2025年1月にエンディングを迎えたアイドルグループ・でんぱ組.incの古川未鈴さんが、自身初となる書籍を出版。
自ら「自伝を出版したいと言ったら無理そうだったので、どこかに書いていきたいと思っています」とXでポストした「#未鈴の自伝」を書籍化した本書。
でんぱ組.incメンバーとして振り返る16年の活動やアイドル哲学を語るエッセイの他、貴重な過去衣装での撮りおろしグラビア、アイドルとしてやり残したことをやっていく「アイドル実績解除」企画も収録した充実の内容となっています。
その他にも初めてのママ友である藤本美貴さんとのスペシャル対談も収録。アイドルだけではない「ママ」としての一面も垣間見ることができます。古川未鈴さんの多様な魅力が凝縮されている本書をぜひお楽しみください。
※本記事は『ツインテールの終わりに、 #未鈴の自伝』(古川未鈴/KADOKAWA)より一部抜粋・編集しました
でんぱ組.incは宇宙を救ったか?
エンディングを発表した後に知ったことだけど、私たちでんぱ組.inc に憧れてアイドルを始めた人って多かったんだなと思った。でんぱ組.inc に憧れてヒャダインさんに曲を作ってもらったとか、志賀さんにMVを撮ってもらったとか、そういう話を聞く機会も多くて、みんなの人生にこんなにも私たちは影響を与えていたんだなと思った。アイドルさんに限らず、でんぱ組.inc と仕事がしたいから、こういう仕事に就きました、映像制作の会社に入りましたっていう人もいた。思っていた以上に影響力あるじゃんって。当時はあんまり気がついてなかったけど。
憧れていたモーニング娘。にもSPEEDにもなれなかったし、お茶の間の大スターにもなれなかった。私はアイドルのセンターに立つような人間でもないと思っていて、超客観的に見たら、なんでこんなことになったんだろうなと思ったりもするけど、でんぱ組.inc のメンバーであれたことは大きなことだったなと思う。これがまた違う道だったら、私の人生は大きく変わっていただろうし、結果として私はやっぱりでんぱ組.inc しかやれなかったんだろうなと思う。
私たちは何百本とライブをやるけど、観る人にとってはもしかしたらそれが人生で一度だけのでんぱ組.inc かもしれない。それならその人にとってのでんぱ組.inc の記憶がいいものであるようにと思って、いつもライブをやってきた。みんなの記憶に残れることが嬉しい。でんぱ組.inc はエンディングを迎えるけれど、みんなの中で覚えていてもらえたら嬉しい。
「BPM285EX」という曲が新しいEPの中にあって、“宇宙を救うのはこれからもきっとDempa! to the Future”という歌詞があって、レコーディングの時にそこを歌っていて、“あれ? 宇宙って救ってきたんだっけ?”と思った。デビューの時から、ずっと宇宙を救うって言ってるけど、正直何だったんだろうなって。ただ、この曲の作詞作曲をしてくれたNeko Hackerは、でんぱ組.inc が好きで音楽を始めたと言っていて、楽曲提供が決まって、エンディングに本当にふさわしい素敵な楽曲を作ってくれた。今までのでんぱ組.incをすごく大切にしてくれていたのが、この楽曲から伝わってきて、その時に“ああ、宇宙を救うってこういうことなのかな”と思った。誰かの憧れになれて、その憧れが達成できたことに関われている。これが宇宙を救うことなのかなとふと思って、レコーディング中に大号泣してしまった。今までレコーディングで泣いたことはなかったのに、初めて泣いた。だから、でんぱ組.inc は宇宙を救ったってことでいいですかね。みんなの人生に関われたということが、宇宙を救ったっていうことにしてもらえたら、これ幸いです。