ベトナムの新鋭監督アッシュ・メイフェアの最新作『その花は夜に咲く』に、昨年日本映画界の話題を独占した『侍タイムスリッパー』の撮影所所長役で話題となった井上肇が出演。3月22日に東京・新宿シネマートで行われる舞台挨拶に、メイフェア監督とともに登壇することが決まった。
衝撃的なラブストーリーで果たす、日本の名バイブレイヤーの役割とは?
エレガントかつ官能的な演出で、世界の映画祭で数々の賞を受けたベトナム映画『第三夫人と髪飾り』(18年)。メイフェア監督は『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89年)などの世界的な巨匠スパイク・リー、『青いパパイヤの香り』(93年)をはじめベトナムを代表する監督トラン・アン・ユンなどから、その手腕を高く評価された。
このたび、そんなメイフェア監督の新作『その花は夜に咲く』が日本公開される。
1998年のサイゴン。望まぬ性に生まれたサンはナイトクラブで歌い、ナムはボクサーとして、都会の片隅で懸命に暮らしていた。ある日、街のフィクサー・ヴーンがナイトクラブに現れ、ステージで妖しくも華麗に歌うサンに目がくぎ付けとなる。
手術費用のため、ヴーンと逢瀬を重ねるサン。彼女を愛し、その思いを知るナムは、より稼ぎの良い闇の地下格闘技に手を染めてゆく。容赦のない夜の世界に飲まれてゆくふたりの愛の行方は……。
この衝撃的なラブストーリーは、メイフェア監督自身の中学時代の経験や記憶、トランスジェンダーの友人をモデルにしたものだという。
監督は「ベトナムでは今もなお、トランスジェンダー・コミュニティは政府や社会から厳しい批判を受けています」と語る。まさに、果敢にタブーともいえるテーマに挑んだ意欲作である。
全編ベトナム語でつづられている本作には、昨年話題となった『侍タイムスリッパー』にも撮影所所長役で存在感を見せたバイプレイヤー・井上肇が出演している。
井上が演じるのは、街のフィクサー・ヴーン役。物語の主軸となるふたりの運命を動かす、重要な役どころである。
昨年のトロント国際映画祭にも出品されたギヨーム・セネズ監督作品『A Missing Part』(24年)にも出演するなど、世界をまたにかける活躍を続ける井上。ベトナムに長期滞在し、本作撮影に備えたという。
本作に対してどういったトライを行ったのか。メイフェア監督とともに行う舞台挨拶での発言に注目が集まるところだ。
『その花は夜に咲く』は2025年3月21日より全国順次公開。