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実は複雑ではなく単純作業の繰り返し…「棒針編み」を分かりやすく解説したイラストに「やってみたくなった」と好評の声【漫画】

  • 2025.3.17
イラストで「棒針編み」のやり方を解説 (C)onoderayuzukao

【漫画】編み物ってどんなイメージ? 漫画で解説した“棒針編み入門”に「思ってたよりも簡単にできそう」と反響続出

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、主に編み物についての漫画を描くユズカオさんの『まじでめちゃくちゃ分かりやすい棒針編み入門漫画』をご紹介しよう。

同作は題名の通り、「棒針編み」を漫画形式で解説した作品で、以前X(旧Twitter)に第1話がポストされると3000を超える「いいね」が寄せられている。そこで作者であるユズカオさんに、同作を描いたきっかけについて話を伺った。

実は誰でも簡単にできる?

『まじでめちゃくちゃ分かりやすい棒針編み入門漫画』第1話(2/9) (C)onoderayuzukao

ある日、編み物好きのユズカオ先生のもとに、暇つぶしにやってくる少年のはぐ君が尋ねてきた。いつものように編み物をしているユズカオ先生を見たはぐ君が、「また編み物してんの?」「何が面白いの?」と声をかける。

ユズカオ先生は「やってみたら分かるんじゃない?」と返すも、「おれには難しいんじゃないかな…」と遠慮するはぐ君。しかし、ユズカオ先生は「いやいや!けっこう誰でもできる単純作業だよ」「単純作業だからこそ癒されたりするんだよ」と力説し、さらに「やってみようよ」と、はぐ君を編み物の世界に誘うのだった。

そして、ユズカオ先生は、2本の棒を使って編む『棒針編み』の方法について解説し始め…。イラストとともに編み方を解説する同作に対し、読者からは「とても分かりやすい」「やってみようかな」などの反響が寄せられている。

1枚の手書きのイラストが著書制作を始めたきっかけ

『まじでめちゃくちゃ分かりやすい棒針編み入門漫画』第1話(3/9) (C)onoderayuzukao

――『まじでめちゃくちゃ分かりやすい棒針編み入門漫画』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

3年くらい前に建築家や作家として活動している坂口恭平さんが自分のセーターを編んでいるのをXや書籍で知りまして、「私でもセーターを編めるのかも」と棒針編みに興味を持ちました。

でも独学で棒針編みを勉強しようとしたとき、本当に、どの本を読んでも解説が分かりにくかったんです。写真や平面的なイラストに簡素な矢印を付け足して「糸をかけて引き出す」というふうに説明されているのですが、どうやって糸を引き出せばいいのか、図だけではさっぱり分からなくて……。この分野における「初心者向け」の本は、決して“本当の初心者”に向けて書かれているわけではないんだと痛感しました。

それでも「必ず理解できるはず」と信じてひとつひとつ勉強していきました。どうにか自分なりに棒針編みの基本を理解できた頃、知り合いに棒針編みを教える機会がありました。その際に、動作を解説するための手書きのイラストを用意しました。

その時の手書きのイラスト (C)onoderayuzukao

この時のイラストが『まじでめちゃくちゃ分かりやすい棒針編み入門漫画』のもとになっています!こんなにひとつひとつの動作を立体的に描いている解説は他に見たことがなかったので、ちゃんと全世界に公開できるものにしていこうと思いました。

漫画形式で分かりやすいものにすれば、私がいちいち会いに行ったり、ワークショップで教えたりしなくても、遠隔で教えるのと同じことになると思ったんです。そういうわけで、漫画で食べているわけでもない一介の会社員ですが、一生懸命制作しています!

――Xに投稿された第1話を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。

1年くらいかけて本当に何度も何度も修正を重ねてようやく同人誌として完成させた漫画ですが、同人誌の発行から半年ほど経った今見ると、まだまだ「もっと分かりやすく伝えられたな……」と思う描写も多いです。

そんななかでも、最初の頃からずっと「これは分かりやすく描けた!」と納得できていて、ほとんど修正なく生き残っている描写もあります。第1話の最後の2ページに登場する「作業者からは表目が見えている」という図解がそのひとつです。

