1. トップ
  2. お仕事
  3. 学歴でも家族背景でもない…伝説の野村證券トップセールスが突き止めた「出世に大きく影響する」意外な要素

学歴でも家族背景でもない…伝説の野村證券トップセールスが突き止めた「出世に大きく影響する」意外な要素

  • 2025.3.15

部下が大きく出世するにはどのような要因が必要か。ビジネスコーチである大野栄一さんは「優れたリーダーの下で部下は大きく成長する。優れたリーダーになるためには、1人の時間をどれだけ有効に使い、自己を深く理解できるかにかかっている」という――。

※本稿は、大野栄一『できるリーダーが「1人のとき」にやっていること マネジメントの結果は「部下と接する前」に決まっている』(日経BP)の一部を再編集したものです。

誰にでも共通する「学びのスタイル」
学びとは、「他人から教わるものではない」という結論

誰にでも共通する「学びのスタイル」があります。

どのようなスタイルだと思いますか?

本を読むことでしょうか? セミナーに通うことでしょうか? あるいは講師に教わることでしょうか?

実は、どれも正解ではありません。

正解は、「自分自身に教わる」ことです。

多くの人は「学びとは、他人から教わるもの」と考えていますが、実際には、学びは人から与えられるものではありません。

私がたどり着いたのは、

「自分が自分に教えたことしか学ばない」
「あなたがあなたに教えたことしか学ばない」

という結論です。

たとえば、経営者が社員に「こうしよう」と伝えても、社員自身が「自分に教える」段階を経なければ学ぶことはできません。コンサルタントが経営者に「こうしよう」と提案しても、経営者が自らの意思でそれを「自分に教える」ことをしなければ、やはり学びは起こりません。

リーダーが部下に「こうしよう」と促しても、部下自身が納得して自分に教え込まない限り、学ぶことはできないのです。

※写真はイメージです
「自分が自分に教えている」状態とは

では、「自分が自分に教えている」「自分が自分から教わっている」とはどういう状態でしょうか。

たとえば、日常的に「仕事って大変だよね」と思い続けていることは、自分自身に「仕事は大変なものだ」と教え込み、それを学び続けているのと同じです。

目の前の出来事に対して、「これは重要だ」と感じていれば(=自分にそう教え込んでいれば)、人は積極的に学びに変えることができます。

一方、「これは自分には関係ない」と判断した時点で、たとえどれほど優れたノウハウが示されても、取り入れることはできません。

多くの人は「誰かが教えてくれる」という感覚を持っています。ですが、「自分は自分からしか学べない」という自覚が芽生えたとたん、学びや思考の質感が一変します。

そして、リーダーがこの自覚を持たない限り、どれほど指導をしても部下は成長しません。なぜなら、部下自身も「自分に教えたこと」しか学ばないからです。リーダーの本当の指導とは、部下に対して、

「あなたはこれまで、あなた自身に何を教えてきたのですか?」
「あなたは自分の目標を達成するために、あなた自身に何を教え込んできたのですか?」

と問いかけることなのです。

あなたを変えられるのは人ではない
あなたは今まで、自分に何を教えてきたか?

どんなに多くの人と対話し、話を聞いたとしても、最後にあなたを変えられるのは、あなた自身です。

リーダーとしてのあなたもまた、自分自身からしか学べません。だからこそ、「1人の時間」が大切です。

1人の時間こそ、

「自分は今まで、自分に何を教えてきたのか?」

という問いと向き合う、貴重な時間です。

「自分が自分に教えたことしか学ばない」という概念を理解していれば、「どのようにすれば自分を変えることができるか」「どのようにすればリーダーとして成長できるか」がわかりますよね?

答えはシンプルです。

「自分が自分に教える内容をアップデートし、ものの見方や捉え方、解釈の仕方を変えればいい」わけです。思考が変われば、自分に教える内容が変わります。「仕事は大変だ」という教えが、見方を変えることで、「仕事は楽しい」という学びに変わります。

※写真はイメージです
「出会えてよかった」と感謝されるリーダーになる
部下をマネジメントする前に、自分自身をマネジメントする

優れたリーダーとは、部下から「出会えてよかった」と「(結果的に)感謝される存在」です。リーダーと部下が互いに「あなたと出会えたことで、人生が豊かになった」と感じられる関係を築くことが大切です。

感謝される存在になるために、もっとも重要なのは、

「部下との関係も、組織の成果も、すべてはリーダー自身の内面(思考)で決まる」

という事実を忘れないことです。

組織を変えるには、部下を変えるのではなく、リーダーである「自分自身を変えること」が前提です。

リーダーは、部下をマネジメントする前に、まず自分自身をマネジメントしなければなりません。リーダー自身が疲れ切っていれば、部下も疲れてしまいます。部下の喚起力が足りないのは、リーダーの喚起力が不足しているからです。

優秀なリーダーの下で働くことは、部下の成長や成果に大きな影響を与えます。

伝説の野村證券トップセールスの記録保持者ファーストヴィレッジの市村洋文社長によると、あるコンサルティング会社に依頼して綿密に調査したところ、学歴や家族背景よりも「入社して最初に配属された上司が優秀であること」が出世に大きく影響するという結果が得られたそうです。やはり、部下の成長は、リーダーで決まるのです。

1人の時間に機嫌よく生きられるか

リーダーが部下にとって「出会えたことそのものが祝福」かのようになるためのプロセスは、「1人の時間」の中にあります。

ビジネスでは、お客様の目に見えないところでの努力が、結果的に評価や価値としてあらわれます。リーダーシップも同様で、部下と関わるときだけ機嫌よく振る舞っても、部下の信頼を得ることはできません。むしろ重要なのは、

「1人でいるときに、機嫌よく生きること」

です。1人の時間に培ったものが、リーダーの真の姿として部下に伝わるのです。

人から見られているときだけリーダーらしく振る舞い、そうでないときはリーダーの役割を外す人もいますが、むしろ「会社にいない時間」にどれだけ自分を成長させることができるかが重要です。

極論をいえば、「会社にいるときよりも、いないときこそリーダーらしく振る舞う」のが優れたリーダーです。

リーダーとしての成長は、1人の時間をどれだけ有効に使い、自己を深く理解できるかにかかっています。

このプロセスを通じて、部下から感謝される存在となり、強固な組織を築くことができるのです。

大野 栄一(おおの・えいいち)
「すごい会議」公式コーチ
株式会社一番大切なこと代表取締役。1967年東京生まれ。1990年専修大学商学部卒業。2009年3月、主たる経営資源の人材・モノ・お金・戦略の経験を経て、成長戦略参謀室株式会社設立。すごい会議コーチとして専心して16年目。2012年には創始者ハワード・ゴールドマンアワードを受賞。これまでおよそ130社1400人以上に指導している。

元記事で読む
の記事をもっとみる