今回提案する旅の行き先はラトビア共和国。
おとぎの国のような街並みと自然が暮らしのすぐそばにある国。首都リーガからスタートし、郊外の自然の中へ。
ラトビアでしか味わえない体験の数々が待っていました。
* 1 €(ユーロ)=約164 .28円(2025年1月7日現在)
*価格などのデータは2024年9月取材時のものです
ラトビア共和国ってどんな国?
ラトビア北部、ヴィゼメ州にある「Farm Ozolin,i 」。オーナーがここに来たらぜひ見てほしいという絶景。
スカンジナビア半島、東ヨーロッパ、ロシアに囲まれるバルト三国の中央に位置するラトビア共和国。国土面積は、北海道の8割ほどという小さな国です。
国土の半分が森。
自然の豊かさと、中世から修復を繰り返し守り継いできた文化の香り高い優美な街並み、そのどちらも体験できるのが大きな魅力です。
リーガ旧市街には歴史を刻んだ魅力的な建築が並ぶ。リーヴ人広場北側にあるこの「猫の家」もその一つ。かつては、裕福なラトビア商人の住む家だったそう。猫のお尻の向きにエピソードがあるので、現地で確めてみて。
ロマネスク、ゴシック、バロック、3つの建築様式を融合した「リーガ大聖堂」のある旧市街エリアと、19世紀後半から20世紀前半に建てられたアールヌーヴォー建築が集中する新市街エリアを有する首都のリーガ歴史地区は、1997年に世界遺産に登録されています。
また、文化と自然の中で育まれてきた手工芸品を旅の目的にする人も多く、毎年6月第一週末、「ラトビア民族野外博物館」で開催される民芸市には、世界中から多くの観光客が集まります。
ミトンが代表する編み物、天然素材の織物、木工品や陶器、手編みのバスケットなどを売るテントが森の中に建ち並び、民族衣装を着た人々が音楽や踊りを披露しながら闊歩する光景の中、おいしい郷土料理まで味わえる、ラトビアの魅力を凝縮したイベントなので、この時期を狙って旅するのもおすすめです。
日本と同様に四季があり、春夏秋冬でさまざまなアクティビティーが楽しめるラトビア。
大きめのトランクが必携です。
リーガは夕暮れ時が美しい。とくに目を引く尖塔のある建物が「リーガ大聖堂」。
バルト三国で現存する最古の建築の一つ。
リーガで最も古い公立公園「ワールマネ庭園」。ラトビア人にとって花は欠かせないもの。
建築家、ミハイル・エイゼンシュテインによるエリザベテス通り10b番地の名建築。
石畳の通りをペットと散歩するリーガっ子もよく目にする。
ラトビア民族野外博物館
Brīvdabas iela 21 , Rīga, LV-1024 ラトビア
10 :00 ~ 16 :00
12月24日、1月1日 休
入場料: 大人8 .00 €、シニア6 .00 € 他(夏季5月1日~ 9月30日)、大人6 .00 €、シニア4 .00 € 他(冬季11月1日~4月30日)
ラトビアの伝統楽器「クアクレ」のやさしい音色に心癒やされる。演奏するのは、右からルアズィーテさん、マルヴィーネさん、ヅィンタルスさん。
18世紀からの伝統建築が昔のまま保存されている。
ラトビアの郷土料理のレストランも併設。結婚式などのパーティーにも使われる。
ラトビアの民族衣装が森に映える。刺しゅうや織り柄が美しい。
ミトンや衣装に織り込まれる文様は、自然を崇拝する「ラトビア神道」のシンボル。それぞれに意味や願いが込められている。
写真上から時計まわりに、明星神、馬屋神、雷神のシンボル。お守り代わりにお土産に。
首都リーガの人気店でおいしい料理を堪能
黒パンとジャガイモが主食。肉、魚、野菜、果物と、旬を迎える豊富な食材から生み出されるラトビア料理。
首都リーガの人気店と、時間をかけて散策したい市場をご紹介。
種類も豊富なお酒とともにおいしい料理を
Chef ‘s C orner
Jeruzalemes iela 5 , Centra rajons, Rīga,
LV-1010 ラトビア
12 :00 ~23 :00(月~木)、12 :00 ~翌0 :00(金、土)
12 :00 ~21 :00(日)
ラトビアのベストレストラン30軒に選ばれたこともある高級料理店。
「味覚の冒険を楽しんでほしい」というシェフReinis Strazdiņšさんの料理は、どれも舌はもちろん目でも楽しめるものばかり。
骨付きリブステーキなど、肉料理がとくに人気。サラダなどの前菜が15€前後、メインの肉料理が15~75€、魚料理が30€前後。
ベーコン、ブラータ、イチジクのサラダ、小エビのタルタル、キノコや棗が入った養生スープと、どの料理も食材の組み合わせ方が絶妙。
メインはうずらのチョップステーキ。
夏はテラスで、冬は暖炉前で絶品料理に舌鼓
FERMA
