千葉県在住の30代女性・Aさんは若いころ、「派手なギャル」だったという。
そんな彼女が第一子を妊娠していた時のこと。健診に行くために路線バスを使おうとしたのだが......。
<Aさんからのおたより>
私がまだまだ若く、髪の毛も金髪で、いわゆる派手なギャルだった頃のことです。
当時私は第一子の出産間近で、自動車免許を取得していなかったため、バスで妊婦検診に行こうとしていました。
運転手「すみませんが...」
歩いて近所のバス停に向かい、少し待つとバスが到着。しかし、その時になって財布の中に小銭や千円札が入っておらず、1万円札しかないことが発覚したのです。
乗車前にバスの運転手さんに両替をしてもらえるか尋ねたのですが、「両替は出来かねます。すみませんが......」ということで、バスに乗ることはできませんでした。
準備不足だったことへの後悔にさいなまれながら、病院には行かなければいけないので、その場で立ったまま「どうしよう......」とぼう然とする私。
すると、進んでいたはずの先ほどのバスが、突然停まりました。
そして扉が開き、見知らぬおばあさんが大きな声で私を呼ぶのです。
「バスに乗りなさい。大丈夫よ、ゆっくりでいいからこちらに来なさい」
「あなたは乗るべきなのよ。乗っていいのよ」
言われた通りにすると、おばあさんが私に千円札を渡し「あなたは乗るべきなのよ。乗っていいのよ」と言ってくれて、その心遣いがとても温かくて、嬉しさや驚き、様々な思いが溢れてしまい、おばあさんの優しい顔をみた瞬間、涙が溢れて止まりませんでした。
バスの中でもメソメソ泣いている私に、おばあさんは優しく「元気な子供を産むのよ。楽しみね」「あなたの未来は輝いて明るいのよ」と声をかけ続けてくれて、いろんな話をしてくれました。
おばあさんの優しさが嬉しくて嬉しくて、バスを降りた後も涙が暫く止まらないままでした。
あのおばあさんに、もしまた会えるのなら改めてお礼を言いたい。本当にあの時はありがとうございました、と......。
当時お腹にいた息子はもう小学校も卒業し、その下にも子供たちがいます。
私の未来は、おばあさんの言った通り、明るいものになりました。
おばあさん、ありがとう。あの日の出来事を忘れた日はありません。
バスに乗る機会は今は減りましたが、バスを見るたびに、おばあさんのことを思い出します。 これから先も、きっと忘れないでしょう。
温かい気持ちで、困っていた私を助けてくれたおばあさんに感謝でいっぱいです。
(※本コラムでは読者の皆さんに投稿していただいた体験談を紹介しています。プライバシー配慮などのために体験談中の場所や固有名詞等の情報を変更している場合がありますので、あらかじめご了承ください)