かぶの栄養と食べ方を解説
冬から春にかけて、おいしさが増す「かぶ」。春の七草の一つ「すずな」とは、かぶのことで、日本書紀にも登場する古くから親しまれてきた野菜です。この記事では、かぶの栄養や食べ方のポイントをご紹介します。
丸くて白い根の部分の栄養は?
カブは、白い根の部分(厳密には茎と根の間の胚軸)と青い葉で含まれる栄養成分が異なります。
白い根には、ブドウ糖や旨み成分のグルタミン酸が多く含まれています。スライスして生で食べれば程よい甘みが感じられ、蒸したり、煮込んだりすることで甘みが増してなめらかな口当たりに。焼けば香ばしく、焼き加減によって食感や甘味が変化します。
調理方法でさまざまなおいしさを楽しめるのがカブの魅力です。
消化酵素のアミラーゼを含んでいるので胃腸に優しい利点もあり、胃もたれや胸やけの軽減や整腸効果が期待できます。
かぶの葉も実は栄養が高い
一方、青々とした葉には、抗酸化作用のあるβ(ベータ)-カロテン、“止血ビタミン”の別名があるビタミンKが豊富に含まれています。また、糖質と脂質の代謝をサポートするビタミンB1とビタミンB2、体内の老化を防ぐビタミンC、ミネラルのカルシウムや鉄、カリウムもバランスよく含まれています。
カブは葉つきで売られていることも多いので、葉を捨てずに活用しましょう。油炒めにすれば脂溶性のカロテンやビタミンKの吸収が高まり、白い根と一緒に葉もシチューやポトフに加えると水溶性の栄養も余すことなくいただくことができます。
「漬けもの」としてもカブは人気者
カブは江戸時代には全国的に栽培されるようになり、各地でさまざまな品種が生まれています。
大カブの「聖護院かぶら」を使った「千枚漬け」、カブの変種である「酸茎(すぐき)」を仕込んで乳酸発酵させた「すぐき漬け」など、漬けものの原料としても親しまれています。
「野沢菜」もカブの仲間で葉の部分だけが大きく成長する品種です。
なお、「長崎赤かぶ」をはじめとする外皮が赤や紫色の「赤カブ」はアントシアニン系の色素によるもの。抗酸化作用がある成分として知られ、酢漬けやレモン漬けにすると鮮やかに発色します。
小カブは皮つきのまま調理するのがおすすめ
カブを調理するとき、皮をむくか、丸ごと調理するか迷ったことはありませんか。カブは大別して、白い部分が小ぶりでツルツルした西洋種、大きめで葉や茎に毛がある東洋種があります。
小ぶりのカブは皮がやわらかいので、皮つきのまま調理すると皮の下の栄養もムダなく摂取できます。
大きめのカブの皮は繊維が多いことがあるので、皮をむいて調理するのが無難。むいた皮を千切りなどにして、きんぴらや味噌汁の具に活用しましょう。
なお、葉つきのカブを保存する時は、葉の部分を切り落として根と葉を分けて保存するのがポイント。葉がついたままだと葉に水分を奪われ、根の部分に“ス”が入りやすくなるので注意しましょう。
※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009
(野村ゆき)