史上初めて大学生と実業団のトップクラスが駅伝で激突する「大阪・関西万博開催記念 ACN EXPO EKIDEN 2025」が2025年3月16日、大阪府・万博記念公園をスタート、夢洲(大阪・関西万博会場地)をフィニッシュとする7区間54.5kmで行われ、トヨタ自動車が2時間32分48秒で優勝した。
社会人1年目の吉居大和がチームを勢いづけた。スタート直後からGMOインターネットグループの嶋津雄大が飛び出し、5kmあたりから駒澤大学・伊藤蒼唯(3年)がトップに立った1区(8.9km)。
「1区を走るからには区間賞を取らないとダメ」と考えていた吉居は、終始冷静なレース運びで好位置につける。残り400mを切って首位を奪うと、伊藤に4秒差をつけて中継所に飛び込んだ。
トヨタ自動車は2区の野村勇作が区間3位でつなぐと、最長12.5kmの3区では、昨夏のパリ五輪10000m代表で、2月にハーフマラソンの日本新記録(59分27秒)を樹立した太田智樹が圧巻の走りを披露。
「走る前は『大学生に負けたらどうしよう』みたいなことも考えた」と言いながら、「後ろの状況が分からなかったので、とりあえず自分のペースで走った」と、激しい2位争いを演じるGMOインターネットグループ、青山学院大学、駒澤大、國學院大學を大きく引き離す。最後まで快調なペースを刻んだ太田は区間賞に輝き、2位の國學院大に1分11秒の差をつけた。
4区(5.4km)のサムエル・キバティ、5区(10.1km)・湯浅仁のルーキー2人もそれぞれ区間3位、4位と安定した走りで首位をがっちりキープする。6区(4.7km)の田中秀幸は出場全選手の中で最年長の34歳。ベテランらしく、しかし積極的な走りで区間賞を獲得し、2位に浮上してきた富士通との差を再び広げた。
アンカーは内田隼太。「先輩方や後輩が良い形で襷をつないでくださったので、僕自身は新しい万博の会場に一番最初にゴールしようという気持ちで走った」と、7.8kmの最終7区を充実の表情で駆け抜け、栄えある優勝のフィニッシュテープを切った。
トヨタ自動車の熊本剛監督は「この大阪のど真ん中をコースとして走らせていただいたこと、そして、非常に多くの沿道のファンの方が応援してくださったことに感謝したい」と話した上で、「選手は実業団として負けられないというプレッシャーがある中で、しっかりと優勝を目指して襷をつないでくれました。1区の吉居から先頭を譲らず走り続けることができましたので、本当に頼もしく見えました」と、快走した選手たちを高く評価した。
一時9位まで順位を落としながら、4区のコセン・ダニエルと5区・塩尻和也の連続区間賞で盛り返した富士通が2位に入った。大学勢トップとなる3位に入ったのは、今年度学生駅伝2冠の國學院大。3区の上原琉翔(3年)や5区・野中恒亨(2年)らの力走が光った。帝京大学が大健闘の4位に食い込み、5位にGMOインターネットグループ、6位に駒澤大、7位に青山学院大、8位にロジスティードが続いた。