Valkas iela 7 , Centra rajons, Rīga,
LV-1010 ラトビア
12 :00 ~23 :00(月~土) 日曜休
料理長を務めるのは、世界で最も権威ある料理コンテスト「ボキューズ・ドール」の決勝に進出したラトビア唯一のシェフであり、ミシュランガイドの「ヤングシェフ賞」を受賞したNils Ģēveleさん。
使うのは選りすぐりのラトビア食材。
「新鮮な食材をいちばんいい状態で提供したい」と語る通り、食材のおいしさを最大限に引き出した料理が並ぶ。
この日いただいたのは、前菜、シェフの一皿、メイン料理、デザートの4 皿。メインは、牛、鴨、ベジタリアンから選べる。
前菜は20 €、メイン料理は30 € 前後。デザートは10 €。
時間をかけて散策したい市場
毎日10万人が訪れるラトビア人の台所
リーガ中央市場
Nēģu iela 7 , Latgales priekšpilsēta, Rīga,
LV-1050 ラトビア
7 :30 ~18 :00(月~土)、7 :30 ~17 :00(日)
かまぼこ型の巨大ドームが建ち並 ぶ「リーガ中央市場」。
ドーム内は、 乳製品、肉、魚など食材別に区分け され、屋外にも野菜、果物、花、日 用品を売るスタンドが並び朝から にぎわう。
クランベリーやラズベリ ーを買って、つまみながらの散策も 楽しい。ソックスやミトンをその場 で手編みするお母さんも。
ソックス は1足15€ほど。花が大好きなラト ビア人のために花を扱う店も多い。
おすすめはコチラ
ラトビアの食卓に欠かせないチーズと蜂蜜のおすすめ2 店。
コクネセの農場で朝搾りした新鮮な牛乳で作られたチーズを売る「levas siers」と、ツツジや冬菩提樹など、日本ではめずらしい種類も豊富な蜂蜜店「MEŽVIDI」。
どちらも試食可能。
市場に何か所かあるベーカリーもおすすめ。パンをお供に散策しては?
ラトビアの自然を満喫できるアンナス・ウアズアリニへ
「ラトビアらしさ」に触れたいなら郊外へのショートトリップがおすすめ。
自然がぐっと近くなり、国土の半分が森だということが実感できるはずです。
首都リーガに次ぐ古都ツェースィスは、石畳の通りや木造建築が残る旧市街や「ツェースィス
城」など歴史的建造物もあり、ラトビアの歴史に触れられる場所。
それでいて、ラトビアの日常を感じられるようなローカルな雰囲気も同居しており、街もコンパクト。ゆっくり歩いて散策するのにぴったりです。
ツェースィス城
Pils laukums 9,Cēsis, LV-4101 ラトビア
夏季 10 :00 ~ 18 :00(月~日)、冬季 10 :00~ 17 :00(火~日)
入場料: 大人10.00€ 他(夏季5月1日~9月30日)、大人6 .00 € 他(冬季10月1日~ 4月30日)
1207 年にリヴォニア北部への侵攻の拠点として帯剣騎士団により築かれた城址。
内部の見学も可能。18 世紀の領主による館が隣接。歴史資料展示室として使われている。
16世紀当時を再現した菜園があり、収穫した野菜やハーブはイベントなどで使われているそう。
首都リーガからは、列車やバスを使って所要時間は約2時間。
街の中心「統一広場」から西側に旧市街、北側には2羽の黒鳥がのんびり過ごす「マイヤ公園」が。
見事な「聖ヨハネ教会」のステンドグラスは当時のまま。
ラトビアがたどった歴史が刻まれている。
「もっともラトビアらしい」と評される街にはのんびりとした空気が流れている。
街を歩くと多くの猫ちゃんたちに出会える。
とても人懐っこく、猫も安心して暮らせる安全な場所なんだろうなと想像できる。
「曼荼羅茶」のワークショップを体験
Farm Ozoliņi
ZS Ozoliņi, “Annas Ozoliņi”, Amatas novads, Zaubes
pagasts, LV4113 , ラトビア
曼荼羅茶のワークショップ(6~ 8月開催、2 ~20 名)
50 € /人
※要予約、交通費は含まれておりません
さらに自然を満喫したいなら、田園と森に囲まれた「Farm Ozoliņi」へ。
首都リーガからは約100㎞。もっとも近い家が2㎞も離れているという大自然の中の農場。
ラトビアの野生植物や庭で育てた植物を使ってお茶を生産しています。
そこで体験できるのが「曼荼羅茶」のワークショップ。
ラトビアの大自然の力をいただいて、心も体も生き返るような忘れられない体験に。
有機茶の生産地「Farm Ozolin,i」では、曼荼羅茶のワークショップを体験。
17 年間オフィスワーカーをしていたというEvita Lūkinaさんが先代から引き継いで有機茶の販売や普及活動をしている。
自分のために心地よく入眠できるお茶をイメージして曼荼羅を組んだ。
