自重トレーニングの中でも強度が高い「懸垂(チンニング)」。背中の筋肉である“広背筋”や“僧帽筋”を鍛える代表的なエクササイズです。
「1回もカラダが持ち上がらない」という人も少なくありません。懸垂ができるようになりたいと思っていても、練習方法が分からないという声も。
ここでは懸垂の効果をはじめ、懸垂ができるようになるためのトレーニング方法を紹介します。
懸垂の効果と鍛えられる部位
懸垂は、背中の筋肉である「広背筋」や「僧帽筋」を鍛える代表的なエクササイズです。
そのほか腕の筋肉「上腕二頭筋」も、懸垂で鍛えることができます。
懸垂ができない大きな理由は「体重」
「できないのは筋力がないからだ!」といってしまえば、それまでかもしれません。しかし筋力以上に、実は体重が重いことがおもな原因となっています。
懸垂は体重を負荷として行う自重トレーニング。そのため、体重が重ければ重いほど負荷が高まります。
しかし、筋肉隆々のカラダが大きな人でも懸垂があまりできず、逆に筋力がなくて軽そうな人が懸垂を何回もできるということも少なくありません。
懸垂をできるようにするためには、体重を落とすことも有効な手段です。
懸垂ができるようになる練習方法
まずは段階を経て進めていきましょう。ここでは懸垂ができるようになるための段階的エクササイズを紹介します。
斜め懸垂
足が地面についているため強度がかなり低くなります。懸垂ができない人は、このエクササイズから取り組みましょう。
1.バーを、肩幅よりもこぶし2~3つ分ほど広めにして握る。バーの握り方は「順手(手の甲を上にした握り方)」
2.足を地面につけたままひじを伸ばし、ぶら下がるようにカラダを斜めにする
3.ひじを脇腹に引きつけるように曲げていく
4.限界まで上げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻る
地面とカラダの角度が鋭角(地面と平行)になるほど、強度が高まります。はじめはカラダの角度を起こして、慣れてきたらよりカラダを傾けて動作を行いましょう。
実施回数の目安は10回×3セットです。
ネガティブレップ
斜め懸垂に慣れてきたら、足を地面につけずに行ってみましょう。
斜め懸垂に比べてかなり負荷が高いエクササイズです。斜め懸垂が難なくできるようになっても、カラダが持ち上がらない場合があります。
そんなときは補助台を使い、体を持ち上げてみましょう。台がない場合は低い鉄棒を使ったり、ジャンプを行い、上まで一気に体を持ち上げる方法でも構いません。
“下ろす動作”だけを意識して取り組むのがポイントです。
体を下ろしていく動作は、カ体を持ち上げる動作よりも強い力を発揮することができます。下ろす動作を繰り返し行うことで筋力がつき、カラダを持ち上げる動作もできるようになってきます。
実施回数は7回×3セットが目安です。
懸垂に必要な腕の筋肉も鍛えよう
ここまで紹介したエクササイズとともに、ダンベルアームカールで上腕二頭筋も鍛えると、より懸垂がやりやすくなります。
正確なフォームや動作に気をつけながら、10回×3セットを目安に行いましょう。
懸垂(チンニング)は正しいフォームで行うことが重要
懸垂を正確な動作で行っていない人が多いものです。
カラダを下ろしたとき、肘をしっかりと伸ばしていない、勢いよく下りた反動でカラダを持ち上げる。あるいは、ごく狭い可動域でしか動作をしていないなど、楽をして懸垂をしている人が少なくありません。
しかし、それは本当の懸垂とは言えません。可動域をフルに使って行うことで、効果的に筋肉を刺激できることを忘れず、正しい動作で行いましょう。
著者プロフィール
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。 医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。運営協力メディア「#トレラブ(https://tr-lv.com/)」などで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会 JATI-ATI
公式HP/公式Facebook
<Text:和田拓巳>