安心感を得られたり、心を癒してくれる人形やぬいぐるみ。先日、イギリス出身のある女性が、自身の娘と人形の赤ちゃんの2人を育てていることを明かし、話題に。娘と人形の赤ちゃんの母親である彼女は、自身の生活について赤裸々に語った。
自身の娘と人形の赤ちゃんを育てる母親
物心がついたときから、赤ちゃんと人形に夢中になっていたというマデリン・フォックスさん(19歳)。6歳のときに両親から「リボーンドール(非常にリアルな等身大の赤ちゃんの人形)」をプレゼントされた彼女は、大人になるにつれて人形の世話をすることが不安を和らげるのに役立ったと『Daily Mail』に語っている。
「抱っこしたり、服を着せたりするだけで、とても落ち着くんです」
しかし、2023年にオフィーリアと名付けられた娘を授かったのをきっかけに、本当の母親になることに集中するため、人形との関係を一旦休むことに。そしてオフィーリアが1歳になった後、マデリンさんはフォレストと名付けた新しい人形を迎えたという。
そんなマデリンさんが、ドキュメンタリーチャンネル『truly』に出演した際の動画をTikTokに投稿すると、彼女の生活について賛否の声が寄せられた。
同動画には多くのコメントが届いており、なぜ人形の世話をしているのかを不思議に思う声やマデリンさんに共感する声、またマデリンさんの行動を奇妙だと批判する人もいたよう。
「娘さんは混乱するでしょうね」
「おかしな行動だ」
「子どもの世話があるのに、なぜリボーンドールを迎えたんですか? リボーンドールを持っている人の気持ちはわかるけど、あなたは子どもの前で人形と遊んでいるだけでしょ」
「ほとんどの女性は精神衛生上の理由から、生まれ変わった人形を手に入れるの。だからコメントで彼女を攻撃するのはやめて。無知なことをコメントする前に、少しは調べて」
またマデリンさんは同番組の中で、2人目の子どもを迎えるには金銭的にも負担がかかると説明し、フォレストを家族の一員にしたとのこと。
娘との関係を心配する声に反論
多くの人から娘のオフィーリアを心配する声が寄せられているものの、マデリンさんによれば彼女はフォレストを本当の兄弟のように「愛している」という。
「娘は私がフォレストを抱っこしたり、着替えたりしているのをよく見ていますし、おしゃぶりとミルクをあげるのが本当に大好き。娘が彼と接しているのを見るのは楽しいし、将来彼女に本当の兄弟ができたときに、私たちがどうなるかを垣間見ることもできるのです」
さらにマデリンさんは、オフィーリアは自分の人生において“最も優先すべき存在”であるといい、フォレストは娘が注目されるのを邪魔することはないと主張。
「私の最優先すべきことは娘であり、本当の母親になってからは、リボーンドールは私の人生において間違いなく二の次になっています。娘が寝ていて時間があるときは、フォレストと触れ合っていますが、彼は私のベッドの上で寝ているので、自然と私たちの近くにいることが多いんです」
「なぜ私が娘に関心を持たないと思われているのかがわかりません。娘が私の人生における最も優先すべきことです。娘よりリボーンドールの方が関心を持たれていると思いたいのであれば、そう思えばいい。私はそうではないとわかっていますから」
またマデリンさんの家族や友人たちは、彼女をサポートしてくれており、服や哺乳瓶、さらにはフォレスト用のベビーカーもプレゼントしてくれたと語っている。
人形が心を癒してくれるドールセラピーとは
リアルなプロポーションの本物そっくりの赤ちゃんの人形を扱うと、生物学的反応も引き起こされるという。アメリカ国立衛生研究所(NIH)によると、ドールセラピーは認知症患者の愛着や感情的な幸福感を強めることができるそう。
それと同様に多くのリボーンドールコレクターも、不安や鬱といった精神状態を管理するために、人形がセラピーに役立つと『The Guardian』は報じている。カナダのモントリオールにあるコンコルディア大学の人文科学博士課程に在籍するエミリー・セント・ヒレアー氏は、このように語っている。
「赤ちゃんでなくても、抱きしめたり、赤ちゃんのように感じるものを抱いたりすることで、安らぎを得ることができます。それにより同様のエンドルフィンを分泌させることができるのです」
多嚢胞性卵巣症候群とステージ4の子宮内膜症を患っているある女性は、子どもを授かることができないため、ベビー用品売り場の前を通りかかるたびに自分の置かれている状況を思い出せずにはいられなかったという。しかしリボーンドールコレクターを特集したリアリティ番組をきっかけに興味を持ち、夫の提案からリボーンドールを迎えることに。
今ではつらい思いをしていたベビー用品売り場で、自分のリボーンドールの買い物ができることを嬉しく思っており、リボーンドールを世話することは「対処療法」だとも語っている。