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なぜあなたの文章は“伝わらない”のか?『ドラゴン桜』に学ぶ、AI時代こそ必須の「文章術」

  • 2025.5.14
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

元暴走族の弁護士・桜木建二が、経営破綻状態の私立龍山高等学校を再建するために「5年後に東大合格者100人」という大胆な目標を掲げ、様々な受験テクニックや勉強法を教え合格へと導く三田紀房作の『ドラゴン桜』(講談社)。本作品は受験マンガの金字塔として知られています。

しかし、『ドラゴン桜』を単なる受験対策マンガと侮ることなかれ!

『ドラゴン桜』には、学生だけでなくビジネスパーソンの現場でも即実践可能かつ、“仕事に効く”本質が盛りだくさんなのです。

本記事では、ビジネスパーソン必見の「書く力」をピックアップしています。

日本人の文章力低下についての問題

2018年に行われた経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)では、日本は過去最低の15位まで急落。その後、2022年の調査で3位まで回復したものの、近年の日本人の文章の読み書きに関して悲観的な声が多く見られます。

これらが考えられる要因は主に2つあります。

①デジタル環境の普及

②読書機会の減少

SNSの普及により、一度投稿した後でも再度編集・削除することが可能となったり、メッセージアプリでのコミュニケーションが短文でのやり取りが定着していることからも、長文の読み書き能力低下につながっている可能性はありそうです。

また、読書をする機会が減少しつつあることも、文章を書くことが苦手な人が増えている要因の1つとして考えられます。文化庁の調査によると、紙・電子に関わらず一ヶ月に本を読まない人の割合は62.6%にも及んでいます(※1)

一方、仕事においては文字でのコミュニケーションの重要性は高まっているように思えます。

新型コロナウイルスの影響でテレワークが全国的に広まってから、メールやチャットなど「非同期コミュニケーション」でのやりとりは一層欠かせないものとなりました。顔が見えない分、正確さも大切ですが、気遣いや配慮といった思いやり、文章の構成力も試されています。また、誤った意図で伝わってしまうなど「文章の不備が個人の責任能力不足と解釈される」というリスクが顕在化している時代といえます。

このように、文章を上手に書けるということは、現代社会をうまく生き抜いていくコツともいえるでしょう

文章は“主観的”に書くな!(『ドラゴン桜』5巻・46限目より)

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実際に矢島(男子生徒)、水野(女子生徒)の2人が対峙した小論文テーマは以下です。

日本の交通機関の中には優先席をを設けているものがある。しかし、このような席は設けずに、老人が乗車したら若者は席を立つべきという主張もある。優先席を設けることの是非について論じなさい。

これに対して水野の答えは以下。

優先座席は必要ない。たとえば、普通の座席に座っている時に、眼の前に老人や妊婦がいたとする。優先座席があったとしたら、多くの人はどうするか。席を譲らないと思う。一般席に座っている自分ではなく、優先座席にすわっている人が譲るべきだと考えてしまうのではないだろうか。もしも、優先座席がなければどうだろう?皆、自分がゆずらなければ、目の前にいる人は座れないと考えて、席を譲るだろう。優先座席がなければ、各個人がもっと責任を持つようになる。優先座席がなくても、誰もがみんな思いやりを持って譲り合う社会になるべきだと私は思う。

この水野の書いた文章を桜木は「客観的ではない」と否定します。

「客観性」がないと説得力が出ない!

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ダメな文章の特徴…それは、「客観性」がない文章のこと!

水野の主張は、「理想論としては正しいが、客観性がないため説得力を欠き、空想的な抽象論を一方的に語っただけだ」と桜木から痛烈な指摘を受けてしまいます。

また、意図を汲むことも、文章を書くうえでは重要です。今回の問題には、「論ぜよ」と書かれていました。“論ずる”とは、自分の論理の正当性をいかに相手に認めさせるかということ。そして、他人を納得させるためには「客観性」が必要なのです。

これに対し水野は、「そうか……自分だけが思ってもダメなんだ」と納得するのでした。

議論の「型」を覚えろ!

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続いて芥山先生が説く、伝わる文章を書くための「」がこちら。

1. 自分の意見を述べる

2. 予想される反論を述べる

3. 正当性の主張(反論の否定)

4. 具体的エピソード(実体験など)

から成り立っています。

何事も型を身につけること。オリジナリティというのも、まず型をしっかりおさえてから発展するものということです。

デジタル&AI自体においても重要なスキル

文章力は単なる国語の能力ではなく、思考力や情報処理能力、コミュニケーション能力の基盤となる重要なスキルです。現代のようなデジタル化・AI化時代に適応しつつも、深い読解力と豊かな表現力を育む教育環境の整備が不可欠です。

また、家庭や社会全体でも読書習慣を促進し、質の高い文章に触れる機会を意識的に増やしていくことが求められているといえそうです。


「ドラゴン桜」©︎三田紀房/コルク

※本記事はコンテンツの権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています。

参考:(※1)文化庁「令和5年度『国語に関する世論調査』の結果の概要」

この記事に登場する話を【マンガ】で読む

『ドラゴン桜』第5巻・46話
『ドラゴン桜』第5巻・46話
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