オモテ側に「V」と書かれたブロックを、ちいさい人たちが積み重ねているイラストなのですが、棒針編みを全く知らなかった方たちにも「そういうことなんだ!」「これ分かりやすい!」とよく褒められました。逆に、最初の頃はまだ分かりにくかったけど、しつこく修正を重ねたことでようやく「分かりやすくなったな~」と満足している描写もあります。

それが4ページ目の1コマ目、一段編みが終わった編み地をぐるりとひっくり返している図解です。右針だった棒針が左側へ、左針だった棒針が右側へと、反対に移動していることが平面のイラストだと伝わりにくかったのですが、「ぐるり」という矢印を立体的にして、棒針のお尻に猫ちゃんと亀さんを描き足したことで直感的に分かりやすくなったと思います。

ちなみに猫と亀である意味は特にないのですが、これを描いた頃にXでスケボーを乗りこなす亀さんと猫ちゃんの動画がよく流れてきていて、それがあまりにも可愛くて印象に残っていました。

――第1話の中で、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。

第1話の最後のページの2コマ目、はぐ君が「うわ~…めっちゃ賢い仕組みじゃん」「よくこんなこと考えるな…人間…」と呟いているシーンは、私にとっての「編み物の面白さ」「棒針編みへの感動」をそのまま表現できたと思っていてお気に入りです!

編み物の技術を知ることを通して、これまでの歴史のなかで、編み方を試行錯誤してきてくれたたくさんの人々の存在を感じることができるんです。「作業者からは裏目が見えている」の図解の的確さ、ブロックのもっちりした立体感も含めて良いコマだな~と思います。

――読者から寄せられたメッセージや感想の中で、特に印象に残っているものを教えてください。

自分で「まじでめちゃくちゃ分かりやすい」と言い切っちゃってるので、「本当にめちゃくちゃ分かりやすかった!」という一言が本当に毎回嬉しいです。そのなかでも、「今まで3度心が折れてきた私が棒針編みできて嬉しい。一生かぎ針編みしかできないかと思ってた」と言ってくださった方のコメントは、それまでの実体験の重みも伝わってきてじ~んとしてしまいました。

また、漫画を読んでから半年後に、自力で素敵なセーターを編み上げていた方が「今回最初のきっかけはユズカオさんの本を読んだことで、その時にミニバッグを完成させたことでハードルがだいぶ低くなったの大きかったな。まずやってみようと思えたの、この本に会えたからだと思う。」というふうに語ってくださっていて、本当にありがたかったです。

――今後の展望や目標をお教えください。

まずはやっぱり、書籍化を目指しています…!『まじでめちゃくちゃ分かりやすい棒針編み入門漫画』は、棒針編みを始めてみたい方が一番最初にたどり着く本になってほしいと願って制作しています。届くべき人にちゃんと届けるために、本屋さんや手芸店に置いてもらえる本を作りたいです。日本だけじゃなくて、いろんな国でも置かれてほしいと思っています。

何年かかるか分かりませんが、「初心者が最初に知りたいこと」をすべて詰め込んだ一冊にするために、少しずつ形にしているところです。

今回掲載してもらった2話分にあたる内容も、書籍になる際にはさらに分かりやすくなっていることと思います…!書籍化がゴールではなくて、その本がこの先、50年間くらい初心者の方を救い続ける本になってほしいと思っているので、とにかく丁寧に、一生懸命作っていきたいです。

実は、これまでに読んだ棒針編みの入門書の中で、「これは本当に初心者に優しくて分かりやすい!」と感動した本が一冊だけあるのですが、それがもう40年以上前に出版された本なんです。橋本治先生の『男の編み物、橋本治の手トリ足トリ』という作品なのですが、私の漫画も同じくらい優しく、分かりやすい本にするつもりです。そうすれば、きっと次の50年を担うことができるのではないかと思っています。壮大な目標ですが……だからこそ誠実にやっていきますので、応援してもらえると嬉しいです。

――読者へメッセージをお願いします。

『まじでめちゃくちゃ分かりやすい棒針編み入門漫画』に興味を持ってくださってありがとうございます!続きを読みたいと思ったら、ぜひ同人誌の方をチェックしてみてください。

また、同人誌の第2巻も鋭意制作中です。お待ちいただけると嬉しいです。棒針編みは本当に楽しくて、おすすめの趣味です!挑戦してもらえたら、とっても嬉しいです!

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