できあがったお茶はリネンの袋に入れて持ち帰れる。
メッセージカードをつけて大切な人へのギフトにも。
「自分の体が求めるものに気づければ、自然と体はよくなる。胸に手を当て、自分に率直になって曼荼羅に向かい合ってみて」とEvitaさん。
ワークショップは3つのステップで進む。
① 誰に、どんな用途で?とイメージする
② 12 種類から5 種類のハーブを選ぶ
③ ハーブで曼荼羅を作る
所要時間は約1 .5時間だが、農場周辺の自然も満喫するなら、半日は必要。
アクセスは、リーガ中心地から車で約2 時間弱。
リーガからAugšlīgatneまで高速バスで移動し、そこからは送迎を頼むことも可能(その場合は、送迎料50 €が別途必要)。
素敵なおみやげ選びを楽しむ
おみやげ選びも楽しいラトビア旅行。
編集部が取材中にリーガで集めたおすすめ品とショップをご紹介♪
ラトビア神道のシンボルをビーズ刺しゅうで編み込んだニットのリストバンド。
好きな色柄を直感的に選んでも、シンボルの意味から選んでも。
各30 ~50 € / SENĀ KLĒTS
手作りのため、ひとつとして同じものがないガラス製の天使のオーナメント。
工夫次第ではインテリアのほか、DIYでアクセサリーにアレンジできそう。
各12 € / pienene
リーガ中央市場で購入したラトビア産の蜂蜜は、バケツ型のパッケージもキュート。
花の種類も豊富で味見して選ぶのもひと苦労するほど。
各2€/リーガ中央市場MEŽVIDI
海外みやげと言えば、観光地のマグネット!という人も実は多いのでは?
リーガ旧市街の歴史的建造物「三兄弟の家」をモチーフにしたものをゲット。
3.5€/リーガ空港ショップ
pienene
Kungu iela 7 /9 , Centra rajons, Rīga, LV-1050 ラトビア
11 :00 ~19 :00(月~土)、11 :00 ~17 :00(日)
「pienene」とはラトビア語で「たんぽぽ」のこと。
ラトビア中からオーナーが集めたインテリアグッズやアクセサリー、衣料品や食品が並ぶ。
おすすめしたいのがドライフルーツ。
どれも自然な甘さで、ルバーブなど、日本ではめずらしいものが美味!
SENĀ KLĒ TS
Rātslaukums 1 , Centra rajons, Rīga, LV-1050 ラトビア
10 :00 ~18 :00(月~土)、日曜休
クルゼメ、ゼムガレ、セーリア、ヴィゼメ、ラトガレと、ラトビア各州の伝統衣装を製作販売している有名店。
ラトビアを代表する伝統工芸品であるミトンも数多くそろう。
おみやげの購入はもちろんだが、文化を感じられる場所として一度訪れてみても。
ラトビアをぐっと身近に感じられるホテル
ラトビア旅行の拠点として、ホテル選びは大切。今回滞在した中で、首都リーガの宿泊先をご紹介。
ラトビアをぐっと身近に感じられるはず。
公園に隣接。閑静な大使館通りにあるホテル
A22 Hotel
Ausekļa iela 22 , Centra rajons, Rīga,
LV-1010 ラトビア
かつて米国大使館だった建物で、寄木細工の床や天井のアールヌーボーの装飾品など、当時の面影も残しながらインテリアをモダンにアップデート。
ショッピングエリアや旧市街にも徒歩圏内。リビングスペースを別に設けるなど、部屋の広さも十二分。優雅なひと時を。
利便性と快適さが両立。手ごろな価格も魅力
TRIBE Riga C ity C entre
Krišjāņa Valdemāra iela 23 , Centra
rajons, Rīga, LV-1010 ラトビア
旅行やビジネス、どんなニーズにも過不足ないサービスが用意された機能的でスタイリッシュなホテル。すべての部屋に自然光が入り、明るく清潔。
「Grab & Go カウンター」では、スナックやドリンクを24時間提供しているそう。
旧市街も目の前なので、散策も快適に。
FINNAIRでラトビアへの快適な旅を
ラトビアへの渡航はフィンエアーがおすすめ。
今回選んだのは、夜成田から出発し、ヘルシンキで乗り継ぎ、翌朝リーガに着く便。
午前中から時間がたっぷり使えるので、旅の計画が立てやすいのもうれしいところ。ヘルシンキまでの便は、成田発のほか、羽田、名古屋(夏期のみ)、関西からも。
プレミアムエコノミーのアメニティーはもちろん「マリメッコ」。
アイマスク、耳栓、歯ブラシがポーチに。
撮影/砂原文 編集・文/鈴木香里 協力/Latvia Travel[LIAA]
大人のおしゃれ手帖2025年3月号より抜粋
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