丁寧に伝えていくはるの。同じ「好き」という感情でも、まったく違う行動につながっているのがキャラクターとしての強さになっている。そして誰かを愛する方法論を、それぞれ違う方向から鑑賞しているようで、なんだか得した気分にもなれるのだ。
たがいに好意を隠すことのないふたりの関係は、単なる恋愛ものとして見ても清々しく、かわいらしく読み応えたっぷりだ。ふたりの眩しいほどの愛をその目で確かめてみてほしい。
文=ネゴト / たけのこ